今回の講座では、Pinterest のビジネス活用の応用編として、ディベロッパー向けの情報に関して触れていきます。

Pinterestではビジネス向けの公開APIを提供しています。APIの実装により、自社システムと統合した仕組みの構築が可能です。

ここでは、ディベロッパー向けAPIを用いたPinterestのビジネス活用事例を紹介します。

Pinterest APIの活用事例

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Pinterestで公開しているAPIで利用可能なエンドポイントは、主にボード・アカウント・ピン・ユーザーの4つですが、よく利用されている以下の3つのパターンを実際の活用例とともに見ていきます。

1.ピンやボードの自動作成手段としての活用
2.パーソナライゼーションツールとしての活用
3.レコメンド機能としての活用    
4.コンバージョン可視化としての活用

1.ピン・ボードの自動作成手段としての活用

APIにより、ユーザーの代わりにピンの保存やボードの作成を自動的に行うことが可能です。

自社コンテンツをピンとして保存 = Pinterest上に自社コンテンツを増やすことが大事、とすでに気付いているビジネスオーナーの方は多いでしょう。

しかしそれを実施する上で、「社内リソースが不足している」「毎日継続してピン保存をするためのチーム体制が整っていない」など様々な課題も耳にします。

APIを用いることで、ピンの作成を自動化し、自社コンテンツをPinterest上にアウトプットできる仕組みの構築が可能です。API実装に開発工数が最初に必要となりますが、実装さえ完了すればこまめに手動でピン保存をする必要がなくなります。

長期的には、社内リソースを最小限に保ちながらPinterest上でのアクティビティを継続できるでしょう。

ピン・ボードの自動作成は、ユーザーによるOAuth認証で自社サービス・アプリコンテンツデータベースとユーザーのPinterestアカウントを連携させ、ユーザーの代わりにピン・ボード作成をする実装となります。

自社のアカウントをユーザーとして、そのアカウントでOAuth認証をすると、自社アカウント上でのピン・ボード作成を手動でなくAPIにて機械的にできるようになります。

例えば、自社サイトのCMSと直接APIを連携させ、新しいコンテンツCMS上にアップロードされるとともにAPIにて自社アカウント上にピンとして出力するなどの手段が考えられます。

また、自社サービス・アプリにて多くのエンドユーザーがいる場合、エンドユーザーのOAuth認証によりピン作成を促す手段も効果的です。

具体的には、自社サービスとエンドユーザーが持つPinterestアカウントをOAuth認証にて連携し、自社サービス上でのユーザーアクション(いいね、保存、お気に入り等)をトリガーとしてピンやボードを連動生成させる手段です。

2.パーソナライゼーションツールとしての活用

APIでは、特定のユーザーの公開情報にアクセスし、そのユーザーの特性を抽出できます。ユーザーの「好み」をデータとして特定し、そのデータにマッチする自社コンテンツをそのユーザーへレコメンドするなど、質の高いパーソナライゼーションを実現することが可能です。

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人気アパレルブランドのTOPSHOPの開発チームでは、APIを用いてPinterest Palleteというパーソナライゼーションツールを作成しました。

Pinterest Palleteは、ユーザーが保存したボードとピンから、そのユーザーの好きな色の傾向を割り出し、おすすめのカラーパレットを表示するというインタラクティブなツールです。

個々のユーザーのパーソナライズされたカラーパレットを元に、製品カタログからおすすめアイテムを表示するとともに、ロンドンにある旗艦店にて店内ディスプレイをカラー別にコーディネートし、訪れた買い物客が自分のパレットを元に洋服を選ぶという、連動プロモーションを実施しました。

3.レコメンド機能としての活用

下記に紹介する例は、上記2つの「ピン・ボードの自動生成」「パーソナライゼーションツール」の両方を用いた応用例となります。

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人気ラグジュアリーブランドのBurberryでは、新商品の販売キャンペーンとして、アメリカで人気の化粧品リテールSephoraとタッグを組み、APIを用いた簡単なアンケート形式のページを作成しました。

このページでは、メイクに関する5問ほどの簡単なアンケートに答えると、その答えに沿ったBurberryの新商品に関するレコメンドのピンが自分のPinterestアカウントにボードとして作られる仕組みになっています。アンケートの回答によってユーザーの好みを判別し、異なるレコメンドのピンがユーザーに提供されるのです。

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また、イギリスのファッションブランドであるTED BAKERは、結婚式の準備をする新郎新婦に結婚式のアイデアを提供する「Tie the Knot」と称したキャンペーンページを作成しました。

Burberryの例と同様に、理想の結婚式に関する簡単なアンケートを進めると、ドレスやシューズ、アクセサリー等、ユーザーの回答によって、レコメンド商品のピンが集まったボードが、APIを介して自身のPinterestアカウントに作成される仕組みとなっています。

パーソナライズされ作成されたボードには、ウェディングコーディネーターの予約窓口を記載したピンも含まれており、アイデアのインスピレーションとともにアイデアを実現するための導線も提供しました。

さらには、TED BAKERの各店舗でも連動してTie the Knotプロモーションが行われ、結婚式のトータルコーディネートキャンペーンとして大成功を収めました。

4.コンバージョン可視化としての機能

コンバージョンAPIを利用すると、Pinterest タグを使用せずにPinterest と自社とのサーバー間で直接コンバージョンを送ることができます。送信されたコンバージョンは、レポートに使用するため Pinterest キャンペーンにマッピングされ、コンバージョンの可視化が可能となります。

現在 Pinterest タグを使用している場合は、コンバージョン API を併用することで、進めているキャンペーンのコンバージョンを最大限に可視化することができます。

なお、コンバージョン API の実装はショッピング API やその他の API とは違い、デベロッパー別に異なるコード設定が必要となるため、注意が必要です。

参考:Pinterest コンバージョン API

まとめ:Pinterest APIを活用しよう

Pinterest APIの様々な使い方を一部事例とともに紹介しました。

APIを活用することで、ピン・ボードの自動生成やパーソナライゼーションツール、コンバージョンの可視化としての利用など、Pinterestがさらに便利に利用できるようになります。

いずれも自社での開発が必要なケースですが、Pinterestの一歩進んだ活用方法を自社で検討する際には、APIの活用を視野に入れてみてはいかがでしょうか。