マーケターの皆様は、自社のファンをどのくらい理解しているでしょうか。

ファンを獲得することの重要性は分かっていても、実際「どのような人がファンになってくれているのか」「ファンが喜んでくれているポイントはどこか」をきちんと理解できている方は少ないのではないでしょうか。

ファンに向けた施策を後回しにしてしまうのは、ひとえに「費用対効果」に対して懐疑的だからでしょう。ファンは企業からのアプローチがなくても商品を購入してくれる存在なので、「なぜ予算を使わなければいけないのか」と考えるのも無理はありません。

マーケターは新規顧客の獲得が主な役割なので、そもそもファン向けの施策は自分がやることではないと考えている方もいるかもしれません。

しかし、これからの時代、新規顧客獲得施策だけをやっていても売り上げを増やしていくことは困難です。
一見売り上げに繋がらなそうなファン向けの施策が、実は売り上げ増加のための重要なカギとなります。

売り上げに繋がるファン向けの施策を実践するためには、佐藤尚之氏が提唱する*「ファンベース」*を理解する必要があるでしょう。

今回は、株式会社トライバルメディアハウス主催の「熱狂ブランドサミット2017」内で行われた、佐藤尚之氏のファンベースの重要性をテーマにしたセッションの様子をお届けします。

佐藤尚之氏プロフィール

さとなおさんプロフィール.png

ツナグ代表。4th代表。
復興庁政策参与。助けあいジャパン代表理事。大阪芸術大学客員教授。
1961年東京生まれ。1985年 電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・ディレクターとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立しツナグ設立。「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。
本名での著書に「明日の広告」「明日のコミュニケーション」(ともにアスキー新書)。「明日のプランニング」(講談社現代新書)。
“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(光文社文庫)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

(熱狂ブランドサミット2017公式ページより引用)

ファンを大切にしなければいけないのは「ファンのLTVを上げれば売り上げが増えるから」

「ある会社の売り上げデータを見てみると、コアファンとファンで売り上げのほとんどを持っています。
2割の上位層が8割の売り上げを持っている。パレートの法則ですね。」(佐藤氏)

パレートの法則とは、「全体を構成する数値は、その一部分が大きく影響を及ぼしているという経験則」をさすものです。
ニハチの法則と呼ばれる場合もあり、ビジネスの世界では「2割の商品が8割の売り上げを生み出している」という法則がよく知られています。

参考:
パレートの法則とは - Webマーケティング用語|ferret

パレートの法則の割合は、実際のところざっくりみたいですね。企業によっては2割が3割だったりすることもあります。
ここで大事なのは割合ではなく、ファンのLTV(※)を上げることは、売り上げの増加に繋がるということです。」(佐藤氏)

※LTV・・・「Life Time Value」の略で「顧客生涯価値」を意味する単語。一人の顧客が、初回購入から終了までの期間中に企業にて対してもたらす総利益のこと。

冒頭で出た「2割の上位層が8割の売り上げを持っている」というのは、つまり「少数のファンが全体の売り上げのほとんどを占めている」ということです。

売り上げに大きな影響力を持つファンのLTVを引き上げることで、売り上げ全体に良い影響を与える、だからファン向けの施策は重要だと佐藤氏は語ります。

とはいえ、マーケターであれば新規の売り上げを作っていくことに意識が向いてしまうのも事実です。
しかし、時代的に新規顧客開拓はかなり難しくなってきているようです。