映えないSNS「BeReal」の流行から見えてくる、これからのZ世代トレンド

映えないSNS「BeReal（ビーリアル）」は、なぜZ世代の心を掴んでいるのでしょうか。
その背景を紐解くと、いくつかのトレンドに共通するキーワードが見えてきます。

テテマーチ株式会社でZ世代向けマーケティングを研究している川又潤子氏に、2023年のトレンドの考察と2024年のマーケティング施策に展開するヒントを伺いました。

Z世代が「BeReal」に夢中になる理由

ferret ：
川又さんが所属するZ世代マーケ研究室「lookey」では、2023年のSNSトレンドについてランキング化した「Z世代SNSトレンドグランプリ2023」を先日発表されました。

出典：【Z世代SNSトレンドグランプリ2023】「lookey（ルーキー）」が今年のZ世代SNSトレンドグランプリを発表

ferret ：
まずは、コンテンツ部門で1位となった「BeReal」というSNSにフォーカスしてお話を伺いたいと思います。どのようなSNSなのでしょうか。

川又：
簡単に申し上げると「仲の良い友達と写真を共有するアプリ」ですが、ただの写真共有アプリではなく、かなり特殊な条件下で使うアプリです。

1日1回ランダムな時間に、アプリを入れているユーザー向けに通知が届きます。通知が来るタイミングは全ユーザー共通の時間ですが、どの時間に来るのかは全くわかりません。ユーザーは、通知が来てから2分の制限時間内にアプリで写真を撮って投稿ができます。

出典：App Storeプレビュー

2分を過ぎても投稿はできるのですが、何分遅れの投稿なのかが表示されるというペナルティがあります。自分が投稿することで友達の投稿が見られるようになるため、「2分以内に何とか写真を撮って投稿する」というミッションのようなものを、ユーザーは日々こなしていくことになります。

ferret ：
他のSNSと比べて使い方がユニークですね。なぜ特にZ世代の人気を集めているのでしょう。

川又：
「盛る」や「映える」という文化から、「素」や「個性」を求めているZ世代が増えてきていると考えてます。

BeRealの通知はいつ来るかわからず、化粧する前や寝起きのタイミングで来ることもあります。2分以内の投稿なので、自分を着飾ったり加工したりする時間は一切ありません。そのため、自分の「素」を仲の良い友人内で共有し合えることがBeRealの楽しさです。

これまでの「盛る」や「映える」というSNSの文化に疲れを感じ始め、自分の素や個性を出して共有しあう方が楽しい、という文化に変わってきているのだと思います。

ferret ：
他のSNSの利用は少なくなっているのでしょうか。

川又：
他のSNSを利用しないわけではなく、InstagramやX（旧：Twitter）とは両立して使っているものの、つながる友達がアプリによって分かれている印象があります。

Instagramは、オープンにいろいろな人と緩くつながるSNSとして、セルフブランディングに基づいて発信する使い方をしている人が多い一方で、BeRealでは狭い範囲の仲の良い友人のみでフォローしあって自分の素をさらけ出す、というようにうまく使い分けているのではないかと思います。

複数のトレンドで共通するキーワード：「素」と「個性」

ferret ：
他のトレンドで、「素」や「個性」を求める傾向を感じるものはあるでしょうか。

診断系コンテンツ

川又：
まずひとつ、診断系コンテンツの流行があると思います。
コンテンツ部門4位に入っている「MBTI診断」や、ランキングには入っていませんが「パーソナルカラー診断」、「骨格診断」もトレンドとしてあげられます。

※MBTI診断
人の性格を16タイプに分類する自己申告型の診断テスト。
診断そのものは以前からあったが、2023年になってから大きく流行した。

※パーソナルカラー診断
肌や目、髪などの色から、似合