近年、企業の集客やブランディングとして注目されている動画マーケティング。しかし、「動画を活用しても成果が上がらない」「動画制作のコストがかかる」などの課題も浮き彫りになっています。

この記事では、これから動画を活用したいマーケティング担当者に向けて、動画編集ツール『Video BRAIN』を提供する株式会社オープンエイト監修のもと、動画マーケティングについて全6回に渡り解説します。第1回目となる今回は集客で最も重要とされる「VSEO」について紹介します。

VSEOとは「Video Search Engine Optimizaition」の略で、動画の検索エンジン最適化を意味します。動画コンテンツを活用して検索上位を獲得し、より多くのアクセスを集める手法です。

「とりあえず動画を掲載すれば効果が得られる」と勘違いされがちなVSEOですが、ポイントを理解していないと上位表示は見込めません。この記事で解説する正しい知識や適切な対策を学び、VSEOを成功させましょう。

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目次

  1. VSEOの重要性
  2. VSEOを行う上でのコツ・ポイント
  3. 動画がSEOに与える影響
  4. ユーザーファーストこそVSEOの本質

VSEOの重要性

VSEOは、動画による情報収集やコミュニケーションが一般的となった現在における集客手法の一つです。

総務省が発表するデータによると、インターネット上にアップされている動画の視聴時間は、平成30年度から令和元年にかけて全世代で増加傾向となっています。

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引用:総務省令和元年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書

また、1990年代後半から2015年頃までに生まれたZ世代以降では、ブログWebサイトよりも、SNSや動画を視聴する時間が長い傾向です。長くなる要因は、従来の自主的な検索(通称ググる)だけではなく、SNSのタイムラインやストーリー、YouTubeのおすすめ動画など、思わず観てしまう仕掛けが増えていることが考えられます。

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引用:総務省令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書

これらのデータから、企業のWebサイトブログ記事だけでなく、動画メディアや動画コンテンツが新たな情報源として大きく普及してきたことが読み取れます。

動画が普及する以前は、テキストや画像が中心の静的コンテンツの制作や、検索エンジンに上位表示させるためのSEO対策が、Webマーケティングにおける重要な要素でした。

しかし、現在はそれらに加えて、動画コンテンツの制作や動画を検索上位に表示させるためのVSEOも重要となっています。そのため、動画に関するノウハウ・人材の不足や、制作コストの高さからこれまで十分に対策できていなかった企業も、昨今ではVSEOに取り組もうとする機会が増えてきました。

だからこそ、VSEOのポイントを理解し、他社に先駆けて効果的な動画施策を実行することが、自社サービスの認知拡大や新規客の獲得に繋がります。

VSEOを行う上でのコツ・ポイント

VSEOを成功させるためには、作成する動画の内容や、上位表示を狙うキーワードの見極めが重要です。また、動画をアップする配信先に合わせて適切なタイトルを設計する必要があります。

ここではVSEOを行う上で押さえておきたいポイントを3つ紹介します。

①ユーザーが欲しい情報としての動画コンテンツを作る

VSEOを行う上で最も重要なポイントとして、ユーザーが見たい動画コンテンツを作ることが挙げられます。企業側が見せたい動画を作るだけでは、多くのユーザーに対して効果的にリーチすることはできません。

2020年頃から、検索エンジンやSNSのアルゴリズムが変化し、ユーザーにとってより役立つコンテンツが優先的に表示されるようになりました。

アルゴリズムの詳細は媒体によって異なるものの、ユーザーの検索意図との関連性が高い動画ほど、上位表示される傾向です。視聴回数が多く、再生時間が長いほどユーザー意図との関連性が高く評価されます。

ユーザーが欲しい情報を加味して動画を作ることがVSEOで重要なポイントです。

②動画コンテンツが上位表示されやすいキーワードを狙う

VSEOを成功させるためには、どのようなキーワードで上位表示させるかを考えてコンテンツを作る必要があります。

例えば、「魚の名前 捌き方」などのキーワードは、Webサイトよりも上位に動画コンテンツが表示される傾向にあります。

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上図は「あじ 捌き方」の検索結果です。「あじ 捌き方」のキーワードは文章を読むよりも動画で見る方がわかりやすいというニーズが高いため、Googleが動画を上位表示しているわかりやすい例となります。

ユーザーニーズは業種によっても異なります。例えば旅行やファッション、グルメなどにより動画が最適かどうかが変わるため、ニーズを加味したコンテンツ制作がVSEOには求められるのです。

また、キーワードの検索ボリュームも重要なポイントです。検索ボリュームが著しく少ないキーワードで動画コンテンツを作っても、十分なアクセスが見込めません。Googleのキーワードプランナーなどのツールを用いると、検索ボリュームの多いキーワードを探すことができます。

③動画の配信先に合わせてタイトルやタグなどを適切に設定する

主な動画の配信先として動画プラットフォーム、SNS、自社サイトやオウンドメディアが挙げられます。配信先によってユーザーの行動や検索アルゴリズムが異なるため、動画を見つけてもらいやすいように配信先に合わせて設定することが重要です。

例えば、YouTube内検索で上位表示させたい場合、タイトルとディスクリプションに狙うキーワードを含める必要があります。また、動画のサムネイルを工夫してクリック率を高めることもポイントです。

SNSで動画を配信する場合、検索されるキーワードの傾向がSNSごとに異なる点に注意する必要があります。たとえば、Instagramで動画を配信する場合は、ユーザーが検索しそうなキーワードをハッシュタグとして含めておくことが重要です。

自社サイトやオウンドメディアに動画コンテンツを公開する場合は、検索エンジンクローラーから認識されやすいページ作りがポイントとなります。動画掲載箇所の前後に関連キーワードを設けたり、サイトマップに動画を含たりなど、クローラビリティを高めましょう。

動画がSEOに与える影響

現在のSEOにおいては、ユーザーに役立つコンテンツが高く評価される傾向です。そのため、動画コンテンツがユーザーの欲しい情報と合致している場合には、間接的にSEOによい影響をもたらす可能性があります。

ただ、やみくもに動画を表示させるでのはなく、ページ内のテキストや画像など全体的な内容をバランスよく設計することが重要です。ユーザーの検索意図と親和性が高いと判断された動画は、結果的にGoogleからの評価が高くなる傾向です。

また、「〇〇 動画」や「〇〇 方法」などで検索するユーザーが増えたことで、YouTubeなどの動画プラットフォームにアップされている動画が単体で上位表示されるケースも一般的になりつつあります。動画を探しているユーザーが増え、動画単体も上位表示されるという意味から、SEOに少なからず影響を与えていると言えるでしょう。

ユーザーファーストこそVSEOの本質

VSEOの施策では、SEOと同じくユーザーにとって最適なコンテンツを制作することが重要です。ユーザーの検索意図と関連性が高い動画コンテンツは、上位表示される可能性が高まります。

しかし、前述したとおり内容の薄い動画やタイトルやディスクリプションへの配慮がされていないと、思うようなトラフィックが得られない可能性もあるので注意しましょう。

動画を使ったWebマーケティングに取り組む際は、今回ご紹介したVSEOのポイントに注意して、ユーザーに役立つコンテンツを制作しましょう。