BtoBビジネスのマーケティング担当者にとって至上命題とも言える、
リードジェネレーション」。いかに良質なリードを獲得できるか、そしてナーチャリングしたリードを的確にインサイドセールスに引き継ぐことができるか、日々頭を悩ませているマーケ担当は多いのではないでしょうか。

2019年2月26日、東京・半蔵門にて、株式会社ベーシック主催の『B2Bリード獲得方法をクローズドで大公開!SaaS各社のマーケの裏側を語る会!』が開催されました。

「Sansan株式会社」と「弁護士ドットコム株式会社(クラウドサイン)」という、注目企業のマーケ担当をゲストスピーカーに迎えた、ミートアップイベントです。

撮影禁止、録音禁止。文字通りオフレコの話がさりげなく飛び出すなか、参加者の皆さんも静かにヒートアップした夜でした。今回は、「ここだけの話」は明かせませんが、各マーケ担当が語った「どのような経路でリードを獲得しているのか、どんな課題に取り組んでいるのか」をご紹介します。

アッパーファネルまで幅広い施策を実施しているSansan株式会社

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プロフィール

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Sansan株式会社 木下淳(きのしたきよし)氏

Sansan事業部 マーケティング部 デジタルマーケティング責任者/CPO室 個人情報保護士

月刊誌の編集者を経て、大手人材サービス会社に入社。マーケティング企画統括部のゼネラルマネジャーとして複数部門を率いる。2018年、Sansan株式会社に入社。戦略企画・デジタルマーケティング・オフラインマーケティングの3グループを統括する傍ら、CPO室を兼務。

木下氏:

Sansan株式会社は、「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションのもと、サービスを提供しています。サービスとしては、法人向け名刺管理サービスの『Sansan』と個人向け名刺アプリ『Eight』の2つ。お陰さまで現在6,000社様にご利用いただいており、法人向け名刺管理の市場では、82%のシェアを占めています

マーケティング部は、全体で約40名。マーケティング部のリードジェネレーションの核となる取り組みのひとつが、セミナー施策です。大学の教授や気鋭の経営者などの著名人に、「イノベーション」をテーマに講演いただくセミナーは、毎回500名程の規模で実施しており、企業の決裁権限を持つ方々との重要な接点になっています。

パーチェスファネルで言えば、元々は成約確度の高いロウアーファネル中心のアプローチを行っていましたが、最近はアッパーファネルの施策を拡大してきました。

契約企業数を見ると、2013年から角度を変えて急激に成長しているのがわかると思います。このタイミングからCMも開始しました。CMを打つタイミングでは、Web動画やトレインチャンネル、タクシーアド、PR施策など、クロスチャネルで効果を最大化するコミュニケーション・プランニングを行っています。

今後の課題は、高速PDCAを回しながらバリューチェーンをよりスムースに繋げていくこと。そのための工夫のひとつが、スコアリングの自動化です。リードソースやWebサイトでの行動、所属企業の従業員規模といったデータを、AI分析ツールに取り込んで、インサイドセールスへのリードの受け渡しを最適化するという試みを行っています。

弁護士ドットコム株式会社『クラウドサイン』で、マーケターが失敗したこととは…?

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プロフィール

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弁護士ドットコム株式会社 東井優衣(あずまいゆうい)氏

クラウドサイン事業部 マーケティングチーム

ゲーム制作会社でディレクションに従事した後、大手外資系総合コンサルティング会社へ転職。その後、弁護士ドットコム株式会社に入社し、マーケターとしてのキャリアをスタートする。入社時は1名だったマーケティング担当者もサービス規模の拡大とともに人数が増え、現在はマーケティングチームとして稼働中。

東井氏:

弁護士ドットコム株式会社が提供するクラウドサインは、「紙と印鑑」を「クラウド」に置き換え、契約作業をパソコンだけで完結させるサービス。印紙代や郵送料などが削減できるほか、契約完了までの時間短縮が望めます。

2015年10月のサービスリリース時は、「電子契約」そのものがこれまでにない新しいサービスだったため話題になり、一気に個人事業主を中心としたフリープランの登録が集まりました。しかし、一方で紙と印鑑の文化が根強く残る大手国内企業の反応は、「電子契約? 何それ、怖い」というもの。

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そこでリリース当初は、クラウドサインのサービスを理解し、信頼していただき、「大手企業の導入実績を作ること」に重きを置いた営業活動に注力していました

その甲斐あって2016年には大手企業の導入実績が増え、さらなるプロモーションを行うべく、2017年に初のマーケ担当が入社します。それが私だったんですが、入社早々、ある問題にぶつかりました。サービスを利用される顧客対象が“契約に携わるすべての人”であるために、これまでの顧客データをセグメントすると、細分化し過ぎて傾向が読めないんです。

そこで2018年の前半は、お客様が抱える課題をヒアリングし、データを集めることを重視。積極的に展示会に出展し、様々な業種や職種のお客様とお話ししました。

そのなかで浮かび上がってきたのが、「クラウドサインを気に入った営業の方が社内に持ち帰った後、次に検討するのは情報システム部や法務部である」という流れです。そこで早速、企業の法務担当者向けに、「弁護士によるセミナー」と「弁護士が監修したホワイトペーパー」を用意しました。こうして、課題を見つけてはソリューションを用意するという地道な努力の結果、商談化率が目に見えて向上していきました。

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2018年秋からは、ターゲットを絞って展示会に出すことで、商談化率がそれまでの2~3倍にUP。2017年と比べて月間の獲得リード数も2~3倍になりました。現在の契約社数は、約3万社。国内の電子契約ユーザー企業の8割がクラウドサインを利用しています。

今、マーケティングチームとして取り組んでいるのは、データをさらに活かせる体制づくり。セールスフォースやマルケトを使って、ナーチャリングフローが回っていく仕組みを整えているところです。

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このように話すと順風満帆に聞こえるかもしれませんが、マーケの目標設定には失敗しました。今まさに、細分化しすぎた目標に苦しめられています。

企業規模やリード獲得経路に獲得難易度の要素まで計算式に組み込み、リードの獲得目標を細かく決めてしまったために、売上的には十分達成しているにもかかわらず、ほかの細かな数値のせいで「目標未達成」となってしまい…。

そんなわけで目標設定については模索中ですが、PDCAを回していくにあたってこれまでのプロセスそのものは間違っていなかったと考えています。

株式会社ベーシック『ferret One』のセールスが徹底している、初心者にもできる2ポイント

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プロフィール

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株式会社ベーシック 持田雄一(もちだゆういち)

SaaS事業部 セールス部 部長

求人広告および大手インターネット総合サービス会社で、飛び込み営業と電話営業を7年程度経験した後、2014年に株式会社ベーシックへ入社。2016年に「ferret One」営業組織を立ち上げ、現在はセールス部部長を務める。

持田:

株式会社ベーシックのferret Oneは、「サイト制作・編集」や「顧客管理・ナーチャリング」、「レポート・解析」など、BtoBビジネスのWebマーケティングに必要な機能がそろったワンストップサービス。『Sansan』や『Pardot』などのMA・SFAツールと簡単に連携できるメリットもあります。

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MA・SFAツールが充実した最近では、「マーケ担当がリードを獲得・育成し、インサイドセールスにつなぐ」という流れはごく一般的になってきましたが、フィールドセールスや電話営業の現場で長く過ごしてきた私が『ferret One』の概念に初めて触れた当時は、そのフローに大きな衝撃を受けました。

実際に私がインサイドセールスの部隊を立ち上げるにあたっては、まず、「マーケの基本を勉強」し、「行動に移しやすい環境を整え」、「自社の規模や状況に即した企画」を行い、基本的なPDCAを回すことに注力しました。

もちろん、失敗することもあります。失敗した原因を振り返ると、だいたい次の4点のどれかに当てはまります。

1.継続しない(習慣ができていない)
2.責任者が不明瞭(組織に落とし込めていない)
3.やると決めたことをやり切らない(目的意識を共有できていない)
4.優秀な人材を採用しない、採用できない(人材が足りない)

失敗したときは、原因を即改められれば良いですが、一朝一夕に変えられないこともあります。そんなときに、もう一度無理のないプランをたてるために徹底している基本の2ポイントが、「ターゲットの見直し」と「型に沿ったマーケティングを行う」ことです。

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大きなプランから広告ひとつまで、ターゲットは誰なのか、どういったお客様に来て欲しいのか常に問い続けますし、基本の型からはずれたマーケティングを行っていないか、折を見てマーケティングチームと共に施策の評価をしています。

その甲斐あってかはわかりませんが、2015年から2018年の3年間で、月間リード数は約80倍になりました。

まとめ:アプローチは違えども、健全にPDCAを回すことが大切

登壇した各社は、BtoBSaaS事業者という共通点はありますが、サービス内容も企業規模も、それに伴うマーケティング予算や人的リソースも大きく異なります。まさに、三者三様。

様々なツールを使いこなし、大規模なイベントやCMを展開するSansan株式会社、着々と人的リソースを整え、展示会出展を幹に、最近では雑誌広告なども試している弁護士ドットコム株式会社。そして、愚直なまでにどのお客様がターゲットなのかを振り返り、基本に忠実な株式会社ベーシック。

パーチェスファネルに当てはめた場合、Sansan株式会社がアッパーファネル、株式会社ベーシックがロウアーファネル、そして、弁護士ドットコム株式会社がその中間のミドルファネルを対象としたメイン施策を打ち出しています。

しかし、共通しているのはどの企業も、リードジェネレーションのために重視しているのは、「健全なPDCAを回すこと」だということ。マーケティングを行ううえで当たり前のことではありますが、意図せずして浮かび上がった共通項はやはりマーケの基本事項なのでした。