部下は上司の「仕事以外の話」を聞きたがっている

社外での活動を仕事に活かすポイントは、仕事の場でも経験したことを周囲に話して共有することです。それによって「部下との人間関係が円滑になる」回答した割合は58.6%と、半数以上がコミュニケーション活性化につながると実感していることがわかりました。

実際に20代の一般社員にアンケート調査した結果、「上司の社外活動での学びを、職場でも共有してほしい」と回答した割合は61.9%。若い部下は社外活動を楽しんでいる上司に対して人間的な魅力を感じ、その話を聞きたいと考えているのです。

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 組織行動研究所所長 古野庸一氏は、20~34歳の78.8%が「今の50~60代とは労働時間や働き方に関する考え方が違う」と回答しており、特に違いを感じているのが仕事の比重だと言います。

若手は「仕事の比重が重すぎる」「自己実現の場は仕事以外にもある」「仕事ばかりで家族を大事にできない人は部下を大事にできないのでは」と考えており、いわゆる仕事人間は理想ではありません。これが現在の50~60代との差が生まれている部分です。また、こうした考え方は世界的に広まっており、グローバル展開している企業であっても同じ傾向がみられます。

参考:
管理職の社外活動が職場に及ぼす影響とは|リクルートマネジメントソリューションズ

ボス充上司は会社からも求められる人材

リクルートマネジメントソリューションズは、月数回の頻度で社外活動を行っていて、プライベートから仕事へのポジティブな効果を認識している群を「ボス充」群と定義して調査を行いました。その結果、仕事以外の活動が充実しているボス充な上司には、周囲に人間的な魅力を感じさせるいくつかの特徴があることが判明しました。

まず、「ボス充」群の79.0%が管理職の社外活動を「やった方がいい」と回答したのに対して、「ボス充でない」群は57.8%。「ボス充」群の方が社外活動をポジティブに捉えていることがわかります。

さらに、「ボス充」群の方が管理職としての行動や考えにおいて「部下とプライベートも含めた関係性」を重視しており、職場への適応感(満足度・成果実感)や職場の心理的安全性がいずれも高いことがわかりました。

つまり、「ボス充」な上司は仕事以外の活動に肯定的で、プライベートな話も部下と積極的に交わせる関係性を目指していて、職場に対する満足度も高いということです。こうしたポジティブな姿勢が部下に伝わり、人間的魅力として受け取られています。

また、若手だけでなく企業側も「ボス充」な上司を求めるフェーズに入りました。働き方改革により残業や労働時間を削減している企業が増えているので、仕事以外の時間を有意義な活動に充て、自身の成長に活かせる人材は貴重な存在。

さらに、管理職がこうした経験を部下など社内にフィードバックすれば学びが何重にも広がっていきます。その話を聞いて触発された部下が、自身でも仕事以外の活動を始める可能性もあるでしょう。ボス充上司は今の時代に合った人材育成ができる存在なのです。

まとめ

ボス充とは、勤めている企業の仕事のみならず、社外活動も含めた生活そのものが充実しているビジネスパーソンを指します。働き方が変化している今、本業以外も充実し、複数の能力が高くコミュニケーションのとりやすい上司が、部下にも企業にも評価されるようになっていると言えるでしょう。

ボス充になるために、何も特別なことをする必要はありません。趣味や家事、育児、副業など、本業以外にも夢中になれる何かを見つけることで、部下との付き合いに変化が生まれるかもしれません。