人の想いやストーリーを発信し感情を増幅させるCMS「PR Table」、Public Relationsを軸とし社会にうねりを生み出したカンファレンス「PR3.0 Conference」などを仕掛けるPR Table。2014年に創業以来、PRパーソンやマーケターに注目され続けている同社が、マーケットを拡大していくためマーケターの採用を行なっています。

そこで今回は、創業メンバーである取締役・菅原弘暁氏に、PR Tableで活躍できるマーケター像に加え、これからの企業ブランディングのあり方や広報戦略についてお話を伺いました。

行動・信用・期待のサイクルがブランドを作る

PR_Table_1.jpg
(株式会社PR Table 取締役・菅原 弘暁氏)

ferret:今、誰もが発信できる総ブランディング社会になっていると考えていますが、効果的なブランディングをするためにどのような差別化を行えばいいのでしょうか?

菅原氏:ブランドの差別化でいうと、そもそも差別化って無理やり考えずとも自然と湧き出てくるものじゃないかって思ってるんです。今、VUCA時代(Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))なんていわれてますけど、もう何が起こるかわからないですよね。

だからこそチャンスだと思っています。これからは、行動することで人や企業がブランドを構築できる時代だと。行動すると信用されて、また期待されて、それを元に行動できると思います。

PR Tableでいうと、カンファレンス(PR3.0 Conference)を開催、という行動をしたことで信用されて、「この人たちがPRの概念を覆してくれるんじゃないか」って期待を受けているんですよね。で、次はどうするかっていうと、この期待してくれている人たちには、その期待に応えるための行動をして、また信用してもらうというサイクルを繰り返して行きます。

結局、行動をすることが大事なんです。期待されたことを期待通りに行動して信用されて、「この人たちは約束を守ってくれる」ってブランドができ上がっていきます。PR Tableがブランドとして大きく成長できたと思うのが、2018年11月に「PR3.0 Conference」を開催した後なんですけど、その前に「やります」って言った時に何か変わったんです。

信用してもらうために行動するんですが、その前にまずは宣言をすること。不言実行じゃなくて有言実行が大切です。2018年2月に「資本金の1/3を投下して、虎ノ門ヒルズに1,000名集めた日本初のカンファレンスをやります!」って発信しました。そのときは「本当にできるのか」とか「需要ないよ」とか言われたんです。その後、オウンドメディアで記事を発信したり関係者に説明したんですけど、とにかく行動を繰り返した結果、信用されたんですよね。結果、PRやマーケターとして有名な方や経営者から登壇を快諾していただけました。

期待値をギュンギュンに高めて、それに応えきったから、また信用される。クレジットカードに似てるかもしれませんね(笑)

匂いが伝わらなければ表現とは言えない

PR_Table_2.jpg

ferret:では、企業がブランドを高めていくためには何をすることが大切なのでしょうか?

菅原氏:企業のブランドは、その会社のメンバーから熱量が外部の方へと伝播していくものだと思うので、外部の方とお話したり発信することは大事です。

一概には言えないんですけど、その会社の匂い、体臭が伝わる表現かどうかです。特に採用文脈、企業と求職者との関係構築という意味ではやらなければいけないことだと思っています。極論ですが、例えばPR Tableの体臭が臭いと思う人は近づかない方がいいんですよ。たぶんマッチングしないんですよね。その一貫として、僕はインタビューやTwitterではあえて尖りを作ってるんです。

もう少し上段の話をすると、会社ってモテなきゃいけない時代になってきてると思います。今後、労働人口は減っていく中でサービスの種類は増えてますし、複雑にもなっています。採用が激化していく中で、倍以上の時間を働いてもらうなんて無理。であれば、できることは何かといえば生産性を倍以上に高めるか、働く人から倍以上に好かれることしかない

これは僕の主観ですけど、日本の会社ってモテてる企業が少ないなって思うんです。誰もが知ってる大企業や有名スタートアップのようなイケメンはそうそういないじゃないですか。そうではない会社がモテるためにはどうしたらいいか。性格の良さがにじみ出るしかないんです。優しさや面白さ、知的など。そこを表現しなきゃ。面白いって点でモテたいなら、それが伝わるような、想起されるような行動をしなきゃいけなんです。

ferret:ちなみにPR Tableはどんな性格なのですか?

菅原氏:PR Tableは性格と考え方を明確に定義しています。あくまで「良い・悪い」ではなく「好き・嫌い」でです。もし面接に地頭が良くてスキルも高い人が来たとしても、「好き」に当てはまらなかったら残念ながらご縁はありません。ただ、PR Tableが「嫌い」としてるけど、この性格で伸びている会社はありますし、それが合う人はそういう会社へ行けばいいと思います。

PR_Table_5-2.png

PR Tableの採用面接の一次は、今のところすべて僕が出ています。面接のときはどちらかというと僕が喋ることの方が多いんですよ。もちろんさまざまな手法があるとは思いますけど、今は僕が言ったことに対する採用候補者の反応で見極めています。僕と話すことが、会社に合うか合わないかの反応が一番出やすいんです。リトマス試験紙みたいですね(笑)

一番大事なのは、この「好き・嫌い」を見て、「これは厳しいです」って思う人は、違うということです。みんながみんな、この「好き」に100%当てはまってるわけではないんです。みんながこの「好き」を好きになってほしいんじゃなくて、PR Tableの性格を理解してほしいということです。

ferret:「好き・嫌い」を見て、今のPR Tableと付き合えるかどうかということでしょうか?

菅原氏:そう。この「好き・嫌い」は会社のフェーズや成長度合いによって変わると思ってます。PR Tableはまだ幼稚園児ぐらいなんです。会社が大人になるためには性格を変えなきゃいけないと思うし。僕らがこの会社の親だとしたら、メンバーは子なんです。子の成長のためには親も変わらないと。

個人のストーリーの集積が、企業のブランドを構築する

PR_Table_3.jpg

ferret:SNSやブログをはじめ、想いや考えを伝えるさまざまな手段が存在するという見方をすれば、「PR Table」が置かれている市場はレッドオーシャンのようにも感じますが、どのように考えていますか?

菅原氏:僕はブルーオーシャンだと思いますね。それだけに寒中水泳をしている気分ですが(笑)。仮に「PR Table」を発信ツールという観点でSNSやブログと同列に語ったとしても、想定しているユーザー企業が違うので比較対象だと思っていません。

例えば、SNSやブログを自分たちの手で発信して反響が取れる企業はターゲットではないです。自分たちでコンテンツを作ったり発信できていない人がターゲットであり、その課題を解決するのが目的です。

それに「PR Table」では個人のストーリーを発信しているつもりはありません。あくまで「企業内の個人」なんです。僕たちは個人のブランディングをお手伝いしているわけではないんです。企業のブランディングのために個人のストーリーが必要、という図式と言えるでしょうか。その個人ストーリーの集積が企業のブランドになり、それを表現している場所が「PR Table」というわけです。もちろん個人以外でプロダクトのストーリーもありますが、あくまで個人は会社のストーリーの中における一人の登場人物という立ち位置です。

マーケット拡大のキーは、企業の「表現文化」の醸成

PR_Table_4.jpg

ferret:PR Tableではどんなマーケターが活躍できると思いますか?

菅原氏:PR Tableに限った話でいえば、「好き・嫌い」を理解してくれるというのは大前提で、「一生、PR Tableで働きたい」なんて思わなくていいです。そういう時代ではないので。

野心的だったり、主体的に事業を動かしていく気概のある方だと活躍できると思いますね。そういう人がPR Tableに合うし、メンバーを引っ張るんだろうなって思います。もう少し具体的に言うと、ポジションはBtoBマーケターで、メインミッションはリードナーチャリングです。Web広告運用だったりイベントやセミナーの企画もそうですね。また、SalesforceやMarketoなど、マーケ支援ツールは一通り導入しているので、効率的なマーケ活動ができると思います。予算の考え方として、成果を出し、勝ちパターンが見えれば、どんどん追加して成長させていくつもりです。

個人と会社は、お互い約束を果たせばいいんです利用し合いましょう。僕らはミッションの実現のために全力を注ぎます。言い方は悪いかもしれませんが、このアクションに相乗りしたい人は来ればいい、利用してくれ、と。例えば「3年後に別の会社のCMOになりたい」でいいんです。そうしたら3年間、それに見合う成果を出してくれればいいので。上場を経験したいでもストックオプション狙いでも構わないんです。その代わり、上場にコミットしてください、ということです。

ferret:最後に、PR Tableの展望についてお聞かせください。

菅原氏:まず、「PR Table」の現状は、マーケットにフィットしてきているけど、まだまだマーケットを大きくできると思っています。そのために必要なのは文化なんです。つまり、企業が表現していくって文化がまだ世の中に浸透しきっていないんですよ。

マーケットも文化もできているプロダクトって、それなりのスキルがあれば誰でも売れますよね。だからこそ、これから表現文化の醸成とマーケットの拡張を同時進行でしなきゃいけないのは、大変であり面白い部分でもあります。できるかわからないことにチャレンジするほうがワクワクしませんか?

ferret:はい、これからどのように文化を浸透させていくのか楽しみです!ありがとうございました!

編集後記

取材後の話の中で菅原氏から印象的なフレーズを聞いた。『とにかく大事なのは「嘘を付いちゃダメだけど、背伸びはし続ける」ってこと。“ありのまま”だけではダメなんです。期待されないんで』と。時間にすればほんの5秒ほどの間に、菅原氏の哲学が凝縮されていた。

背伸びしている姿を見られることは構わない。高みを目指すためにチャレンジし続けるのは、恥ずかしいことではないからだ。背伸びをし続けた者だけが、誰もなしえていない結果を見ることができるだろう。そのとき、菅原氏は何を見て、感じるのか。また機会をいただき、話を聞いてみたい。

プロフィール:菅原 弘暁氏

株式会社PR Table 取締役。2011年より老舗PR会社・オズマピーアールにて、外資スポーツメーカー、大手飲料メーカー、商業施設、地方自治体などのマーケティングPRに従事。その後、博報堂・PR戦略局に出向し、危機管理広報や官公庁のメディアトレーニングに携わる。

2014年12月にPR Tableを共同創業。立ち上げ当初〜2017年は「PR Table」の編集長として、200社以上の広報コンサルティングを行い、500本以上の自社発信コンテンツを監修する。2018年11月には、日本初・PRの大規模カンファレンス「PR3.0 Conference」をプロデュース。現在に至る。

HP:https://www.pr-table.com/PR_Table

撮影/片岡龍太郎