※本記事は、2016年7月11日に公開された記事をマケスト提供により一部再編集を行っております。

アメリカを中心に広まった「マーケティングオートメーション」という概念は、ここ数年で日本国内にも浸透し、マーケティングオートメーションツールを導入する企業も増えています。
しかし、日本ではマーケティング=営業、広告という認識が強く、マーケティングオートメーション=CRM(営業顧客管理ツール)と誤解されている方も多いのではないでしょうか。

なぜ、日本ではマーケティングオートメーションツールがCRMとほぼ同意義で語られているのか、本当の意味でのマーケティングを実施するためにどのような組織作りが必要なのか、マーケティングを推進するCMOはどのような役割を持ち、どのようなスキルが必要など適切に使われるようになるためには何を変えなければいけないなど、マーケティングに関する課題は山積しています。

今回は、マルケト主催の「THE MARKETING NATION SUMMIT 2016」にて、「マーケターの役割」についてプレゼンした直後のマルケトVP Chandar Pattabhiram氏を直撃し、それらの課題についての見解をうかがいました。

Chandar Pattabhiram氏プロフィール

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Group Vice President, Product and Corporate Marketing, Marketo
20年以上株式公開企業および非上場企業での経験を持つ、エンタープライズ部門におけるシニアエクゼクティブ。現在は、MarketoでプロダクトマーケティングコーポレートマーケティングのGroup Vice Presidentを務める。以前は、BadgevilleのマーケティングVPとして、プロダクトマーケティングコーポレートマーケティングそしてデマンドジェネレーションにて世界的な成功を収める。(引用:https://jp.marketo.com/summit-2016/speakers.html)

CRMではお客様に接触することはできない

ferret:なぜ、日本はアメリカと違ってマーケティングオートメーション=CRMという認識が広まっていると思われますか?

Chandar Pattabhiram氏:
アメリカは、マーケティングとセールスは全く別の組織として成立しています。
マーケティングは、見込み顧客を獲得し、彼らを教育し、購買までつなげて営業に引き渡し、クローズするという流れがあります。
CRMを使ってマーケティングの仕事はできない。
MAはマーケティングのために使う物。CRMではマーケティングはできません。

CRMを使うのは、顧客ではなくあくまで営業です。顧客がそこに入ってくることはない。
顧客が実際に利用するのはあらゆるデジタルチャネル。
デジタルチャネル上での顧客の動きを把握していくことが重要。
CRMだけ見ていても、顧客の行動は全く得られません。
CRMはあくまでもパイプライン。マーケティングツールとは全く別物です。

ferret:では、正しくマーケティングを行うためにはどのように組織を作っていけばいいでしょうか?

Chandar Pattabhiram氏:
それは教育していくしかない。
それぞれの会社組織にはいろんな部門があるが、必要なシステムは部門ごとにああります。
営業ならCRM、サポートならカスタマーサービス、財務ならERPというように、その部門が使うためのシステムがある。
そう考えると、やはりマーケティングには専門のシステムが必要。
マーケティング部門だけ、他のシステムを流用することはできない。
お客様を引きつけ、エンゲージメントを上げ、正しいタイミングで営業につなげ、既存客からの売上も増やしていく、そういうところでマーケティングが生きてくる。

ferret:社内の教育はどのように行えばいいでしょうか?マルケトの場合、導入企業に対してどのような教育を行っていますか?

Chandar Pattabhiram氏:
マルケトは導入いただいた企業に対して、マルケトを理解してもらうというより、マルケトの枠を超えてマーケティング全体について学んでもらうための教育をしています。
マルケトは「マーケティングネーション」というコミュニティを形成しており、6万人のマーケターが参加しています。
そこではマーケティングそのものについて意見交換をしたり、マーケティングを推進するための組織作りや、必要なスキルセットはどのようなものになるのかを話し合っています。

あとは実際の事例の共有ですね。たくさんの事例を聞けば、マーケティングとセールスは全くの別物であるということは理解できると思います。
私もそういう活動をしていかなければいけないと感じています。

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CMOには、知識や経験よりもストーリーテリングのスキルが必要

ferret:Chandar氏が考えるCMOの役割とは?

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Chandar Pattabhiram氏:
昔のCMOの役割はサポート的な役割であり、コストセンターでした。
今後のCMOは戦略的な機能を持ちます。
そして、お金が出ていくだけでなく、お金を生み出すレベニュードライバーです。
カスタマージャーニーに対して強い影響力を与えていける役割だと思っています。

ferret:CMOはボトムアップ型、トップダウン型どちらの形式をとって推進していくべきでしょうか?

Chandar Pattabhiram氏:
どちらでもないと思います。
全てはデータ主導で推進するべきです。
マーケティングの世界って、これまでは勘に頼ることが多かったと思うのですが、これからはデータです。
データを見て意思決定をするべきです。

ferret:CMOはダヴィンチのような人間を採用するべきだとおっしゃっていたが、そのような人間はどうやって採用するべきでしょうか?
もしくは、社内で教育する場合はどのように育てればいいのでしょう?

参考
これからのマーケターは「CEOと対等であり、常にお客様の側にいる存在」-THE MARKETING NATION SUMMIT 2016-(Marketo CEO Phill Fernandez氏他)

Chandar Pattabhiram氏:
100%完璧なダヴィンチを見つけることはできないと思う。
ただ、ダヴィンチになれる可能性を持つ人はいる。
少しでも可能性が高い人を選んでいくべき。
誰もが一晩にしてダヴィンチになれることはないから、素質を見極めなければいけない。

ferret:CMOの素質を見極めるポイントとして一番重要なのはなんでしょうか?

Chandar Pattabhiram氏:
知識や経験は関係ありません。
DNAです。
分析もストーリーテリングもできる素質があるかどうかですね。

あと、やはり一人の人間で全ての才能を持ち合わせる人は少ないし、探すのは大変です。
でも、企業としては、ぞれぞれの才能を持つ人間を1つのチームに入れれば、互いの才能を補完できる状態であれば良いですよね。

企業は、人材の適切なミックスを重要視していくべきです。

まとめ

マーケティングは、リードを創出するためだけの存在から、顧客と企業との接点を把握し、適切なコミュニケーションを図りながらエンゲージメントを高め、売り上げに貢献していく存在へと変わりつつあります。
日本ではまだ「リードを創出するためのマーケティング」という認識が強く、Chandar氏もその現状を変えていかなければいけないと強く感じているようです。

マーケティングは、顧客の行動データ分析と、有機的なコミュニケーションを通じて実践されるものです。
リードを機械的に生み出すものではないということを理解しましょう。