Cookie規制、薬機法や特商法の改定、広告のCPM高騰など、変化の大きいEC市場。マーケティング施策も常にアップデートが必要ですね。

そこで今回は、ECサイトの直近の利用状況から、リーチ施策、CVR改善、満足度アップなど5つのフェーズに分けて、調査データを紹介しながら直近の動向を考察していきます。
注力すべき施策などの参考にしていただけますと幸いです。

目次

  1. ECサイトの利用状況
  2. リーチ施策・集客施策|SNS・動画・インフルエンサー
  3. サイト改善・CVRアップ施策
  4. 顧客満足度アップの施策
  5. 戦略設計・ビジネス展開
  6. まとめ

1. ECサイトの利用状況

20代の半数以上は週に1度以上ECサイトを利用

まずは、直近のECサイト利用状況です。IRISデータラボ株式会社の調査によると、 20~40代の直近3か月間でのECサイトの利用率は66.2%となっています。

「1週間に1回以上」利用している人の割合は全体では42.7%、20代では54.5%で、40代では「1か月に1回程度」が最も多く32.5%となっています。
20代は半数以上が週に1回はECサイトを利用していることになりますね。

グラフ_ECサイトの利用頻度.png

出典:20~40代に聞いたECサイトに関する利用実態調査|IRISデータラボ株式会社
(2022年5月調査)

ECサイトで1ヶ月に使う金額は4,000円以内

同社による「1ヶ月あたりのECサイト利用額」についての調査では、
・2,001円~4,000円:31.0%
・2,000円以内:23.7%
と、4,000円以内が半数以上になっています。

年代別に見ると、30代・40代は20代に比べて8,000円以上の割合が高く、年代が上がるにつれて1回あたりの利用金額は大きくなる傾向があります。

グラフ_ECサイトの利用金額.png

出典:20~40代に聞いたECサイトに関する利用実態調査|IRISデータラボ株式会社
(2022年5月調査)

▼ 14年連続シェアNo.1!のECサイト構築サービス「メルカート」はこちら

メルカート紹介資料

メルカート紹介資料

14年連続シェアNo.1! ノウハウを詰め込んだクラウドECサイト構築サービス「メルカート」についてご紹介致します。

2. リーチ施策・集客施策

続いて、ユーザーにリーチするための施策や、サイトへ集客するための参考になりそうな調査データを紹介していきます。

6割が自社ECでSNSに注力

「現在自社ECで注力している施策について」株式会社フューチャーショップが調査したアンケートによると、「Instagramなど口コミをSNSを活用したファン化」が61.2%と圧倒的に多いことがわかりました。

グラフ_ECサイトの注力施策.png

出典:今年2022年はEC売上が伸びる、と6割が予測|株式会社フューチャーショップ
(2021年12月調査)

認知のきっかけ、Z世代はInstagramが50%

また、商品認知のきっかけについて年代別に見ると、下記の違いがわかります。

・Z世代:Instagramが50
・X・Y世代とシニア世代:インターネットが70%以上

グラフ_認知のきっかけ.png

出典:通販の「認知・購買」に関する世代別比較調査|株式会社東通メディア
(2022年4月8日調査)

Z世代(10~20代)がメインターゲットのECサイトであればInstagramでのリーチ施策は欠かせない一方、30代以上はAmazonや楽天などのECモールや、検索から認知する人も多いため、自社サイトのデモグラフィックを確認してバランス良く施策を打つと良いでしょう。

動画と新たなSNS

上記調査で注目したいのは、Z世代はYoutubeTwitterからの認知も多いことです。Instagramしかり、若年層で支持を伸ばしているTikTokしかり、若年層がターゲットであれば特に新しいSNSメディアへの施策は取組んでいきたいところ。

また、最近はどのSNSメディアでも動画投稿動画広告の機能が進化しており、SNSと動画は切っても切り離せない施策となっています。

▼ SNS動画広告を効果的に活用する方法はこちら

SNS動画広告の効果的な活用ポイント

SNS動画広告の効果的な活用ポイント

SNS動画広告の効果的な活用ポイントについてまとめました。

インフルエンサー活用

InstagramをはじめとするSNS、そして動画活用と関わりの深いのが「インフルエンサー活用」です。

アライドアーキテクツ株式会社の調査によると「市場変化に伴いマーケ施策をアップデートしていますか?」という質問に「実施している」と答えた企業に対し、「実行した具体的な施策」を聞いたところ、インフルエンサー活用50.6%となっており、「新たなSNS」や「動画への移行」よりも多い結果となっています。

グラフ_新たな施策.png

出典:EC事業のマーケティングの実態調査|アライドアーキテクツ
(2022年5月調査)

市場の変化に対応すべく施策をアップデートしているアンテナの高い企業の間では、インフルエンサー活用がトレンドであることがわかりますね。

▼ Instagram動画広告の基本がわかる資料はこちら

Instagram動画広告完全ガイド

Instagram動画広告完全ガイド

マーケティング担当者のためのInstagram動画広告完全ガイドについて解説致します。

3. サイト改善・CVRアップ施策

リーチ・集客ができたら、次はサイトでのCVRアップですね。
ここではサイト改善のヒントになる調査データを紹介しています。

カートに入れた後に購入をやめたことがあるが87%

IRISデータラボ株式会社の調査によると、カートに入れた後に購入をやめた経験があるユーザーは、「複数回」が79.8%、「1度のみ」が7.2%と合計で87%にも上ります。

3-1_グラフ_購入やめた経験.png

出典:20~40代に聞いたECサイトに関する利用実態調査|IRISデータラボ株式会社
(2022年5月調査)

購入をやめた理由は大別すると2つ。
・会員登録・設定が面倒
・カートに入れた後に商品や内容を吟味した結果

後者は比較して選びたいユーザーの自然な行動ですが、前者の「会員登録・設定が面倒」はサイトのUIで改善できる可能性がありますね。
会員登録時のストレスについては、もう1つ興味深いデータがあります。

「会員登録が面倒」は女性が約2倍

同社による「ECサイトを利用する際の不満」についての調査では、「送料が高い」「サイズ感・手触りなどがわからない」などマーケ担当者ではコントロールできない問題が上位ですが、興味深いのは「会員登録が面倒」という理由の男女比です。

グラフ_ECサイトへの不満.png

出典:20~40代に聞いたECサイトに関する利用実態調査|IRISデータラボ株式会社
(2022年5月調査)

男性が10.3%に対して女性が18.3%と約2倍。女性ターゲットのECサイトは特に、会員登録フォームでのストレスを軽減することがCVRアップの鍵になりそうです。

フォーム最適化(EFO)のポイント

ここで改めてフォーム最適化(EFO)の基本的なポイントをおさらいしましょう。

・不要なフォーム項目は減らす
・入力を補助する機能がある(住所自動入力など)
・入力ミスを減らす工夫(注意書き・入力例の表記)
・エラー表示の工夫(入力ミスにすぐ気づけるなど)
・スマホでもスムーズに入力できる

EFOについては下記の記事で詳しく説明していますので、興味のある方はご参照ください。

▼ EFOって?フォームを改善して売上を上げるための20のテクニック

https://ferret-plus.com/511

▼自分でフォームを簡単に作れるツール

”【有料ユーザー数No.1】直感的な操作のみでデザイン性の高いフォームを作成するなら「formrun」

”【有料ユーザー数No.1】直感的な操作のみでデザイン性の高いフォームを作成するなら「formrun」

専門知識不要&ノーコードでデザイン性の高いフォームを簡単に作成できます。無料でご利用できるので、まずはお試しください。

4. 顧客満足度アップの施策

前述の調査で、UGC(User Generated Content)とは、口コミやSNSでの投稿など「ユーザーによって生成されるコンテンツ」のこと。実際に商品を購入したユーザーの本音が知れるため、マーケティング、商品改善、サイト改善、サポート改善などあらゆるプロセスに活かすことができます。

グラフ_UGCの成果.png

グラフ_UGCの活用.png

出典:EC事業のマーケティングの実態調査|アライドアーキテクツ
(2022年5月調査)

UGCの活用に取組んだ企業の96%が「施策成果が向上した」と回答。具体的に何の成果が向上したかの質問について、ベスト3は売上高の向上LTVの向上CVRの向上。複数のマーケティングフェーズで活用されていることがわかります。

UGCの活用には、SNS分析ツールを使うとより効率的です。下記記事にてSNS分析ツールをいくつか紹介していますので、ご参照ください。

▼記事:Instagramで成果を出すには?運用に必須の分析方法と無料分析ツール

https://ferret-plus.com/31025

▼記事:Twitterの分析ツール7選!バズるアカウントを目指すツールを紹介

https://ferret-plus.com/23704

CRMの強化

グラフ_新たな施策.png

出典:EC事業のマーケティングの実態調査|アライドアーキテクツ
(2022年5月調査)

UGC活用に次いで、注力されている取組みが「CRMの強化」。CRMにも様々な活用方法がありますが、ここではECサイトでの顧客満足向上につながる活用例をいくつか挙げます。

・顧客履歴を活用した商品提案
・アプリやメルマガの有効活用
・問い合わせ対応の改善

・顧客履歴を活用した商品提案

最も効果が分かりやすいのが、ユーザーひとり一人のニーズに合った商品をレコメンドすることによるアップセルです。適切なレコメンドで 3~4倍のアップセルができたという事例もあります。

・アプリやメルマガの有効活用

アプリもあるけど、今ひとつ活用し切れていないという企業も多いのではないでしょうか?
CRMを導入して、バラバラだったECサイトとアプリの顧客データを統合、アプリプッシュ通知によるアプローチでアプリCVを改善するという活用も可能です。

また、メルマガPDCAも回しやすくなるため、メール経由の売上を伸ばすなどの施策にも活用できます。

・問い合わせ対応の改善

問い合わせ対応の時間短縮ができたり、社内でのコニュニケーションミスが減らせることで、運用側の負荷も減らせると同時に、ユーザーのストレスも軽減することができます。

このように上手く活用できればメリットの多いCRMですが、導入コストが高い、結果が出るまである程度の時間がかかるなどで、導入がなかなか進められない担当者の方も多いと思います。下記の記事や資料を参考に、導入に向けて準備をしてみてはいかがでしょうか?

▼記事:CRM導入で失敗する企業・成功する企業の分かれ道とは?

https://ferret-plus.com/49605

▼資料:CRM導入をスムーズにする「社内稟議」の進め方

”上長も納得”の社内稟議の進め方5つのポイント

”上長も納得”の社内稟議の進め方5つのポイント

社内稟議をスムーズに進めるための5つのポイントを説明しています。

5. ビジネス展開

最後にECサイトのビジネス展開に関する調査データを紹介します。

「越境ECを継続したい」が84%

コロナ禍により購買行動のオンライン化がさらに進んだことと、円高による追い風によって越境ECへの注目度はますます高まっています。

BeeCruise株式会社がすでに越境ECに取組んでいる企業を対象に行ったアンケート調査によると、「越境ECを継続したい」と答えた企業は84%にも及びます。継続したい理由は「販路拡大ができるから」が83.7%で圧倒的に多く、次いで「運用面で負担が少なく、簡単に海外販売ができる」が53.5%でした。

グラフ_越境ECの継続意向.png

グラフ_越境ECを継続したい理由.png

出典:BEENOS株式会社|越境EC導入企業に聞いた、活用と課題の実態調査~
(2022年3~4月)

課題は海外のマーケティング方法

販路が拡大でき、運用コストも安い越境EC。導入前に不安視されていたコスト配送言語の問題についても、「Buyee Connect」のような越境EC支援サービスがあることによって解決できるため、導入ハードルは意外と高くないようです。

グラフ_越境EC_課題.png

出典:BEENOS株式会社|越境EC導入企業に聞いた、活用と課題の実態調査~
(2022年3~4月)

では、課題は何かというと「海外のマーケティング方法が分からない」が64.7%と最多です。
プロモーションを行なっている企業は3割以下、行なっている企業の手法としてはInstagramやFacebookなどの自社SNS発信から始めている企業が多いようです。

グラフ_越境ECプロモーション.png

元々ECサイトとSNSは相性が良く、InstagramやFacebookはグローバルなプラットフォームなので、まずはSNS発信から始めるで問題ないと思いますが、今後はその国ならではのユーザー購買行動などの情報に注目をしていきたいところです。

まとめ

以上、ECサイト・D2Cサービスに関する直近の調査データをいくつか見てきたポイントをまとめます。

・リーチ施策・集客施策ではインフルエンサー活用に注目
・サイト改善・CVRアップは引き続きEFO
・顧客満足度向上にはUGC活用とCRM活用
・越境ECは販路が拡大でき、今のところ運用コストも安い

変化の激しいEC・D2C市場、今後も習慣的に情報をインプットし、定期的に施策のアップデートを心がけましょう。