
1年で月170万PVのferret。今だから言える立ち上げ時に起こった4つの問題を編集長 飯髙が語る
- 臼井 翼
- 2015年12月8日
- ニュース
- 9,680

Webサイト制作会社、SEOコンサルタント、ferret編集部を経て2016年9月に福島県にUターン。
現在はフリーランスとして、メディアを運営しつつ企業のメディア運用支援やWeb制作事業などを行う。
「分かり易くて、今日から活用できる情報発信を目指します!」
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先日、ferret会員向けに
セミナー
を開催しました。
ferret編集長の飯髙が登壇し、普段は語ることのないferret立ち上げから現在に至るまでの経緯、立ち上げ時にぶつかった4つの問題とそれをどう乗り越えたかを語りました。
今回は、本 セミナー にご参加できなかった方、メディアをもっている方、メディア立ち上げを検討している方に向けて、 セミナー の一部をご紹介します。
コンテンツ マーケティング の本質とは
冒頭、トレンドとなっている コンテンツ マーケティング について、これまでのメディア運営やferretを通じて得た経験を元に、重視すべきポイントを語りました。
飯髙:
昔に比べて
SEO
も小手先のテクニックは通じなくなっていて、検索連動型
広告
も出向企業がとても多くなっています。ただマーケットの母数は変わらないので、競争だけがどんどん激しくなってきているんですよね。だからこそ、新しいパイを取るという意味で
コンテンツ
マーケティング
が注目されていると思ってます。
ただ、今の流れって記事量産すればいい、
コンテンツ
SEO
がベースになっているとか、本質的ではないなと感じています。
また、ただ実施すれば成約がとれるというものでもありません。一番に考えるべきは
ユーザー
にとってどういう
コンテンツ
であるかです。アプローチ手法も
テキスト
だけでなく
ターゲットユーザー
によって動画かもしれません。
そして、その
コンテンツ
を提供することで、
ユーザー
の課題に対してどう解消させてあげれるか、継続的なファンになっているかを考える必要があります。
見込み顧客を潜在層から顕在層にするための育成を
コンテンツ
マーケティング
で行っていく必要があります。それを図る方法として、スコアリングが重要になります。ブームになっているってこともあり、多くの企業が
コンテンツ
マーケティング
を取り入れていますが、ちゃんとスコアリングをしているところは少ない印象です。
コンテンツ
マーケティング
で見るべきポイントってわかりづらいんですよね。
ferretを例に出すと、いくつかの評価指標を持っています。流入の評価を記事、
ドメイン
、カテゴリ単位で設けていて、その後の読了率の評価で読まれたか読まれていないかを判断します。
その結果、拡散の評価を経てどれだけの人が共感したか、さらに他の
ページ
に遷移したかで満足度の評価を行っています。
最後が成果の評価となっていて、一連のスコアリングは成果の評価を正しく行うためにも必要になってくるんです。
例えば、第一フェーズとして流入と拡散に拘りましょう。その次に一定の
PV
まで増えたら流入元の改善を行って、与えている成果はなにかを見ていくなど、フェーズや目的によって持つべき指標を変える必要があります。
ferretリニューアルで起こった4つの問題
昨年9月に新しくメディアとして舵を切り、 コンテンツ マーケティング を実践するferretが、ようやく1年を迎えたタイミングで改めて今までに起こったことを振り返り、実際に現場で起こった4つの問題についてお話しました。
飯髙:
正直、今も問題をあげたらきりがないです(笑)。当時を振り返ると、実際に起こった問題は4つです。どんな会社でも起こる問題ばかりですが、それをどう乗り越えてきたかふまえてお話します。
1.メディアを立ち上げた経験者がいない
飯髙:
この事実を知っている人はあんまり居ないと思うんですが、実はferretのリニューアルは昨年5月を予定していたんですが、実際は9月まで遅れたんです。といのも、サービスを新たに立ち上げる経験者が僕以外にいなかったので、ここがしんどかったですね。
そこで乗り越えるために行ったのが、
マーケティング
の原点に帰ることだったんです。これまでは、他のサイトのココが良いからマネしようとかもあったんですが、結局は机上の空論でしかなくて、最終的にはターゲットとしている人は誰か、その人達の課題をどうやって解決していくか、そのために必要な物は何なのかをシンプルに考えていきました。
突き詰めていった結果、これまで書いてきた記事150本くらいも、ズレていたので記事を全部捨てたりもしました(笑)。
2.ライター経験者0人
飯髙:
次にライター経験者が誰も居なかったんですね。メディアとしては大問題ですよね。そこで、記事の数やクオリティをどうやって担保していくかについて取り組んでいきました。そこで行ったのが徹底的な仕組み化です。
それぞれのカテゴリごとにルールを作って記事を書くことで全員が一定のクオリティまで高められるような状態を作り、それを反復徹底することでスキルの向上を目指した結果、今では社内にいる3名のライターのみで、平日で平均5本くらいはあげれるようなレベルになりました。
質って定義っていろいろありますよね。「どんなにいい記事でも読まれなければ意味がない」「また、その記事がどういう人に役に立つのか」ってことを大事にしています。
3.コミュニケーションが難しい
飯髙:
これは、未だに課題ではあります(笑)。
ferretのリニューアルのときのボトルネックだったことは「無いものを作る」ところにありました。つまり、メディア運営経験者がいないこともあって、現場では「私たちはなにを作るのか」といった疑問が生まれていたんですね。それを解決するためにしたことが「未来の共有と毎日の打ち合わせで疑問などを潰していった」ことです。
飯髙:
そして、言ってしまうとプロダクトの未来だけでなく、メンバーの恩恵、お金とか、キャリアとかも徹底的に話し合いました。もちろん、ダラダラ打ち合わせするのは良くないですし、僕も打ち合わせが好きじゃないので当たり前だけど時間を守る、ゴールを決めるってことを厳守したうえで打ち合わせに望んでました。
4.施策や取り組み、 PDCA がとにかく遅い
飯髙:
今は毎日複数の施策、
A/Bテスト
とか会員化のナーチャリングなどが動いてますが、立ち上げ初期は、正直
PDCA
が全然まわらなかったです。その理由の一つに自分の仕事だから、という理由で数字が出ていないのにも関わらずし続けるって状態がありました。
なので、結果がでなかったものは「容赦なくやめる」ことを徹底しました。例えば、ある一定の目標があったときに結果がプラマイ0に近い数字だと人間って続けてしまうんですよね。でも、それを制限なく続けても意味がないので期間を設けて、達しないものに関しては容赦なくやめていきました。
その中で自社でやるより、他のサービスとの取り組みをしたほうが良ければ、そちらにうまくピボットしていくようにしています。今アライアンスでお取り組みさせていただいているのもそうですね。
ferretの分析・行動解析・ ユーザー 育成方法
飯髙:
ここからは実務レベルの話になりますが、分析・行動解析・
ユーザー
育成においてferretでは基本的に
Googleアナリティクス
を使っています。ここは皆さんと同じように、
PV
、
セッション
、流入チャネル、日別数字などを分析しています。
ただ問題として、ドリルダウン分析ができてなかったんですね。つまり、会員獲得した後の
ユーザー
育成のストーリーが描けなかったということで、弊社が提供するHomeup!(※1)を使って解決しました。
※1 Homeup!とは、弊社が提供する オウンドメディア 構築からリード獲得・育成、 コンバージョン までをワンストップで実施できる マーケティング プラット フォーム
飯髙:
ちょっと宣伝になっちゃいますがHomeup!では、必要最低限の項目に絞ったシンプルなダッシュボード機能があって、そこの目標設定では、訪問・回遊・重要
ページ
・成約までの一連の流れが把握できるような特徴があります。
飯髙:
信号機と同じで、赤色のところが問題になります。なのでWeb担当者はそこを改善するといった使い方になります。
そして、ferretではユーザーの行動解析を行い育成までの仮説をたて実行しています。
例えば、あるカテゴリ群の記事を閲覧してる
ユーザー
への
メルマガ
はこういう内容にするとか、それこそ本日の
セミナー
参加者の10名ほどは、
コンテンツ
マーケティング
まわりの記事を読んだ人に、通常の内容とは違う
メルマガ
でアプローチしています。
Web担当者が今後すべきこと
最後に改めて、プラットフォームの激変や消費者 ニーズ の多様化などにより複雑化するWeb マーケティング において、企業のWeb担当者が本当に目指すべき未来とはなにか、について語り締めくくりました。
飯髙:
改めて重要なポイントは、当たり前のことですが、「自分たちがなにもので、ここにくると
ユーザー
に何を提供できるのか」ってことに尽きると思います。
それはWebだけに限らない話で、会社が向き合うべきはプラットフォームではないんです。例えば、
Google
も頻繁に仕様が変更されていて、それを理解し続けるのは正直、専門家でも追いつかないのが現状です。
それを全てのWeb担当者がやるのは不可能に近いと思っています。だからこそプラットフォーム側は、そこを解決できるサービスとして
マーケティングオートメーション
ツール
(MA)に任せてWeb担当者はユーザー側を見るべきです。
それが、育成であったり、問い合わせ後の契約率をどう引き上げるであったり、本来企業がむくべきはそこだと思っています。
