SNSの登場により、企業と顧客の距離は一層近くなりました。顧客同士でも、身近な友人や多くのフォロワーを抱える人気一般アカウントインフルエンサー)からの口コミが元となってサービスがヒットする事例が多くあります。

そんな中、企業も以前より積極的に顧客の声をサービスに活かそうと企画しています。顧客や他企業と一緒にマーケティングを行い、サービス開発や販売促進活動に活かすことを、「共創マーケティング」といいます。

共創マーケティングを活用することで、自社の顧客とより深い関係を築くことも可能になります。共創マーケティングの意味と実際の企業の事例を知り、自社のサービス展開に応用してみましょう。

共創マーケティングとは

共創マーケティングとは、他企業や消費者と一緒にマーケティング活動を行うマーケティング手法のことです。

一般的なマーケティングでは、企業側が一方的に顧客のニーズを調査し、適したサービスを開発します。しかし共創マーケティングは、サービス開発やリニューアルの初期段階から顧客と直接交流してニーズを汲み取り、一緒にサービスを創り上げていくところに特徴があります。

2014年、ネスカフェアンバサダーが日本マーケティング大賞を受賞しました。ネスカフェのオリジナルコーヒーマシンを無料でオフィスに貸し出し、コーヒー代もオフィスで集めてもらうという仕組みです。アンバサダーは「大使」という意味で、顧客と一緒に商品を広めていくという考え方が注目を集めました。

この受賞をきっかけに、共創マーケティングの考え方が他の企業にも徐々に広がり始めています。

参考:
アンバサダーとの共創がプログラムを支えている(ネスカフェアンバサダー)|AdverTimes

共創マーケティングのメリット

開発段階で消費者ニーズを的確につかめる

サービスを開発するときには、自社や調査会社の市場データなどをもとにターゲットを分析し、仮説を立てることが一般的です。しかしその場合、データの調査時期や調査方法によっては実際に企業の顧客となるターゲットと乖離が生じてしまうこともあります。

共創マーケティングでは、実際に集めた顧客の声をもとにサービスを創り上げていくため、生身のターゲットのニーズを掴むことができます。自社への認知や理解もある状態のターゲット層から意見を集めることで、より建設的で的確な情報が得られます。

サービス提供後もフィードバックで質の向上

サービスを実際に提供した後も、顧客から継続的に意見をもらうことで質を高めていくことが可能です。顧客の声に答えて柔軟にサービスを改善することで、エンゲージメントを高めることもできます。

共創マーケティングの課題

顧客に参加してもらうための企画

顧客の声を聞くためには、まずは「参加したい」と思わせるきっかけが必要です。顧客も時間を割くことになるため、その価値を感じなければ協力はしてくれないでしょう。

アンケート回答時やサービスへの意見反映時の特典、普段はできない経験など、何かしらの付加価値を感じさせるような企画づくりが重要です。

顧客の声を実現するためのスキル

顧客からは、多種多様な意見が集まります。中には実現が困難な意見もあることでしょう。しかし、すぐに実現不可能だと諦めずに、貴重な意見をどう活かせるか建設的に考えてサービスに反映するためのスキルも必要です。

もちろん、状況に応じて取捨選択もできなければいけません。顧客の意見をどこまで汲み取って、どのように活かすかも、共創マーケティングにおいて重要なスキルです。