今の若者が理想とする上司像は、単に仕事ができる上司ではありません。リクルートマネジメントソリューションズが調査した結果、「ボス充」という新しいトレンドが掴めました。

マネジメントに課題を感じ、ストレスを抱えている管理職は多くいます。今回はアンケート結果から、「ボス充」の意味や特徴、人材育成に貢献して部下からも会社からも支持される理想の上司像を紹介します。

マネジメントの課題を解決し、たくさんのメンバーから信頼される上司を目指しましょう。

「仕事第一、会社第一の上司」はもう古い

「ボス充」とは、管理職のビジネスパーソンが生活を楽しみ、社外活動が充実している状態のことです。株式会社リクルートマネジメントソリューションズが調査により生み出した新しい言葉で、このボス充な上司こそ、20代の若手社員が魅力を感じる上司像に該当します。

20代の一般社員にアンケートを行ったところ、今まで理想とされていた仕事第一、会社第一の上司よりも、仕事以外のプライベート活動が充実している上司に人間的な魅力を感じる割合が40.2%と約半数を占めました。

プライベート活動の内容は多岐にわたり、特に決まりはなく、仕事以外の活動であればほとんどが該当します。スポーツやキャンプなどのアウトドアな趣味から、副業や勉強などの自己啓発活動、料理や育児などの家事まで含まれます。

ボス充が支持される理由

今「ボス充」な上司が支持されるようになった理由は、時代が変わったからです。高度経済成長期はやればやるだけ伸びていく環境にあり、どんどん上を目指していける社会でした。そんな社会において成功する上司は、今の仕事に熱心に打ち込み、同じ企業に勤めあげて昇格し続けていくビジネスパーソンです。当時は仕事に打ち込んだ分だけ昇格する確率が上がり、生活も豊かになっていくため、それが理想の上司像とされました。

しかし、現在は大企業でさえ経営が傾くケースが珍しくありません。終身雇用制度も終焉を迎えつつあり、一生同じ会社で働き続けられる確証はなくなりました。さらに、老後の年金制度にもあまり期待ができない状況です。これから長く働く若手にとって、ひとつの仕事に集中することはハイリスクな選択です。

そのため、今の20代は仕事以外の活動にも重きを置いてできるだけリスク分散し、自分の可能性を広げるためにもワークライフバランスを重視します。仕事だけに一点集中するのではなく、複数の能力を伸ばしていくことに価値を見出す世代なのです。そのため、遅くまで残業せず、効率的に仕事を終わらせる上司が理想とされています。

「ボス充」になるための方法とは

それではボス充になるためにはどうしたら良いのでしょうか。

まず、マネジメント方法も見直しましょう。これまでは新卒一括採用時に同じタイプの新卒社員を大量採用するケースが多いため、従来のマネジメント方法を踏襲するだけでも大きな問題は生まれませんでした。しかし、近年は同じ新卒社員であっても価値観が多様化しつつあり、従来のマネジメント方法だと通用しない時代に突入しつつあります。

リクルートマネジメントソリューションズが管理職のビジネスパーソンに「マネジメントにストレスを感じるか」と調査した結果、「ストレスがある」と答えた割合が高く、そのなかでも部下のメンタルケアに課題を感じているビジネスパーソンが多いことがわかりました。マネジメントがうまくいかない場合は、今の時代に適応できる上司像である「ボス充な上司」を目指すのも解決策のひとつです。

仕事以外の活動を楽しむ

ボス充な上司とは、仕事以外の活動を楽しんでいて、それを仕事にも活かしているビジネスパーソンです。副業にせよ、趣味にせよ、家族との時間にせよ、そこで得た経験を仕事に反映することで人間的な魅力を生み出しています。

仕事以外の活動はハードルが低いものでも問題なく、日常的に行っている家事を楽しんだり工夫したりして取り組むだけでも十分です。地域での定期的な活動や、たまに楽しむフットサルや草野球、週末の小旅行でも問題ありません。

仕事以外の活動についてその実態を調査すると、「趣味・スポーツなどのスクールやコミュニティ」を行っている人が最も多く、次いで「育児」「副業・兼業(起業含む)」「地域貢献活動」「ボランティア活動」「セミナー・勉強会・研究会」が選択されています。「おもしろそう」といった軽い興味からスタートした人もいれば、「ネットワークづくり」「社会貢献」といった理由で始める人も多くいます。

また、自分から仕事以外の活動を始めた人ばかりではありません。「人から誘われたから」始めた人が19.7%、家族から要請があったから始めた人が10.4%と、友人や家族の誘いに応じて取り組んだ人が約3割を占めています。最初は活動に対して興味を持っていなくても、誘われたら試しにチャレンジしてみると意外な学びが得られるかもしれません。

働き方改革に伴って労働時間の上限規制が浸透しつつあり、2018年には残業削減実施率は85.7%になりました。それだけプライベートな時間を持ちやすくなっているので、仕事以外の活動に挑戦するチャンスです。