企業のマーケティング活動の一つとして動画の利用が一般的になりつつあります。みなさんも一度はSNSのタイムライン上を流れる動画広告を目にしたことがあるのではないでしょうか。

その証拠に、株式会社D2Cの調査データ(※1)によれば国内の動画広告市場は2015年で516億円、2016年には前年比160%、825億円と高い成長率を示し、今後も続くことが予想されています。

そういった背景がある中で、動画を活用した新たなマーケティング手法が、2年ほど前から浸透しつつあるのをご存知でしょうか。

それが動画メールを使った “動画メールマーケティング” です。一般的なメールマガジンに比べてCVRが500%アップした例があるなど、動画広告に力を入れている企業を中心に国内でも導入が増えています。

本記事ではエクスペリアンジャパン株式会社監修のもと、動画マーケティング先進国である北米での調査データや実際の導入結果なども交えて動画メールマーケティングの企業活用についてご紹介いたします。

動画メールマーケティングとは

動画メールマーケティングとは、メールマガジンに動画コンテンツを設けることで、いわゆるアテンションを促すことを目的としたマーケティング手法。大きな特徴は3つです。

動画ならではのアテンションの高さ

動画メールは従来の静止画やテキストに比べて、視覚的にも分かりやすい情報によってアテンション(興味関心の獲得)を促す強力なコンテンツとなります。

また動画メールはユーザーがメールを開封しないと閲覧できません。反対に言えば「意図的にコンテンツを閲覧するユーザー」の集客に役立ちます。例えばYoutubeのTrueview広告ですと、自社の広告を意図的に閲覧するために訪れたユーザーではない(Youtubeで動画を楽しむために訪れている)ため、反応が高くないこともしばしばあります。その点、動画メールであれば自社にとって顕在的なユーザーに動画コンテンツを提供することが可能になります。

動画が持つ情報訴求力はCVRの劇的アップに寄与

前述でも述べたアテンションに加え、動画にはテキストや静止画にはない「情報訴求力」が強みです。動画を見ればどんな商品か、どんな利用シーンがあるかをユーザーに想起させることができ、商品認知度や購買意欲を高め、商品紹介ページを経由せずとも、商品購買(CVR)といった直接的な利益に対する効果へ寄与。また、活用方法によっては広告以外にもCRMを目的に利用することも可能です。

資産である動画コンテンツをリユースできる

FacebookやYoutube広告で動画を使うことの多い企業にとっては、保有している動画コンテンツをリユースして動画メールに活用することが可能。また、先程の大手プラットフォームを介して配信する動画広告と比べても自社で保有するハウスリストを使って配信するため、配信コストを安価に抑えたアプローチができるメリットもあります。

6割のマーケターが活用。米国の動画メールマーケティング事情

動画広告の先進国である米国で行われた過去の調査結果(※2)によると、米国の動画広告市場において2015年で約9400億円に達しており、2019年までには約1兆6880億円の市場規模になると予想。

国内と比べると10倍以上の開きがある米国の動画広告市場。そんな米国において、動画メールマーケティングの実情を350以上のB2Bマーケティング、代理店などの専門家からの調査結果(※3)も交えながら触れていきましょう。

まずは利用する業種BtoBBtoC双方とも半数、もしくは半数以上が利用。動画メールマーケティングは、エンタメやマスメディア、パブリッシャーから導入が始まったことからもBtoCが多く利用している傾向が強いようです。

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実際の効果については、8割以上が効果が上がったと答え、うち3割はかなり効果に手応えを感じた模様。

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先程の回答を踏まえ、具体的な効果についてはCTRCVRを中心に大きな効果を感じたようです。このことからも動画メールによるアテンションの高さ、ユーザーに興味・関心を抱かせる表現力の高さが伺えます。

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国内での活用事例と動画メールを提供するエクスペリアンジャパンとは

国内での活用事例について動画メール配信サービスを提供するエクスペリアンジャパンに、お話をお伺いしました。まずは、エクスペリアンジャパンの提供する動画メール配信サービスについてご紹介。

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エクスペリアンジャパンは国内で累計5,300社以上の取引実績を誇るメール配信システム「MailPublisher」や、マーケティングオートメーション「Cross-Channel Marketing Platform(CCMP)」などのマーケティングツールだけでなく、その中身であるコンテンツやシナリオのコンサルティングも展開。動画メールについては、既に北米を中心に2012年よりグローバルで展開しており、国内では昨年2月から提供を開始しました。

堅調に利用企業が増えており、2016年は昨年対比で150〜200%ほどの導入があったとのこと。

同社が提供する動画メール配信サービスは、自動再生機能と幅広いメーラーに対応しているのが大きな特徴です。

自動再生機能

配信した動画メールは、開封後にメール内で自動再生されるため、わざわざ開封後にユーザーに対して何らかのアクションを求めずとも視聴してもらえます。つまり、開封=視聴といった点がアテンションの高さにもつながっていると考えていいでしょう。

動画メール配信サービスの中には、メール内では再生されずメールの先にある着地ページではじめて再生されるものもあるそうなので、利用を検討している際は注意したいポイント。

幅広い端末やメーラーに対応

メール内で動画を自動再生するにあたって重要となるのが、自動再生可能な端末やメーラーといった対象環境の数。この対象環境が少ない場合、いくら動画メールを送っても自動再生されず、せっかくの動画コンテンツも視聴できるユーザーが限られてしまいます。

エクスペリアンジャパンの提供するサービスでは、そういった機会損失を減らすために国内でシェアの高い端末やメーラーでも自動再生できる対象環境の多さが強み。簡単にエクスペリアンジャパンと他社サービスの比較をした図が以下となります。

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実際の利用にあたっては、入稿規定に従って動画素材などをエクスペリアンジャパンに送り、発行されるタグをメールの文面に設置するのみ。そのため、普段使っているメール配信サービスを変えずとも動画メールを配信することができます。

動画メールの活用事例

以下では、実際に動画メールマーケティングを実施した国内の事例についてご紹介します。

集英社

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メールのクリック自体が7.3%、動画メールから訪れたユーザーの直帰率が52.8%という結果も踏まえて、動画メール経由で訪問したユーザーの直帰率の低さが際立った事例。その他、サイト回遊率も高い傾向にあったことから新規もしくは休眠ユーザーへのアプローチとしての活用も視野にいれたアプローチも検討しているといいます。

CROSSCO

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こちらはBtoB向け事例。これまで情報発信が主な内容だったが、動画メールを使って謹賀新年の挨拶を送ったところ、クリック率が26.6%という高い結果を記録。それに加え、実際に「見ましたよ!」と反響があるなど、動画メールからコミュニケーションが生まれるキッカケにもなったようです。

MARK STYLER

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動画メールの有・無で検証したところ、動画メールのほうがCVRが500%アップ、売上としては200%アップ。一方で送客率(CTR)は下がった点も踏まえると、明確に質の高い検討ユーザーのみを送客したことが分かった。つまり、動画メールは購買意欲に大きな影響を与えることが分かる事例になったとのこと。

まとめ

事例からも共通して言えることは、動画コンテンツの強力なアテンションによってユーザーに行動を促しているということです。

このことからも自社のハウスリストを活かしきれていない、あるいはメールマガジン経由の成果が落ち込んでいる企業の新たなコミュケーション手段となるほか、動画コンテンツを資産として保有しているにもかかわらず、持て余しているような企業にとっては、リユースすることで新たなアプローチが可能になるでしょう。

エクスペリアンジャパンによれば、同社が提供する動画メールサービスに至っては従量課金制のため、キャンペーンなどの短期的な利用が多いとのことなので、これから動画マーケティングを検討している企業にとっては試しやすいのではないでしょうか。

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(※1)インターネット広告市場規模推計調査
(※2)Most Digital Video Monetization Still Comes from Ads
(※3)2015 Online Video Marketing Survey and Trends Report