デジタルマーケティング手法のひとつとして、注目される「動画マーケティング」。近年では、『Video BRAIN(ビデオブレイン)』のような動画編集ツールの技術発展により、低コストで動画制作を行えるようになり、動画マーケティングに注力する企業が増えています。

しかし、「動画を活用したが成果を感じられない」「動画マーケティングの手法がわからない」など、まだまだ発展途上の動画業界ならではの課題が浮き彫りになっていることも事実です。

この記事では、これから動画マーケティングを行う企業担当者に向けて、動画編集ツール『Video BRAIN』を運営する株式会社オープンエイト山口様の監修のもと、成功する動画マーケティングの共通点をテーマに成功事例と動画編集のポイントについて解説します。

profiles-3.jpg

目次

  1. TwitterやYouTubeで成果を上げた、動画マーケティング成功事例
  2. 事例から読み解く、動画マーケティング成功の共通点
  3. 今後さらに注目される動画マーケティングで失敗しないために
マーケティング担当者のためのSNS動画広告完全ガイド

マーケティング担当者のためのSNS動画広告完全ガイド

マーケティング担当者のためのSNS動画広告完全ガイドについて解説致します。

TwitterやYouTubeで成果を上げた、動画マーケティング成功事例

まずは、TwitterとYouTubeの動画マーケティングで成功した2つの事例を紹介します。

「エレコム株式会社」Twitterのエンゲージメントが1.7倍に

elecom1.png

1つ目は、パソコンやスマートフォンの周辺機器の開発、製造、販売を行っている「エレコム株式会社」の事例です。

  • 課題:Twitterのフォロワー数増加の鈍化
  • 対策:通常の投稿に動画を取り入れた
  • 結果:Twitterエンゲージメントが1.7倍、フォロワー数(昨対比)5万人増

エレコム株式会社は、積極的にTwitter運用を行っており、これまでは静止画とテキストのみで投稿していました。Twitterのフォロワーは一定数いたものの、フォロワー数増加の鈍化を課題に感じ、より効果を出す施策を行うために動画を取り入れることに。

ただし、全ての投稿を動画化するのではなく、静止画とテキストだけでは伝わりづらい内容のみを動画化し、用途に分けた運用を行いました。

そして、静止画と動画それぞれの結果を検証したところ、同じ商品ではありませんが、動画で紹介した方がインプレッションは1.2倍、エンゲージメントは1.7倍、エンゲージメント率は1.4倍と数値に差が出ることが明らかになりました。商品による効果の違いはあるものの、動画の方が高い効果を得られることが分かる結果となっています。

以下は、反響の良かった投稿です。

動画と聞くとテレビCMのイメージが強いですが、こちらの投稿のように、イラストやテキストが動くちょっとしたアニメーションも動画に含まれます。

当初は20〜30秒ぐらいの長い動画を制作していましたが、あまり効果が感じられず、上記のような最長でも4秒ぐらいの動画に行き着いたそうです。

その結果、動画を見たユーザーから「この製品はおいくらですか?」などのコメントやリプライが多くなり、動画を介してユーザーとポジティブなコミュニケーションが取れるようになったと言います。

「岡三オンライン(旧 岡三オンライン証券株式会社)」口座開設数が約3倍に

okasan-02.png

https://www.okasan-online.co.jp/
2つ目は、株式や投資信託、FXなどを取り扱う「岡三オンライン」の事例を紹介します。

  • 課題:動画制作のリソース不足
  • 対策:動画コンテンツを拡充するため『Video BRAIN』を導入
  • 結果:1ヶ月で40本以上の動画制作ができる体制を構築、動画広告では口座開設数が約3倍になった

岡三オンラインは、もともと動画マーケティングを積極的に行っていましたが、社内のリソース不足に加えて高額な外注費用が問題で、動画の量産に踏み込むことができない状況でした。

スピードが命とも言える投資情報に合わせるため、動画制作が迅速に行える『Video BRAIN』を導入。主に、YouTube広告広告からホームページに流入してきた顧客向けのマニュアルとして動画を活用しており、今では月40本以上の動画を内製化しています。

動画を量産できるようになったことで、ABテストが実行しやすく、様々な検証が可能になりました。例えば、下記のようなナレーションを入れた動画をYouTube広告で配信したところ、従来のYouTube広告経由と比べて口座開設数がおよそ3倍に。ユーザーからも「動画があってわかりやすかった」という声が多数あり、ユーザー満足度も向上しています。

また、マニュアル動画を整備したところ、コールセンターへの問い合わせ件数も減少傾向になり業務効率改善にも繋がっています。

テキストや静止画だけではわかりにくい内容を、動画にしたからこそ解決できた成功事例と言えるでしょう。

事例から読み解く、動画マーケティング成功の共通点

2つの動画マーケティングにおける成功事例を紹介しましたが、具体的にどのようなポイントが成果を上げた要因だったのでしょうか。ここでは、成功した共通点を紹介します。

動画活用の目的とターゲットを定める

zirei-03.png

「動画を配信すれば効果が出る」このように考えている人は、動画の考え方を見直した方がいいかもしれません。動画マーケティング成功のポイントは、動画制作前の段階でほぼ決まります。

具体的には、動画制作の前に「誰に」「何を」「どうやって(どこに)」「どのように」を定めます。

「誰に」では、商品やサービスの対象となるユーザーにはどのようなインサイト(購入までに至る動機や抱えている課題)があるかを読み解くことが大事です。「何を」では、企業が動画を配信する目的とそれを見たユーザーにどうなって欲しいかを決めます。

「誰に」と「何を」は最も重要とされ、例えば岡三オンラインの事例では、以下のように考えられます。

「誰に」=岡三オンラインの口座を開設する人(証券会社の口座開設が初めての人)
「何を」=ユーザーがストレスを感じないようにスムーズに口座を開設してもらう

初めて利用する人にとって複雑に感じる口座開設を、動画+ナレーションで解説したことで「動画があってわかりやすかった」とユーザーからポジティブな反応を得られる結果に繋がりました。

「どうやって(どこに)」では、YouTubeやTwitter、ホームページなど動画を配信する媒体を決めます。媒体によって特性があり、動画の時間や構成が変わるため動画構成の前に決めることが大事です。

「どのように」では、時間や動画の流れ、訴求ポイントなど動画構成を考えます。特にSNSではスキップされる可能性が高いので、どこで一番重要な要素を持ってくるかが決め手になります。

正確な分析とトライ&エラーを繰り返す

zirei-04.png

2つ目の共通点は、正確な分析とそれに伴うトライ&エラーを繰り返したことにあります。エレコム株式会社では、Twitterにて静止画と動画の比較検証を行い、動画ならではの伝わりやすさのポイントを押さえた配信を行っていました。

例えば、以下のような点が静止画と動画の伝わりやすさの違いです。

静止画:イヤホンの新しい色を紹介する場合は、静止画の方がわかりやすい
動画:叩く音が静かなキーボードや、体幹トレーニングを試してもらう場合は動画の方がわかりやすい

その他、同じ動画でもアニメーションのパターンや色を変えたり、時間を短くしたりと様々なバリエーションで検証を行っています。その過程から効果の高い動画コンテンツが生み出されたのです。

これらは初めから“分かっていた”のではなく、複数のパターンを繰り返し検証したからこそ分かったことです。逆に言えば「動画の成果を感じられない」と悩んでいる方の多くは、動画配信後の検証を正確に行っていないケースがほとんどです。

複数の動画から導き出した、動画編集の勝ちパターン

今回紹介した2つの企業以外にも『Video BRAIN』は多数の企業が導入しており、成功事例も蓄積されています。

ここでは、複数の動画に関わった株式会社オープンエイトだからこそ導き出せた動画編集の勝ちパターンをいくつか紹介します。

動画編集の際は、以下の点に注意して取り組みましょう。

ユーザーが動画の続きを見るか見ないかは、最初の2秒で決まる

特にTwitteが当てはまりますが、ほとんどの動画は最初の2秒で勝負が決まります。そのため、最後まで見たくなる始まり方になっているかがポイントです。例えば、最初の1秒でどういう動画なのかが分かるタイトルや不安訴求メッセージで、ユーザーに自分事化してもらう仕掛けが必要です。

情報量を減らす

情報量を減らす.png

冒頭でテキストが多いとユーザーは一瞬で離脱する傾向があります。そのため、伝えたいことは最低限に絞りましょう。具体的にはタイトル(キャッチフレーズ)と簡潔な文章のみにするなど、一度に訴えるテキストは1〜2個が適切です。

どうしてもテキストが多くなる場合は、前段で紹介したエレコム株式会社のTwitter投稿のように、アニメーションで1行ごとに文字を出すなど、まとめて出さないようにしましょう。

色は3色でまとめてシンプルに

デザイン経験のある人が動画制作する場合は問題ありませんが、企業によっては未経験の人が担当になるケースも少なくありません。未経験の人がやってしまいがちな例として、色を多く使いすぎてしまうことが挙げられます。これにより、デザインに統一感がなくなる上、何を強調したいのかも分かりづらくなってしまうのです。

基本ベースとして「ベースカラー」「メインカラー」「アクセントカラー」の3色で構成すると統一感が生まれます。その他にも、商品やサービスのブランドカラーとキーカラー(ブランドカラーの反対色)のみでまとめるなど色を多用しないようにしましょう。

テキストにメリハリをつける

メリハリ.png

動画の中でテキストの大きさが全て同じになると非常に見にくくなります。以下のように訴求するテキストの優先度に合わせて、テキストの大きさを判断することがポイントです。

  • (大)最も伝えたいもの
  • (中)次に読んで欲しいもの
  • (小)読まれなくても支障がないもの

今後さらに注目される動画マーケティングで失敗しないために

動画マーケティングを成功させるには「動画活用の目的とターゲットを定める」ことと「正確な分析とトライ&エラーを繰り返す」ことが大事だと伝えましたが、それらを実行するには社内体制を整えることも必要です。

しかし、「動画マーケティングの戦略や方針を定める人がいない」「動画制作の外注費が高い」「社内リソースが足りない」などの課題を多くの企業が共通して抱えており、社内で一から体制を整えるには時間もコストもかかるため、簡単に解決できることではありません。

こういった問題を解決してくれる動画編集ツールやサービスは、日進月歩の勢いで進化しており、これから動画マーケティングを始める企業の助け舟になるでしょう。

関連リンク

動画マーケティング注目のVSEOとは。動画活用のポイントやSEOに与える影響

動画マーケティング注目のVSEOとは。動画活用のポイントやSEOに与える影響

VSEOとは「Video Search Engine Optimizaition」の略で、動画の検索エンジン最適化と言われるもので、動画コンテンツを活用して検索上位を獲得し、より多くのアクセスを集める手法です。この記事では、VSEOの重要性やVSEOを行う上でのポイント、動画がSEOに与える影響について解説します。

2022年以降の動画マーケティングの展望は?直近のトレンドをふまえて解説

2022年以降の動画マーケティングの展望は?直近のトレンドをふまえて解説

コロナ禍でオンラインコミュニケーションの機会が増えた影響もあり、ここ1~2年で動画を活用する企業が増えてきました。この記事ではBtoBとBtoCにおける動画マーケティングの最新トレンドについて解説します。