問い合わせや予約受付など、電話を使った業務を改善したいものの、何から始めてよいか分からないという方も多いのではないでしょうか。電話業務の成果を高めるためには、架電状況をデータとして分析し改善を行う電話DXの取り組みが効果的です。

この記事では、電話業務の効率化問い合わせの増加につながる電話DXについて、事例を交えながら解説します。電話を使った業務に携わるマーケティング担当者の方はぜひ参考にしてください。

目次

  1. デジタル社会における電話の立ち位置
  2. 電話業務の課題
  3. 電話問い合わせを増やすにはDX化が急務
  4. 電話業務をDX化した成功事例
  5. 電話業務のDX化をスムーズに行うためにはツールを利用しよう!

デジタル社会における電話の立ち位置

近年はスマートフォンの普及や通信環境の改善により、インターネット経由での問い合わせや商品購入が当たり前となっています。しかし、デジタル化が進んだからといって、電話が時代遅れのツールになったというわけではありません。

ここでは、デジタル社会における電話の立ち位置について簡単に解説します。

年齢や職種によっては電話はまだまだ主流

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年齢や職種によっては、チャットやメールなどよりも、電話による問い合わせが選択されます。

ターゲットユーザーに高齢者が多い場合、電話経由の問い合わせが一般的です。また、お金に関する話や、他人に知られたくないことなど、デリケートな内容の問い合わせにも電話が利用されます。

電話関連サービスを提供する企業の調査によると、ある弁護士事務所ではWebサイトに訪問した後に電話予約しているユーザーが約69%でした。Webサイト経由で予約したユーザーの2倍以上が、電話を利用しています。

また、旅行・レジャー業界では、リスティング広告にランディングした後に問い合わせをしたユーザーの72.5%が電話を利用していました。

このように、業種やターゲット層によっては、現在も電話が主要なツールとなっています。

電話業務はいつの時代も変わらない

日本で電話が使えるようになった1890年から現在に至るまで、時代とともに電話に関する技術は向上し続けてきました。1987年には携帯電話が登場し、2003年にはIP電話によりインターネット回線から電話がかけられるようになっています。

しかし、電話の活用方法自体には、大きな変化が見られません。そのため、電話を使った問い合わせや予約受付などの業務が、今後も変わらずに残ると考えられます。

電話業務の課題

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電話業務で解決するべき課題は様々です。特に、電話経由の問い合わせを取りこぼしたり、顧客が不満に感じたりするようなトラブルはビジネスに悪影響を及ぼします。

電話業務のよくある課題は以下の通りです。

担当への取次ができず顧客に負担をかけてしまう

電話から問い合わせがあった時に担当者が不在の場合、折り返し対応の手間が発生し、顧客に負担をかけてしまいます。特に、担当者が現場の仕事も兼務している企業では、担当者への取次に手間がかかるケースが多発してしまいがちです。

また、電話窓口の回線数やオペレーターの人数によっては、問い合わせが集中した時に電話に出られないケースもあります。オペレーターが電話に出るまで顧客を長時間待たせてしまうことも、解決するべき課題の一つです。

電話受付時間が限られ、営業チャンスを逃してしまう

一般的に、企業の電話窓口の受付時間は、平日の午前から夕方ごろまでに設定されています。そのため、早朝や深夜など、営業時間外にかかってきた電話には対応することができません。

Webサイトなどを見て購買意欲が高まった見込み顧客がいたとしても、電話受付時間が限られているとアプローチの機会を逃してしまうことが課題です。

連絡事項に間違いが起こりやすい

電話による口頭でのコミュニケーションは、連絡事項に間違いが起こりやすい傾向があります。特に顧客のメールアドレスや電話番号などは、聞き間違いが発生しやすい情報です。

やりとりの履歴をテキストとして確認できるメールやチャットと異なり、電話での連絡事項は後から振り返ることができません。通話内容を録音していたとしても、内容の確認に余計な時間と手間がかかってしまいます。

テレワークが進まず電話業務のために出社

かかってきた電話を内線に振り分けるシステムが企業の事務所内にしかない場合、電話業務のために出社する必要があります。

テレワーク化を進めたくても、業種や電話回線の状況によっては出社せざるを得ないことも、よくある課題です。

電話問い合わせを増やすにはDX化が急務

電話業務の課題を解決し成果を高めるためには、電話業務のDX化が急務です。電話DXの取り組みとして、次のような項目が挙げられます。

架電傾向や電話経由のコンバージョンをデータ化

テレマーケティング向けのシステムを使うと、着信があった件数や時間帯などを自動で記録し、架電傾向をデータ化することが可能です。データを分析し、取りこぼしの多い時間帯が分かれば、対応人数を増やすなどの対策ができます。

また、電話経由でコンバージョンが発生した時に、広告やWebページなどの流入経路を分析することも可能です。電話経由のコンバージョンが特に多い広告に予算を集中すると、より高い効果が期待できます。

自動応答音声の活用

自動応答音声を用いると、問い合わせ内容に応じて接続先を自動で切り替えたり、営業時間外や話し中にガイダンスを流したりすることが可能です。自動応答音声の導入は、電話業務の効率化取りこぼしの防止につながります。

電話業務をテレワーク化する仕組みの導入

インターネット回線を通じて、在宅で電話に出られる仕組みを導入することも、電話DXの取り組みの一つです。クラウドPBXと呼ばれる仕組みを使うと、企業にかかってきた電話を転送し、自宅にあるスマホやPCで受電できます。

電話業務をDX化した成功事例

これまでに電話業務のDX化に取り組んだ企業では、問い合わせ数の増加応答率の改善などの変化が見られました。

ここでは、電話DXの具体例として、中古自動車販売店と弁護士事務所の事例を紹介します。

中古自動車販売店の例

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ある中古自動車販売店が最初に取り組んだことは、架電状況の分析です。時間帯ごとの架電数と未応答数を記録したところ、以下の2つの課題が見つかりました。

  • 開店前後の時間帯に電話が集中し、取りこぼしも多い
  • 閉店後の電話連絡と取りこぼしが多い

これらの課題を解決するため、開店前後の9時~10時台に対応オペレーター数を増強。また、閉店後の時間帯には自動音声による要件確認と、翌営業日の折り返しをアナウンスしました。

電話DXの施策を行った結果、施策の前後で問い合わせ件数は約1.5倍に増えています。また、応答率も78.2%から90.4%に改善し、応答数は約1.7倍に増えました。

弁護士事務所の例

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ある弁護士事務所でも、電話の取りこぼしの多さが課題となっていました。特に、営業開始と終了前後が、取りこぼしの多い時間帯です。

取りこぼしの防止と、対応業務の効率化のため、自動音声電話転送による対応を導入しています。定型パターンの問い合わせには、音声とダイヤル操作で自動対応できるようにしました。

また、応答者がいない場合に所定の電話番号へ転送する、込み合う時間帯に音声ガイダンスを流して待機順番を管理するといった対策も行っています。

これらの施策により、未応答率が16%から6%に減少問い合わせを100件増やすのと同等の効果が得られ、新規契約売上アップにもつながりました。

電話業務のDX化をスムーズに行うためにはツールを利用しよう!

電話業務をDX化すると、電話の取りこぼしを防ぐことが可能です。また、成果につながりやすい時間帯に広告を出稿するなど、問い合わせ数を増やすための施策にも取り組めます。

ツールを活用することで、スムーズにDX化を進めることができるため、電話経由の問い合わせが多い企業の担当者の方は、ツールを活用した電話業務のDX化を検討してみてはいかがでしょうか。