1980年代以前に主流だったマーケティング施策は、新たな消費者グループによって大きな変化を余儀なくされました。その消費者グループは*「Z世代」*と呼ばれています。

Z世代はアメリカの人口の4分の1を占め、独特な消費行動から世界中のマーケターの注目を集めています。今後のマーケティング施策は、いかにZ世代にリーチできるかが重要となっていくでしょう。そこで本記事では、Z世代の特徴や消費行動について解説します。

Z世代とは

Z世代とは、ミレニアル世代に続く新たな世代のことです。ミレニアル世代は1980年代から2000年代初頭の間に生まれた世代を指しますが、Z世代は1996年〜2012年の間に生まれた世代とさらに範囲が狭まります。

Z世代とミレニアル世代には他にも違いがあります。どちらとも「デジタルネイティブ世代」であることに変わりはないですが、ミレニアル世代はデジタルの進化を目の当たりにし、インターネットを広めた「デジタルパイオニア」であるのに対し、*Z世代は高速インターネットもSNSも当たり前の世界で生きている「生粋のデジタルネイティブ」*なのです。

参考:ミレニアル世代 vs Z世代:押さえておくべき4つの違いと特徴
参考:ミレニアル世代の消費行動。5つの特徴と心の掴み方とは?

Z世代の価値観

Z世代の価値観は、X世代と大きく違うのはもちろん、とも似ているようで違います。

インターネット社会の中で生まれ成長した生粋のデジタルネイティブであるZ世代は、インターネットの開拓者であるY世代よりもネットリテラシーが高いです。特にプライバシーの取り扱いに関しては慎重で、InstagramストーリーズやSnapchatのような「投稿しても消える」SNSを好んで利用します。

またあらゆるアイデンティティを尊重し、どの世代よりも多様性を認めやすいという価値観も。他人の個性を認めつつ、自分の個性をすすんでインターネットで発信する特性があります。

物事の本質を見極めようとする意識も高く、消費では表面的なブランドよりも日常に根ざした「本物」「リアルさ」を好んで選ぶのも特徴だと言えるでしょう。よって「マイホームを持って家族と幸せに暮らす」という“完璧な”イメージはリアルではないため、その夢を追いかけるZ世代も少なくなりました。

お金を使わなくなっているのもZ世代の特徴です。その根拠のひとつが、大学生の生活費の減少です。東京私大教練の調査によれば、大学生の家賃を除いた生活費は過去最低水準まで減っています。2018年度の1日あたりの生活費の平均は677円。学生が新卒で入社する企業選びのポイントで「安定している会社」と答える人の割合も増えていて、お金やキャリアに保守的な人が多くみられます。

また、Z世代は、仕事に対して保守的な考え方を持つ傾向があるという調査結果もあります。「上下関係は大切」と考える人や、起業や転職をするよりも同じ会社で長く働きたいという「伝統的な仕事観」を持つ人も、22歳~35歳までの年代と比較して多数います。

Z世代の定義

では、なぜ世代名に「Z」が使われるのでしょうか?元々は1960年〜1974年生まれの世代を「Generation X」と呼んだことの名残で、そのままY世代、Z世代と続きました。そして次のように世代ごとに消費者グループを分けています。

1960年〜1974年生まれ:X世代
1975年〜1995年生まれ:Y世代
1996年〜2012年生まれ:Z世代