SNSマーケティングという言葉がWebマーケティングの分野に流通し始めてしばらく経ち、多くの企業がSNSマーケティングに乗り出しています。

しかし、ノウハウが蓄積されていない企業では、突発的に広報担当の方が「SNSでマーケティングしよう」と思っても難しいのが現状です。SNSの解析ツールを用いて効果測定を行い、細かくPDCAを回していくことでSNSマーケティングの効果が高まるので、この記事を通してSNSの解析ツールについて詳しく理解しておきましょう。

SNS分析はなぜ重要?

SNSでは企業とユーザーの距離が近いため、商品やサービスに対するユーザーの反応がわかりやすくなっています。しかし、ただ運用するだけでは十分なマーケティング効果を得ることができません。

SNSを運用する際は、ユーザーの反応を数値として把握し、施策の実施や効果検証を行うことが大切です。SNS分析を行うと、ユーザーから良い反応を得られた投稿や、成果に繋がったやり取りが分かります。

運用状況を定量的に把握し、より良い施策を行うためにSNS分析が重要です。

SNS分析ツールでわかること

SNS分析ツールを導入することで、通常は分からないコンバージョン率やクリック率、閲覧数などが可視化できます。イメージとしてはGoogleサーチコンソールやGoogleアナリティクスのSNS版、と考えておきましょう。

SNS運用を闇雲に行っても、本当に顧客が求めている発信ができているかどうかはわかりません。また、時間帯や発信内容によっても顧客の興味が惹けるか否かは異なってきますので、細かく状況を把握できれば効率的に運用スタイルを改善していけます。

例えば、「毎日お昼の12時にツイートを投稿しているけど、夕方にツイートした内容のほうが多く見られている」というような情報がわかれば、情報を発信する時間を夕方にスライドしてより効率的にSNSが運用できるでしょう。

リアルタイムでの動き

SNS分析によって、ユーザーの動きがリアルタイムで確認できます。例えば、新しい商品を発売開始したときの反響をすぐにチェックすることが可能です。

アンケートなどでもユーザーの動きは確認できますが、データが得られるまでにタイムラグがあります。一方、SNS分析ではより早いタイミングでユーザーの動きを知り、マーケティング施策に活かせる点が特徴です。

広告の測定

自社が出した広告に対するユーザーの反応も、SNSで分析できます。広告への反響が高ければ、SNSのユーザーからも言及されやすくなる傾向です。そのため、テレビコマーシャルや新聞・雑誌広告など、直接的な効果測定が難しい広告に対する反応も高い精度で見極められます。

ユーザーの声

SNSでは、自社の商品やサービスを利用したユーザーの声を分析することが可能です。ユーザーから喜ばれている点や、不満に思われている点について率直な意見が得られます。

競合アカウント

競合他社が運営するSNSアカウントを分析することも、マーケティングや商品開発に有益です。競合アカウントの投稿内容やユーザーからの反響を分析すると、自社のアカウントを運用するヒントが得られます。

また、SNSで競合他社の商品を使用したユーザーからの反応をチェックし、自社の参考にすることも可能です。

SNS分析の活用方法

SNS分析を活用する上で、まずは以下の点について注意しておくことをおすすめします。

  • ユーザーのペルソナに沿った内容が発信できているか
  • 自社のサービスや商品のターゲットとSNSの利用者は一致しているか
  • SNS媒体の特徴を活かした運用方法ができているか

これらが明確になっていないと、SNSの運用方針に沿ったPDCAが回せないので、目的なく走る車輪のように迷子になってしまいます。

まず、ユーザーのペルソナをあらかじめ確立しておくと、発信する内容を逆算しやすくなります。少なくとも年代や興味関心の幅、居住地くらいは明確にしておきましょう。SNSでは大衆の心を掴むのが主流とされがちですが、むしろニッチジャンルでコアなファンを獲得したほうが効果的な場合もあります。

SNS運用で立てたペルソナと、自社のサービスや商品を届けたいターゲット層が大きく剥離していると、どれだけ効果的なSNS運用を行ったとしてもコンバージョンには繋がりません。

例えば、20代のビジネスパーソン向けのサービスを打ち出しているのに、10代の学生に人気が出てしまったとしても、購買には繋がりません。企業のブランドイメージを高めることにはつながるかもしれませんが、マーケティング手法の一環として考えた場合、SNSで獲得するファンとサービスや商品を届けるターゲット層は重なっていたほうが効果的です。

これからSNSマーケティングを始める方はもちろん、すでに始めているけれど効果が出ていない企業の担当者の方は、もう一度SNSのペルソナと狙うターゲットを見直してみると良いでしょう。

SNSはその特徴ごとに異なる文化、ユーザーを抱えています。一口にSNSといっても、その中で育まれている文化は大きく異なるのです。例えばTwitterとFacebookはどちらもテキストと画像をメインにしたSNSですが、ユーザーからみると用途が大きく異なります。一概には言えませんが、Facebookはスーツ、Twitterは部屋着を着て楽しんでいる感覚、といえば分かりやすいでしょうか。

また、Instagramは画像に特化し、TikTokは動画に特化しているという媒体側が持っている特徴も加味して発信内容を考えなければいけません。Instagramで長文のテキストを書くのではなく、いわゆる「インスタ映え」する写真を数枚載せて投稿し、説明は最小限にとどめておく。その上で、詳しい解説はオウンドメディアで行うとして、Instagramはオウンドメディアへの誘導として活用する、というような利用方法も存在します。

いずれにせよ、自社の狙うターゲットが多く存在しているSNSを見つけて、そのSNSの文化に合わせた形で、適した情報を適した時間に発信するのがSNSマーケティングの基本です。その上で細かなPDCAサイクルを回すために、SNS分析ツールを活用していくのが効果のでるSNSマーケティングと言えるでしょう。

Twitterアカウント

Twitterアカウントの分析機能を使うと、過去の投稿に対する反応が確認できます。投稿が表示された回数を表すインプレッションや、リツイート数、いいね数などの分析が可能です。ユーザーからの反響が高かった期間のツイートを分析すると、より良い運用を行うためのヒントが得られます。

また、Twitter経由で自社サイトに集まったアクセス数や、投稿した動画の再生率などもマーケティング効果を高めるために有用です。Twitterアカウントの分析データは、アカウントの管理画面にある「アナリティクス」の項目で確認できます。

Facebookアカウント

Facebookでは、自社のページが見られた回数やいいね数、投稿のリーチ数などを分析することが可能です。Facebookに動画やストーリーズを投稿している場合、投稿事の反応数も確認できます。FacebookアカウントのデータはExcelやCSVの形式でダウンロードできるため、分析の際に便利です。

Facebookアカウントの分析データは、アカウントの管理画面にある「インサイト」のタブで確認できます。

Instagramアカウント

Instagramでは、ビジネスプロフィールに切り替えたアカウントのみ分析ツールの仕様が可能です。個人用プロフィールでは分析ツールが使えないため、必要に応じて切り替えましょう。

Instagramで分析できるデータは、投稿した画像や動画の閲覧数、いいね数、1週間単位のインプレッションなどです。Instagramアカウントの分析データは、プロフィール画面にある「インサイト」から確認できます。