顧客のニーズが多様化した現代において、新規事業創出の重要性を感じている企業も多いのではないでしょうか。

市場の成熟化、商品やサービスの差別化の難しさなどから、革新的な商品を作り、成功していくことは簡単ではありません。

時代の変化のスピードについていこうとする中で、自社のみでの新規事業創出に限界を感じることもあるでしょう。
そうした中で、多くの企業が進めている取り組みが「オープンイノベーション」です。

時代は、企業の枠を越えて、商品・サービスをともに作り上げていく流れへと向かっています。

今回はオープンイノベーションが求められる背景と、進めていくために必要な考え方や方法をご紹介します。

オープンイノベーションとは?

オープンイノベーションとは、企業が自社のリソースのみならず、他社や研究機関などの外部組織や専門家などから技術やアイデアを募り、異分野の知見を積極的に取り入れることによってイノベーションを図る方法論です。また、自社の知見を他の分野に提供することも指します。

詳しくは後述しますが、様々な要因により、自社のみで商品やサービスの開発を進めていくことの限界が生じ始めています。

「オープンイノベーションに関するアンケート(日経BP総研調べ)」によれば、9割を超える社員が、「勤務先の企業にオープンイノベーションが必要」と回答しているなど、その需要は日に日に高まっている現状があります。

参考:
社員は「1社でビジネスは成功せず」と認識、9割超が自社にオープンイノベーションを切望――日経BP総研が調査 - ニュースリリース - 日経BP社

オープンイノベーションが重視される背景

なぜ、オープンイノベーションが注目を集めているのでしょうか?その背景としては、以下のようなものが考えられます。

プロダクト・ライフサイクルの短期化

まず1つに、プロダクト・ライフサイクルの短期化が挙げられます。
技術革新のスピードの早さから、日々消費者のニーズは変化し続けています。

例えばスマートフォンは、シーズンごとに続々と新機種が発売されており、常に使いやすさや機能の向上が図られています。成熟した市場においては、顧客の心をつかむヒット商品を生み出すのは容易ではありません。

また、低価格な商品が次々と登場する市場の動向もあり、商品が売れなくなるまでの期間が短くなっているのが現状です。

こうした状況を受けて、商品開発のサイクルも短期化しています。そのスピード感に追いつけなくなる企業も多く、内部資源の活用だけでは厳しい時代になってきました。

そのような理由から、外部資源活用の方法として、オープンイノベーションが注目されています。

商品やサービスに期待する価値の多様化

また、顧客が商品やサービスに期待する価値が多様化したことも理由の1つです。
スマートフォンの普及により、ネット上で手軽に商品を見比べることが出来るようになったり、SNSで口コミが溢れるようになるなど、購買の際に見られるポイントはより細かな部分へと移っています。

そして、市場の成熟や、商品の経済価値の同質化が起こっている状況もあります。価格や品質だけでなく、新たな付加価値を提供することが求められています。

多様化したニーズに対応するためには、分野横断的な知見を組み合わせることが必要となる場合も多々あります。
自社のみでの商品開発には限界があり、他社や研究機関などが持つ専門的な知識や技術の活用を積極的に行っていくことが必要になってきました。