すぐれたデザインを生み出すためにどうしようかと、日々頭を抱えているデザイナー・ノンデザイナーの方は多いのではないでしょうか。実際にAIがデザインまで行なってしまうような今日において、人間がどのようにクリエイティブにデザインを行うかは、実務的問題でもあり、一方で哲学的でさえもあります。

すぐれたデザインを生み出すには、すぐれたデザインのプロダクトから学ぶのが一番です。実は、知っている人も多いかもしれませんが、日本には60年以上に渡って行われている、すぐれたデザインを評価する*「グッドデザイン賞」*というものがあります。

そこで今回は、2017年グッドデザイン賞に選ばれた注目プロダクト&サービスをまとめました。実際には100ものプロダクトやサービスが選ばれていますが、今回はその中でも特に想像力を刺激する6つのサービス・プロダクトをご紹介します。

グッドデザイン賞とは

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Good Design Award

*グッドデザイン賞(GOOD DESIGN AWARD)とは、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「総合的なデザインの推奨制度」*です。

一口に「良いデザイン」と言っても、眼に見える「プロダクト」だけでなくさまざまな「サービス」や「考え方」についても賞が与えられます。公益財団法人日本デザイン振興会が考えるデザインの定義は幅広く、「Tangible(有形)」と「Intangible(無形)」の両方をその対象としています。また、デザインはエンジニアリングとも緩やかに区別されています。

グッドデザイン賞の歴史は深く、その起源は現在の経済産業省にあたる通商産業省が、1957年に*「グッドデザイン商品選定制度」として創始したのがきっかけです。受賞数は毎年1,200件あまりで、60年間でなんと44,000件*にも及んでいます。

次に、2017年グッドデザイン賞に選ばれたプロダクトとサービスを紹介します。デザインのコンセプトや考え方の参考にしてみましょう。

参考:
受賞企業一覧 | 2017年度グッドデザイン賞受賞概要 | 過去受賞や年鑑など | Good Design Award

2017年グッドデザイン賞に選ばれた注目プロダクト&サービス6選

1. Xiaomi Mi 電動スクーター (中国)

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Xiaomi

Xiaomi Mi 電動スクーターはスマートフォンなどのテクノロジー製品で有名なシャオミ(小米)が開発・販売している小型の軽量電動スクーターです。

まるでキックボードのような大きさやサイズですが、スピードは時速30キロまで加速することができます。ボディはモノトーンなカラーで仕上げられながらも、電源などの重要な部分には赤いアクセントを入れることでより見つけやすくなっています。

全体的に合理的な設計が行われており、各種安全装置から、バッテリーの搭載に至るまで、抜かりなく考えられています。折りたたみが簡単で、従来のスケートボードをイメージさせながらもシンプルでミニマルなデザインが受賞につながっています。

2. Dot Watch (韓国)

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Dot

Dot Watchは世界初の点字によって装着者とコミュニケーションを取るスマートウォッチです。特許取得済みの*「アクティブブライユテクノロジー」*によって、スマートフォンで繋がった情報をユーザーに伝えたり、時刻や日付などを確認することができます。

*「情報の世紀」*とも言われる21世紀に、視覚障碍を持つ人は情報弱者のうちの一角となりがちです。こうしたテクノロジーがあれば、指だけで大量の情報を取得できるようになります。

従来、大きくて持ち運びに不便だった点字読み取り装置がスタイリッシュに小型化し、ポータブル化が実現した、ユニバーサルデザインの優れた事例として注目に値するでしょう。

3. キュベット (日本・イギリス)

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キュベット

キュベットは、イギリスで生まれた、手を使って遊ぶ、プログラミングができる木製のおもちゃです。レゴブロックのように簡単に組み立てながら学べる、論理的思考の身につきます。モンテッソーリ教育に基づいた設計になっており、3歳から小学校低学年まで遊ぶことができます。

算数や文字の読み書きができる前の子どもでも、直感的に遊ぶことができるのが特徴です。コーディングのエッセンスが詰まっており、目標達成能力のために問題を解いたり、物事を順序立てて論理的に考える力が身につきます

小学校からプログラミング教育が盛んに行われていますが、コンピュータのスクリーンとにらめっこをするよりも、はるかに楽しく学べるのが魅力です。

4. Minimal チョコレート (日本)

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Minimal

Minimalは、東京生まれのとても可愛らしいパッケージのチョコレートです。ただ単にデザインが可愛らしいだけでなく、世界中の産地を職人が訪れて豆を厳選し、独自の製法でこだわりのチョコレートを手作りしているので、従来の既製品とは風味が驚くほどに変わります。

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Minimal

パッケージには産地や農園、カカオに関する情報も書かれており、画一化した製品とは違って、チョコレートができるまでに思いを馳せることができます。また、チョコレート自体も、ざくざくとしたカカオの食感をあえて残す、まったく新しい食感になっています。気分に応じて食べられるように、チョコレートの立体的なカットの大きさもランダムになっています。

一見すると確立された洗練されたデザインの中で、商品の「個別性」が見え、さらにカカオ農家との関係構築により社会問題まで解決している、まったく新しいチョコレートだと言えます。

5. 天理駅前広場 コフフン (日本)

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コフフン

なんと駅前広場としてグッドデザイン賞を受賞したのが、奈良県天理市の天理駅前にある広場、コフフンです。コフフンの名称は、*「古墳」*に着想を得て名付けられたといいます。

「古墳」には段差がありますが、同じようにコフフンにも段差があり、移動手段としての階段はもちろん、腰掛けたり、ステージとして利用するなど、さまざまなことができるようになっています。全体の配色も街と調和されるように、シックなダークグレーで統一されています。

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コフフン

複雑なデザインではなく、大小の同心円という非常に簡素なデザインルールですが、逆にこのようなシンプルさが「親しみやすさ」を生んでいます。

6. Amazon Dash Button (日本・アメリカ)

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Amazon

Amazon Dash Buttonは、ボタンを押すだけで商品の注文が可能な、Amazonが販売する小型デバイスです。1個の値段は500円ですが、初回に購入するだけで500円引きになるので、実質0円だというのも驚きです。

しかし、注目したいのは、Amazon Dash Buttonのデバイスそれ自身ではありません。今回アマゾンジャパンがグッドデザイン賞のエントリーとして審査を申し込んだのは、デバイス自身ではなくAmazon Dash Buttonの*「商品注文システム」*なのです。

このデバイスは、不思議なほど小さく、ボタンを押すだけでインターネットに接続され、簡単にAmazonに注文が届き、配送されます。そうした*「カスタマー体験(CX)」*を作りだす仕組み全体に対して、賞が与えられました。

まとめ

いずれも単なる外見の美しさだけでなく、見えない部分にも洗練されたコンセプトを感じ取れるでしょう。

グッドデザイン賞は非常に有名になったので、グッドデザイン賞を受賞したプロダクトに付けられている赤い「G」のマークを見たことがあるひとは多いのではないでしょうか。

このようなデザインから学び取れることは多くあります。ぜひ、デザインコンセプトづくりの参考にしてみてはいかがでしょうか。