Web担当者であれば、一定の文章作成スキルを身につける必要があります。
ホームページの商品・サービス紹介やブログなど、様々な場面で文章を書く機会があるからです。

ただ、自分ではうまく書けていたと思っても「文章が読みにくい」「意味が伝わらない」と指摘されたことはありませんか?
わかりにくい文章の多くに共通している事象があります。
それが*「文章のねじれ」*です。

「文章のねじれ」は「主語」と「述語」、「論点」と「結論」が噛み合わないことで生じます。

今回は、「文章のねじれ」を解説します。
文章のねじれを防ぐための解決方法も合わせてご紹介するので、文章作成のスキルアップに役立ててみてください。

「文章のねじれ」とは?

「文章のねじれ」とは、伝えたい事柄に対して異なる結論を述べることを指します。
まずは下記の文章をご覧ください。

例:
私の目標は、コストの削減をしたいです。

主語が「目標は」と宣言する内容の文章であるのに対し、述語が「コストの削減をしたい」と願望で締めくくっています。これを「文章のねじれ」と言います。この文章の場合、以下のように直すことができます。

例:
私の目標は、コストの削減をすることです。

文章は、そこに書かれていることが全てです。なので、口頭では「雰囲気」として伝わることも、文章では伝わりにくくなります。

読みにくい文章の原因「文章のねじれ」はどんな時に起こる?

文章作成を進める上で「文章のねじれ」はどんな時に起こりやすいのかを解説します。

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1文が長いとき

最も文章がねじれやすいのは、1文が長いときです。伝えたいことを全て1文に盛り込もうとすることで、複数の主語と述語が入り交じることがあります。

例:
OSの種類には、Windows、Mac OS、Unix、LinuxなどのPCを制御するシステムです。

この文章の主語は「OSの種類は〜」であり、述語は「制御するシステムです」です。主語と述語が噛み合わず、文章がねじれていることがわかります。これを直すと下記のようになります。

例:
OSは、PCを制御するシステムです。 OSには、Windows、Mac OS、Unix、Linuxなどの種類があります。    

このように2つに分けられる場合がほとんどです。

専門用語を用いた難解な文章を書くとき

また、専門用語など難解な文章を書く際にねじれが起きやすくなります。

わかりやすい表現ができるにもかかわらず、そのまま用いることで文章のねじれに気づかず書き進めてしまうことがあります。下記の例文をご覧ください。

例:
貸借対照表とは企業の資産・負債・純資産を複式簿記によってその企業の株主に情報を開示します。

この文章の主語は「貸借対照表とは」であり、述語は「提供します」で、主語と述語が噛み合っていないことがわかります。
このように主語と述語で分解すると単純なミスと気づけますが、専門用語が増えるほど文章が複雑化し、ねじれがおこりやすくなります。
上記の文章を直すと以下のようになります。

例:貸借対照表とは、複式簿記を利用して企業の資産・負債・純資産の状況を表すものです。それらの情報を株主に開示します。

このように、専門用語の解説と用途の2つに分けられます。自身が理解している用語ほど“流れ”で書き進めてしまいやすいので注意しましょう。

「文章のねじれ」を防ぐには?

書きはじめる前に文章のアウトラインを作る

文章全体のねじれを防ぐために大切なのが、1つのテーマに沿った文章を書くことです。文章全体の統一感を出すために、まずアウトライン(概要)を作りましょう。

アウトラインとは、文章のおおまかな流れのことです。
文章のテーマ(タイトル)を決め、「誰に向けて」「何を説明し」「どのような結論に至るのか」など、伝えたい文章の流れをまとめます。この流れに沿って順番に文章を書いていきましょう。

主語と述語の対応を確認する

1文ごとに文章のねじれを防ぐには、必ず「主語」と「述語」が対応していることを確認しましょう。文章を書いた後、「私は〜」「◯◯だ」のように主語と述語だけを抜き出して読んでみましょう。

修飾語は最小限に抑える

修飾語を抑えることは、文章のねじれを防ぐのに非常に効果的です。

例えば、「最新のPCは驚くほど高性能だ」という文章の場合、「最新の」と「驚くほど」が修飾語です。
修飾語は主語と述語の間に入るため、主述の対応関係が曖昧になります。状況を詳しく説明したい場合に使いますが、不要な場合も多いため最小限に抑えましょう。

「重文」「複文」を多用しない

「重文」「複文」は、複数の主語と述語を1文に用いる手法です。これは、先の例文のように「1文が長くなる」ため多用を控えましょう。特に「複文」は、主語を省略して説明するため、書き手自身が混乱することもあります。主語と述語の対応を確認し、文章を分解できると気づいたら2つに分けることで、文章のねじれを防げます。

文章全体の「論点」と「結論」の対応を確認する

文章全体のねじれを防ぐために重要なのが、「論点」と「結論」の対応です。
論点は「何を説明するのか」を指し、結論は「どうなるのか」を指します。

1文単位では主語と述語が対応しているにもかかわらず、「わかりにくい」と感じる場合、文章全体のねじれを確認してみましょう。

書き終えたあと「音読」して確認する

文章のねじれを防ぐために、「音読」による推敲も活用できます。長文になるほど、文章を読み飛ばしてしまう可能性があるからです。声に出して読み上げることで、黙読で読み飛ばしてしまいそうな些細な文章も確認できるでしょう。

また、目視では気づかなかった文章のねじれも、声に出すことで違和感に気づくことができるので、ぜひ実践してみてください。

まとめ

「文章のねじれ」は、頭の中で思いつくままに文章を書き始めると起こりやすくなります。ですので、書き始める前の準備がなにより大切です。

また、文章のねじれは、新聞のコラムや書籍などでも稀に見られます。文章のプロであっても十分起こりうるため、書き終えた後も必ず確認を行いましょう。

まずはアウトラインを作成し、論点と結論を明確にします。そして、アウトラインに沿って1文を端的に書くことで、文章のねじれを解消できるでしょう。上記で紹介した、「文章のねじれ」の事例と解決方法を参考に、文章作成に活用してみてはいかがでしょうか。