旅館やレストランなどの予約サイトを運営する一休.comは、徹底したデータドリブン経営とユーザーファーストの姿勢で大きく業績を伸ばし、2017年の取扱高は前年比45%増となっています。

代表取締役社長の榊 淳氏も自らデータサイエンティストとしてマーケティングに携わる一休.comのマーケターは、どんなスキルをもち、どのような業務に取り組んでいるのでしょうか。

今回は株式会社一休の宿泊事業部のマーケターである花房みのり氏に日々の業務内容や、キャリアについてお伺いしました。

“元エンジニア”の強みを活かせる仕事だった

ferret:
本日はよろしくお願いいたします。改めて今取り組まれている業務について簡単にお聞かせいただけますか?

花房氏:
今は宿泊事業部でマーケターとして勤務しています。一休.comの既存ユーザーとのコミュニケーション設計やサイトのUIUX改善のディレクションなどを行っています。

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ferret:
前職はSIerだったんですよね。

花房氏:
そうなんです。クライアントのシステム構築をするシステムエンジニアとして働いていたのですが、だんだんと自分の会社のシステムやサービスに関わる仕事がしたいなと思い始め、転職しました。

ferret:
システムエンジニアからマーケターヘの転職ってあまり耳にしないですね。

花房氏:
最初からマーケターになろうとは思っていなかったんです。でも、もともとエンジニアだったので、自分でデータを取得して数字を見るのが好きだったんです。その強みを活かせる事業会社を探した結果、一休のマーケターとなりました。もともと旅行も好きでしたし(笑)

ferret:
いきなりWebマーケティングに携わるとなると、数字の分析など覚えることも多くあったのではないでしょうか?

花房氏:
そうですね。それまではWebの数字を扱っていなかったので、最初は榊の出したレポートを見せてもらって、どんな数字やデータを見ているのかを学びましたね。

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花房氏(写真手前)の席は代表 榊氏(写真奥)のすぐ隣

データを扱える環境づくり

ferret:
これまでマーケターとして、どのような業務やプロジェクトに取り組まれてきましたか?

花房氏:
入社してまず、社内のデータの整理からはじめました。というのも、これからさらにデータを活用してユーザーファーストを追求するタイミングだったのですが、基盤となるデータが整備されていなかったり個人のExcelやAccessに点在していたんです。まずここを整備しないと、データに基づいた意思決定ができませんし、自分の強みも活かせないので、まずここに取り組みました。

ferret:
元システムエンジニアらしいプロジェクトですね。

花房氏:
そうですね。代表の榊も自分でシステムを組めるので、一緒に進めていきました。
私の強みは自分でSQLを書いてデータを取得して分析できることだと思っているので、それができる環境は重要でしたね。

他にもMAツールやWeb接客ツールの制作の方針決定や制作のディレクションなども行いました。

ferret:
そういったツールは市販のものを導入するのが一般的な気もしますが、どのような理由があったのでしょう?

花房氏:
市販のツールも検討したのですが、それだと自分たちのやりたい粒度で施策を進められないなと感じたんです。たとえばサイト上のレコメンドでも、市販のツールだとどうしてもパターン分けした中から最適なレコメンドを表示する、という形になるじゃないですか。

私達はやっぱり徹底して「ユーザーファースト」にこだわっているので、もっと細かく一人ひとりくらいのレベルでユーザーの行動に向き合っていきたいんです。その結果内製という決断になりました。