ますます盛り上がりを見せる動画マーケティング市場。

次々と新しいサービスやトレンドが誕生していますが、その変化の速さゆえに「キャッチアップするのもやっと」というマーケティング担当者も多いのではないでしょうか。

そこで本稿では、現在の動画マーケティング市場を的確に理解できるよう、2017年の主な動きを振り返るとともに、2018年のマーケティング施策を検討する上で知っておきたい注目トレンドをご紹介していきます。

参考:
2017年こそ挑戦すべき!動画マーケティングに取り組むべき15の理由|ferret
  

2017年トレンドの振り返り

まずは2017年から続く、動画市場の大きな流れやトレンドについておさらいしていきましょう。
  

「動画」の流通量は増加の一途

シスコシステムズ社の最新レポートによると、インターネット全トラフィックにおいて動画が占める割合が、2016年の67%から、2021年には80%まで増加するとのことです。

また、2021年までに、全世界で19億人がオンライン動画を視聴し、毎月3兆分(minute)の動画が視聴されると見込まれています。単純計算ですが、世界平均で1人当たり毎月1,500時間以上もオンライン動画を視聴する世界が予想されているのです。

言うまでもなく、オンラインだけではなく、オフラインでの動画視聴機会も年々増加し、コミュニケーション手段の1つとして動画が当たり前の存在になっていくことは間違いなさそうです。

動画マーケティング市場の今を総括!2017年振り返り&2018年注目トレンド_001a.png
画像引用元:The Zettabyte Era: Trends and Analysis(Global IP traffic by application category)|シスコシステムズ

参考:
The Zettabyte Era: Trends and Analysis|シスコシステムズ
  

モバイル対応はもはや不可欠

ほんの数年前までは「モバイルシフト」という言葉がよく使われていましたが、昨年は「モバイルファースト」「モバイルオンリー」と言われるほどモバイルの存在感が高まり、マーケティングにおけるモバイル対応はもはや必須要素となっています。

それを裏付けるデータをいくつかご紹介しましょう。

Ooyala(ウーヤラ)社の2017年Q3のレポートでは、2018年には全世界で6割以上の動画がモバイルデバイス上で視聴されると予想され、これは2017年から11.9%の成長率とのことです。

国内ではオンラインビデオ総研が動画広告市場の推計を下図のとおり発表しており、PCと比較してスマートフォン向け動画広告の成長率の高さが際立っています。

動画マーケティング市場の今を総括!2017年振り返り&2018年注目トレンド_cyber.png
画像引用元:サイバーエージェント、2017年国内動画広告の市場調査を実施|株式会社サイバーエージェント(※このWebページは現在公開されていません

参考:
How does the world watch sports?|Ooyala
  

ライブ動画配信の増加

ライブ動画配信が若年層を中心に定着してきています。

例えば、LINEの発表によると、LINE LIVEでの総配信時間は前年比19倍も増え、配信者に送られたハート(いいね)やコメントも6倍以上という増加を見せているとのことです。

ライブ動画配信には、その時だけの“特別感”やコメント機能等を介した双方向コミュニケーション等のメリットがあります。

さらに、これらに加え、昨今のフェイクニュース問題をきっかけにコンテンツや情報における信頼性に対して視聴者が敏感になっており、編集という手が加わっていないライブ配信の価値が高まっているという時代的背景も成長要因になっていると考えられます。

現在は、主に若年層をターゲットとしたBtoCキャンペーンにライブ配信が使われるケースが多く見られますが、BtoBでもセミナーやイベントのライブ配信等で利用価値が高く、今後はBtoB企業による利用がどこまで広がるか注目です。
  

インスタグラムの成長

動画マーケティングを展開するチャネルとして、YouTubeだけではなくSNSも中心的存在になっていますが、2017年に特に著しい成長を見せたメディアの1つのがインスタグラムです。グローバルMAU(月間アクティブユーザー数)は8億人に達し、国内MAUも2,000万人を突破しました。

そして、ユーザー数の増加に伴い、企業のマーケティング利用も順調に伸びており、企業アカウントは全世界で1,500万に達しています。さらに広告を利用した企業アカウントは、2017年3月の月間100万社から、9月には200万社を超えたことを明らかにしています。

また、インスタグラムは昨年3月にストーリー広告の提供を開始しました。ユーザーの注目度が高いストーリー内で、縦型フルスクリーンの広告クリエイティブを展開できるユニークな媒体として、国内でも利用する企業が増えてきました。ストーリー用のクリエイティブを用意しなければならないというハードルはありますが、企業によるストーリーの利用は今後も注目です。
  

ブランドセーフティへの関心高まる

2017年は、ブランドセーフティという考え方に改めて注目が集まった1年でもありました。

広告主が知らないうちに、反社会的や差別主義的なコンテンツの中に広告が配信されてしまい、広告出稿を見合わせるという事態が国内外で発生したことから、ホワイトリスト配信やプライベートマーケットプレイス(PMP)等、ブランド毀損を防ぐための広告出稿方法への関心が高まっています。

参考:
ブランドセーフティはなぜ重要なのか!? Web広告担当者が理解しておくべき最新動向と対策|ferret