CRMツールは顧客育成の土台を支えるものとして、BtoBマーケティングを展開する上で今や欠かせない存在です。

しかしその一方で「ツール導入に関して、上司や社内の理解がなかなか進まない」と悩みを抱えている会社も多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では、CRMツール導入の失敗を未然に防止してスムーズに進め、その後の社内定着につなげるポイントを解説します。

目次

  1. CRMの導入…社内稟議が通らない!
  2. CRM導入後に陥りがちな失敗
  3. CRM導入前にやるべきこと
  4. スムーズに決裁を取る!稟議書作成のポイント
  5. CRM導入後、定着させるための工夫
  6. ノウハウが豊富な支援会社のサポートを受ける、という考え方

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”上長も納得”の社内稟議の進め方5つのポイント

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社内稟議をスムーズに進めるための5つのポイントを説明しています。

CRMの導入…社内稟議が通らない!

CRMツール導入で、最初にぶつかりがちな壁が「社内稟議」です。新規のシステム導入に関して上司(決裁者)の理解を得られず、決裁が下りない事態です。

上司側の視点

  • 費用対効果はどうなの?
  • 本当に定着する?

CRMツールは、長期間にわたって顧客との関係を管理・育成するための手段です。

「じっくりと時間をかけて顧客との関係を良好にして、一件でも多くの成約に繋がると良いよね」「社内のマーケティング活動が、今よりもっと効率的になったら良いよね」という発想自体は、社内メンバーも、そして上司も賛成できるはずです。

しかし上司の立場では、「新規にシステム導入して、うまく活用できず結果的に無用の長物になるのは避けたい」「本当に費用対効果、投資効率が高いと言えるのか?」といったポイントを、特に厳しく重視するでしょう。

何か新しいシステムを導入する際の稟議書では、費用対効果導入リスクと対処を明確にすることが非常に重要なポイントです。

CRM導入後に陥りがちな失敗

新たなシステムの導入フェーズにおいて、ありがちなのが

  • 導入の目的が曖昧
  • ツールさえ導入すれば後は何とかなる!と大雑把に捉えている
  • 社内で理解が得られていない

といった問題です。

これらが整理できていないまま導入を推し進めてしまうと、次のような失敗を招きやすくなってしまいます。

① 既存システムからの移行が進まない

●(例)「顧客リスト管理?これからもExcelのままで良いでしょ」

CRMツール導入に対する現場の理解が曖昧で、ツールの目的・意義も勘違いしている場合に起こりがちです。

いつまでも「CRMツール=単なる顧客リスト管理ツール」などとツールの意義を誤認されていると、「脱Excelできない」「新しいツールが一向に活用されず、定着しない」といった事態を招きます。

② 操作が難しすぎて、次第に活用しなくなる

(例)「高機能なツール導入で、様々な施策が打てる!」→「操作が複雑・面倒」

CRMツール導入によって、自社は何の課題を解決したいのか?」が明確に絞り込めていない場合に起こりがちな失敗です。

「とりあえず高機能なツールを導入すれば、後はいろいろできそうだから、何とかなる」といった考え方だと、あれもこれも機能を使いこなそうとして、日々の現場での操作がどんどん複雑で面倒なものになっていきます。すると、せっかく新規で導入したツールも次第に活用されなくなり、結果的に社内定着しません。

③ 部署間のデータ連携がうまくいかない

(例)「部署間で顧客データの統合・連携につまづく」→「CRMツールの長所を活かせない」

部署ごとにデータリテラシーの差が大きい場合や、組織内での情報共有の仕組みづくりが不十分な場合に直面しがちな壁です。

④ 導入によって、逆に現場の負担が増える

(例)「CRMツールでマーケティング業務の効率化!」→「逆に仕事量が増えた」

CRMツールのお陰でマーケティング活動が円滑に回り始める以前に、ある程度、顧客データベースの構築・整備の手間や時間がかかります。そのプロセスを軽視し、ツールの運用体制を深く考えないままに導入を進めてしまうと、「データベース初期構築のためのリソースが足りない!」といった事態を招き、うまくいきません。

また、導入後にシステムトラブルが発生した際のサポート体制確保についても、あらかじめ十分な検討が必要です、後々「ツールのせいで、手間が増えたよね?」などと現場から不満が出る事態にもなりかねません。

CRM導入前にやるべきこと

導入リスクを低減し、決裁権限を持つキーマンの理解を得られるよう、準備をしていきましょう。

①自社が抱える課題と、導入の目的を明確に定める

まず、「CRMツールを使うことで、何を実現させたいのか?」「何の課題を解決したいのか?」を明確にしましょう。

例えば「顧客アプローチを最適化したい」「マーケティング業務を効率化し、工数削減したい」といった、自社における「CRMツールの意義」を明確に定めます。

社内の顧客管理まわりの課題を細かく絞り込み、ツール利用の目的を明確にしておくことで、導入後に「このツール、現場で求める機能とズレている」といった食い違いの発生も未然に防止できるでしょう。

②必要な機能・予算を精査してツールを選定する

自社内で解決すべき課題に合わせて、ツールの使途をあらかじめピンポイントに絞り込むことをおすすめします。「導入したものの、機能が豊富過ぎて使いこなせない」という事態を回避できます。

<例>

●やりたいこと

まずは、社内の全顧客データを統合する。
その後、顧客に向けてコンテンツマーケティングを始める。
マーケティング活動の効率化で現場負担を減らし、売上を向上させる。

CRMツールの役割

①顧客基盤統合の役割
コンテンツマーケティングの基盤の役割

このように、「CRMツール導入によって、どんな姿になりたいか?」「その実現のために、どんな機能を備えたツールが必要か?」をできるだけ鮮明に描きましょう。すると、自社に適したプロダクトをいくつか絞り込むことができます。

プロダクトをいくつか絞り込むことで、

  • さまざまな既存システムからのデータ取り込みや、部署間でのデータ連携はスムーズか?
  • 部署間でデータリテラシーに差があっても操作できるか?
  • 現場が求める機能と合致しているか?

といったポイントについても精査を進めやすくなります。

③運用体制を構築する

社内におけるCRMツール運用のリソース(人手、時間)を確保しましょう。

具体的に何のためのリソースかと言うと、

  • 膨大な顧客データベースの初期整備
    データベースの知識を持ち、データの加工・統合にも対応できるエンジニアの確保)
  • 導入後のシステムトラブルへの対処

等を行うためです。

社内情シス部門の協力を得られるのか、そうでない場合には外部ベンダーに依頼するのかも含めて検討しましょう。

スムーズに決裁を取る!稟議書作成のポイント

ここからは、スムーズに決裁が下りる稟議書記載のポイントと、社内への「根回し」のポイントを紹介します。

image1 (5).jpg

①現状の問題を明確にする

<文例>

「現状、顧客情報をExcel上で管理しており、その更新作業に〇〇時間/月かかっています。他の業務の進行にも影響が出ていることから、更新作業にかかる時間の削減が急務です」

<ポイント>

社内で発生している問題の事実を調査し、その問題を数値で表現する。

②ツール導入で解決することを明確にする

<文例>

CRMツールを導入し、顧客情報の更新・管理作業の一部を自動化することで、〇〇時間/月の工数を削減できます。これは、人件費に換算すると〇〇円/月のコスト削減です」

<ポイント>

CRMツールが問題(①)への解決策となり、解決した場合に想定される効果を試算する。

③ツール選定理由を明確にする

<文例>

「顧客情報の更新・管理作業の工数削減にあたっては、運用担当者がスムーズに操作を習熟できることが重要です。

その点、A社のCRMツールは、B社・C社の製品と比較して誰でも簡単に扱えるUIを採用しており、トライアル期間でも運用担当者から操作についての質問が出ることはありませんでした。

さらに、コスト面でもB社・C社よりも優れている(約○万円/月程度の差がある)ことから、A社のCRMツールを選定しました」

<ポイント>

2社以上のベンダーを検討する。
各製品の比較に十分な情報を文章に盛り込み、ツールの選定軸を明示する。

④導入リスクと対処をあらかじめ示す

<文例>

「今回導入するCRMツールについては、トライアル期間を通じて想定する運用が全て回ることを確認しています。

また、ベンダーには詳細なマニュアルや充実したカスタマー体制があり、運用上に生じる不明点は速やかに解消することが可能です」

<ポイント>

選定したCRMツールのリスクを洗い出し、リスクへの対処法について十分検討した旨を明記する。

⑤社内に事前共有しておく

前出①〜④のポイントを押さえることに加えて、根回しも必要です。

理由は、決裁者がいきなり稟議書だけを読んでも「現状の課題は分かるけれど、いきなり高額なツールと言われても...」といった心理に陥りやすいからです。

稟議書作成と同時に、関係者に対して事前の情報共有を行っておき、決裁者の中で「自社にとって優先度の高い課題だ」と認識してもらえるように工夫しましょう。

ベンダーの営業担当者を通じて専門的な知見の共有を受けるなど、積極的にベンダーを活用するのもおすすめです。

▼上司が納得するCRM導入をもっと詳しく!稟議作成ポイントはこちら

”上長も納得”の社内稟議の進め方5つのポイント

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社内稟議をスムーズに進めるための5つのポイントを説明しています。

CRM導入後、定着させるための工夫

新たなツールを社内に定着させるためには、使いやすいツールを厳選し、リスクを事前に洗い出すのはもちろんのことですが、自社に足りないリソースは何か外部から支援を受けられる部分はあるか、といった視点で考えることも重要です。

①使いこなせない懸念への対策

あらかじめ決めた使途に対して必要な機能が備わっていて、現場の誰もが操作しやすいツールを選びましょう。

また、将来的な使途拡大も視野に入れて拡張性の高いツールであることも重要なポイントです。

②運用体制を確保できない懸念への対策

運用定着のための支援・代行サービスの活用を検討してみましょう。

必要に応じて、運用定着のためのオンボーディングや、設定代行・メルマガ作成といったアウトソーシングサービスの活用もおすすめです。

③社内の知見不足への対策

ビジネスの成果を出すために、CRMに関する知見を定期的に得るようにしましょう。

課題の分析や戦略・施策の立案など、CRM の業務設計に必要な知見が社内に無い場合には、積極的に外部の支援会社の知見を導入しましょう。

ノウハウが豊富な支援会社のサポートを受ける、という考え方

この記事で述べてきた通り「ツールを導入すればうまくいく」という訳ではないので、まずはその点を誤認しないようにしましょう。

CRMの取り組みを長期的に成功へとつなげるためには、マーケティングの知見を豊富に持つ外部の会社から支援を受けるのもおすすめです。

特に、導入後の運用体制に不安がある場合には、継続的な運用サポートの活用を検討してみましょう。

CRM導入後、継続的な運用支援を受けるならこちらもチェック

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