サプリメントや健康食品などの広告を制作する際に、関わってくるのが薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)です。

どのような表現ならば薬機法に違反しないのか、判断に迷うことも多いのではないでしょうか。

この記事では、薬機法に違反しないためのセルフチェック方法適切な表現について、法律事務所ZeLo・外国法共同事業の早乙女明弘弁護士に伺いました。

プロフィール

早乙女 明弘 弁護士
法律事務所ZeLo・外国法共同事業 弁護士(東京弁護士会所属)
2012年一橋大学法学部卒業、2014年一橋大学法科大学院修了。2015年弁護士登録(東京弁護士会所属)。2016年日本生命保険相互会社に入社し、契約書審査、法改正対応、知的財産管理、海外子会社管理など、幅広く企業法務に従事。 University of Michigan Law School(LL.M)への留学を経て、2022年法律事務所ZeLoに参画。主な取扱分野は、ヘルスケア、広告・表示(景品表示法など)、ジェネラル・コーポレート、金融規制、データ保護、知的財産、国際法務など。

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マーケティング業務において必要な法律知識を、専門家の視点で解説します

目次

  1. 薬機法が対象となる商品カテゴリ
  2. サプリメントや健康食品は「医薬品のような表現」がNG
  3. 薬機法に違反していないことをセルフチェックするポイント
  4. 薬機法に抵触しない表現へ言い換える方法
  5. 薬機法に違反した場合の罰則

薬機法が対象となる商品カテゴリ

ferret:
マーケティング施策を行う際に、自社の広告が薬機法に違反していないかは気を付けたい点です。まず、どのような商品の広告が薬機法の対象となるのでしょうか。

早乙女弁護士:
薬機法が直接的に対象としている代表的な商品カテゴリは、医薬品医薬部外品化粧品医療機器です。2014年に「薬事法」から「薬機法」へ名称が変わった際に医療機器の一部や再生医療等製品が薬機法の対象に追加されました。

サプリメント健康食品などは直接的に薬機法の対象ではないものの、広告医薬品的な効能効果を標榜する表現をした場合、薬機法の68条で定められる未承認医薬品の広告規制に抵触します。

サプリメントや健康食品は「医薬品的な効能効果を示す表現」がNG

早乙女弁護士:
例えば、サプリや健康食品について

  • これを飲めば風邪が治ります
  • これを飲むだけで●キロ痩せます

などの広告表現を書いた場合、薬機法に抵触してしまいます。

薬機法に抵触する表現

医薬品的な目的を有するものや通常人が医薬品としての目的を有するものであると認識するものは全て「医薬品」に該当する

という解釈が行政から出されています。そして、

広告等において医薬品的な効能効果を表示した場合、医薬品としての目的を有すると判断されること

とされています。
そのため、このような表現はサプリや健康食品であっても医薬品とみなされ薬機法に抵触してしまうのです。

また、薬機法24条では医薬品を販売するためには販売許可が必要と定められていますが、これを得ていないことから、無許可での医薬品販売にも該当します。最近は、CBDを配合したサプリメントなども流行っており、CBDサプリの広告についても注意が必要です。

薬機法に違反していないことをセルフチェックするポイント

ferret:
自社の広告が薬機法に違反していないか確認するには、どのような点をチェックすればよいのでしょうか。

早乙女弁護士:
薬機法は、特定の表現を規制するものですが、具体的かつ網羅的なNGワードのリストなどがあるわけではなく、あくまでも判断基準が示されています。

特に広告との関係では、既にお伝えしたとおり、医薬品的な効能効果を表示しないことが重要であり、医薬品的な効能効果についてチェックするべき主なポイントは次の通りです。

医薬品的な効能効果とみなされる基準

① 疾病の治療または予防を目的とする効能効果の表現

疾病の治療または予防を目的とする効能効果は医薬品的な効能効果に該当します。

例えば、サプリの摂取により

  • 便秘が解消した
  • ニキビが治った
  • 風邪が治った
  • 不眠が解消した

といった表現は、健康食品の広告には使用できません。

②身体の組織機能の増強増進などの効能効果の表現

二つ
















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