マーケティング施策に愚直に取り組んでいるものの、苦戦している。成果が出ているチームは何が違うのだろう。そんな疑問を持つ担当者は多いのではないでしょうか。

マーケティング人材育成サービスを展開する株式会社グロースX・取締役COOの山口義宏氏に、2023年2月に出版された書籍『マーケティング思考』の内容を交えながら、そのヒントを伺いました。

プロフィール

山口 義宏 氏
株式会社グロースX 取締役 COO/インサイトフォース株式会社 取締役
ソニー子会社で戦略コンサルティング事業の事業部長、東証一部上場コンサルティング会社でブランドコンサルティングのデリバリー統括などを経て、2010年に企業のブランド・マーケティング領域特化の戦略コンサルティングファームとしてインサイトフォース株式会社を創業(現・取締役)。2022年6月よりマーケティング人材育成サービスを提供する株式会社グロースXの取締役 COOに就任、インサイトフォース取締役と兼務で担う。

▼この記事が含まれる特集

【特集】あの本の著者にインタビュー

【特集】あの本の著者にインタビュー

話題の本の著者へインタビュー。悩みを解決するヒントや、新たな視点を提供します

目次

  1. 顧客理解ができるようになる方法は、大きく3つある
  2. 各施策についての知識を「薄く広く」持つことが重要
  3. 仮説検証を高速回転できるチームが勝つ
  4. 学習して実践する仕組みを作る

顧客理解ができるようになる方法は、大きく3つある

ferret:
成果が出ないマーケティングチームの理由のひとつに、「誰に?」「何を?」が整理されていない、と書籍の中で書かれています。
それらを整理するには、どういったスキルセットが必要だとお考えですか。

山口:
「誰に?」「何を?」が整理されていないというのは、「顧客理解」と「顧客価値」が深く整理されていないということです。私は、ここが最もマーケターの育成が難しい領域だと思っていますし、自分でも今でも一番難しく感じる部分です。

落とし穴1:顧客理解と顧客価値の整理・共有が弱い

これは書籍には書ききれませんでしたが、表面的ではない顧客理解ができるようになるには、大きく3つの要素の掛け算があると思っています。

1.顧客理解の情報量

1つ目は、情報のインプット。お客様へヒアリングをし、定量データだけでなく、定性的な情報のインプットの量と頻度を担保することです。お客様の話を直接聞いたり、お客様のデータを見たりする機会がないと、どんなに優秀な人でも初期仮説が的外れなことは多く、そのまま施策を実行すると成果が出ません。

2.情報の整理の質

2つ目は、インプットした顧客理解の情報を構造的に整理することです。得た情報を分解し、購入の背景となる文脈を読み解く分析作業になり、消費者行動論についての形式知の学習が必要な部分です。この領域は昔からたくさん書籍などが出ています。個人的には、少し古い書籍ではありますが「消費者行動論 (ビジネス基礎シリーズ) 」という平久保 仲人さんという方の著作がおすすめです

3.顧客理解の解釈の深さ

3つ目が、インプットや整理した情報を深く解釈していくことです。これが最も難しいです。

顧客理解の力を高める要素

同じ顧客に関わる情報をインプットしても、それをどう解釈するかは、人によってかなり振れ幅があります。この部分は、人生経験が大きく影響すると感じています。

なぜなら、人は過去に自分が見てきた何かと照らし合わせて、相対化して理解、解釈するからです。参照する対象となるような類似の価値観や生活をしている人と触れたことがあれば、1の情報から10の想像をすること



落とし穴2:4P施策投資の全体最適化ができない

事業フェーズ別のブランド戦略活動





マーケティングで成果を出す/成果が乏しいチーム





マーケティング思考人材の育成サイクル



【特集】あの本の著者にインタビュー