この記事は、2016年11月16日の記事を再編集しています。

自社のホームページを運用していると、スマートフォンユーザーへの対応、CVRの向上など、改善すべき課題がたくさん出てきます。他の業務も抱えている中で、どのように効率的に改善を図っていくべきか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

そんなとき、活用していただきたい手法がリーンスタートアップです。リーンスタートアップとは、仮説を立てた上でまずは小さな規模でプロジェクトを実行し、効果検証を行いながら改善していく手法です。

今回は、リーンスタートアップの意味と、その手法を活かしたホームページ運用について解説します。インターネットやユーザーの変化に臨機応変に対応していく上で参考にしてみてください。

目次

  1. リーンスタートアップとは
    1. トヨタ生産方式
    2. 構築→計測→学習のサイクル
  2. リーンスタートアップのポイント
    1. 最小で素早く
    2. 低コストを心がける
    3. 進行しながら変化を起こす
  3. ホームページ運用でリーンスタートアップを活用しよう
    1. 構築する(仮説を立てる)
    2. 計測する
  4. まとめ

リーンスタートアップとは

リーンスタートアップとは、ある事業やプロジェクトをコンパクトに立ち上げ、効果検証を行いながら臨機応変に改善していく手法のことです。

2008年にアメリカの起業家エリック・リース氏が提唱しました。「リーン」は「無駄がなく効率的」「贅肉がない」という意味で、「スタートアップ」は「新しい事業の創造」を意味しています。

トヨタ生産方式

リーンスタートアップは、トヨタ自動車株式会社が生み出した「トヨタ生産方式(リーン生産方式)」に基いています。

トヨタ自動車株式会社は、生産工程の中で異常を検知したら自動的に機械レーンを停止すること、必要な部品は必要なときに必要な量のみ生産することなど、状況に応じて臨機応変に対応する生産方式を採用しています。

参考:
トヨタ生産方式|トヨタ自動車株式会社

構築→計測→学習のサイクル

リーンスタートアップは、「構築→計測→学習」のサイクルで進めます。

構築

顧客の課題とその解決法に関して仮説を立て、アイディアを考えます。規模はできるだけコンパクトにし、コスト面でも立ち上げやすい範囲で組み立てます。

計測

実際にプロジェクトを立ち上げてみて、顧客の反応や効果を計測します。構築時に立てた仮説が正しかったか、誤っていればどこが原因なのかを突き止めます。

学習

計測の結果から、具体的な改善点を探ります。「このプロジェクトは成功するのか」を早い段階で見極め、リスクとなり得る部分を把握し軌道修正します。

参考:
リーン・スタートアップ|エリック・リース

##ホームページ運用にリーンスタートアップが活かせる理由
プロジェクトをコンパクトに立ち上げ、運用中に効果検証をしながら改善する手法は、ホームページ運用にも役立ちます。インターネットは変化も激しく、新しい施策や改善が求められるためです。

インターネットの世界は「一寸先は闇」が当たり前

インターネットは常に変化にさらされています。スマートフォンの利用率が高まっていたり、Googleアルゴリズムが頻繁に変更されたりと、ホームページ運用者はその都度対策を講じなければなりません。

変化の激しい世界だからこそ、リーンスタートアップの手法が活用できるのです。

リーンスタートアップのポイント

リーンスタートアップの手法を活用するために気をつけるポイントを3点ご紹介します。

1.最小で素早く

ホームページの仕様変更は、まず最小限の範囲かつ最短時間で行いましょう。効果が出なかった時、思わぬ問題が発生した時など、すぐに対応できる準備を整えておくことも大切です。

2.低コストを心がける

近年では、クラウドサービスやオープンソースの活用で、初期費用への投資は以前よりも少なく済むようになりました。過度な投資をして失敗し、無駄にしてしまうことのないよう、初期費用はなるべく抑える事が大切です。

3.進行しながら変化を起こす

リーンスタートアップは最小限、低コストで立ち上げるため、実行中に修正が必要な場合も出てきます。素早く柔軟な対応が求められるため、できるだけ時間をかけずに改善し、再度実行に移すことが重要です。

状況の変化に応じて「構築→計測→学習」のサイクルを常に回し続けましょう。

ホームページ運用でリーンスタートアップを活用しよう

リーンスタートアップを実際にホームページ運用に活用するためには、具体的にどのようなサイクルを回せば良いのでしょうか。

今回は、ホームページからの問い合わせが前年度比で減少してしまったケースを例に解説します。

1.構築する(仮説を立てる)

今回、例としてあげる解決したい問題は、ホームページからの問い合わせ件数が前年度比で減少してしまったということです。

Googleアナリティクスをみると、前年とくらべてスマートフォンユーザーからのアクセスが増えていました。そこで自社ホームページをスマートフォンから閲覧してみると、画面の幅が狭くなった分、問い合わせフォームが縦に長く伸びてしまい、見づらいことに気付きます。

ここでひとつ仮説を立ててみましょう。

スマートフォンユーザーは、縦に長い問い合わせフォームに入力するのが途中で面倒になり、離脱してしまうのではないか。

続いて、仮説を検証するための方法を考えます。

問い合わせフォームの文字サイズを小さくし、画面を短くする。それによって問い合わせフォームからの離脱が減れば、仮説は証明できる。

このとき、実行した結果を比較検証するために、現状を定量的な記録として残しておきましょう。

また、仮説の立て方にはMVPという手法もあります。詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。

参考:
リーンスタートアップの仮説検証とMVPキャンバス|株式会社スタンダード

2.計測する

仮説を検証するために、施策を実行して効果を計測します。今回は、Googleアナリティクスを利用します。

問い合わせフォームの文字サイズを変更した前後の期間を比較してみましょう。

リーンスタートアップ_-_1.jpg
Googleアナリティクスで離脱率の推移を計測するには、以下の手順で抽出します。

トップ>行動>概要>期間と指標を指定

リーンスタートアップ_-_2.jpg
行動フローを確認し、問い合わせフォームで離脱するユーザー数が減っていれば、仮説は正しいといえます。行動フローは以下の手順で抽出します。

トップ>行動>行動フロー>期間とディメンションを指定

3.学習する

計測の結果から、更に具体的な改善策を講じていきます。問い合わせフォームの文字サイズを小さくしたにも関わらず離脱率が下がらなかった場合は、また別の原因を仮説立てて検証します。

構築→計測→学習」のサイクルを繰り返していくことで、施策を実行して前進しながら改善を図ることができます。

まとめ

リーンスタートアップでは、問題解決のための仮説を立て、小さな規模から施策を実行し、結果を分析して更なる改善に繋げていきます。

施策実行の結果、仮説が証明されなければ、早急に方向転換することが重要です。そのためにも、施策はできるだけ費用面でも人材面でも低コストで始めることをオススメします。

変化に乗り遅れないように改善を繰り返し、より良いホームページにしていくためにも、リーンスタートアップの手法をぜひ日々の運用に活かしてみてはいかがでしょうか。