売り上げを拡大するのに欠かせない広告には、さまざまな種類があります。中でもWeb広告はニーズのあるユーザーに直接届けやすいため成果が出やすく、マーケティング施策の主流といえます。反面、設定や測定などの業務が煩雑で、手間がかかるのが難点です。

広告業務を軽減して効率化を実現するには、広告運用自動化ツールの導入がカギとなります。そこで、運用を軽減する広告運用自動化ツールやメリット、選び方、注意点について解説します。

▼Web広告については以下の記事で詳しく解説しています。
Web広告入門ガイド|種類や費用、用語、運用のコツを網羅的に解説

目次

  1. 広告運用自動化ツールとは
  2. 広告運用自動化ツールのメリット
  3. 広告運用自動化ツールの選定ポイント
  4. おすすめの広告運用自動化ツール8選
  5. 広告運用自動化ツールを導入する際の注意点
  6. 自社に合ったツールを選び、広告運用の効率化を図ろう

広告運用自動化ツールとは

Web広告を掲載するためには、掲載媒体や広告内容の決定から実際に広告を掲載するまで、さまざまな工程をクリアする必要があります。

しかし、すべて手動で行うとなると、煩雑で大がかりになりがちです。こうしたWeb広告運用の手間を省けるのが広告運用自動化ツールです。

広告運用自動化ツールの主要機能

ツールによって機能は異なりますが、広告運用自動化ツールの代表的な機能は以下の通りです。

● SNS広告やリスティング広告の運用を自動化

SNS広告やリスティングで重要なキーワード設定や、広告出稿の設定、予算の調整などの自動化が可能です。ただし完全自動化ではなく、ツールからの提案を必要に応じて実行する流れとなります。

● 運用レポート作成を自動化

広告運用レポート作成の自動化が可能です。レポート作成は、運用状況の把握や関係者との情報共有、運用改善のための分析など、良質な広告運用に欠かせません。

Web広告運用では必ず行うレポート作成ですが、作成にある程度の時間がかかるため、ツールで自動作成ができると大変効率的です。

自動化できる媒体の種類

広告運用自動化ツールでは、ツールによって連携できる媒体は異なりますが、主に以下の主要媒体にて自動化できます。

  • Google
  • Yahoo!
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE
  • Amazon

現状は少数のWeb広告だけの運用であっても、将来的には販路を広げて、もっと多くの媒体に広告掲載することも考えられます。できるだけ多くの媒体で利用できる広告運用自動化ツールを選択するとよいでしょう。

広告運用自動化ツールのメリット

広告運用自動化ツールのメリットは以下の通りです。

初心者でも始めやすい

Web広告の出稿では、まず予算や広告の詳細な設定が必要ですが、初心者には難しく感じやすいものです。

しかし、広告運用自動化ツールは簡単に設定しやすい作りになっているため、初心者でも始めやすいのが特徴です。社内にWeb広告経験者がいない場合でもWeb広告出稿が可能となります。

作業負担の軽減

ツールの中には運用自動化を始め、制作進行管理、効果測定機能に特化したものもあります。手薄になっている業務のカバーや、1人の担当者が多くの負担をすることなく作業を進めることができます。

Web広告運用に欠かせないレポート作成についても、複数の媒体に出稿している場合は媒体別にレポートの作成が必要です。

ツールを使用することで、複数の管理画面の操作や、グラフや表の編集といった手間が省け、作業負担を軽減できるのが大きなメリットです。

ツールからの提案で運用改善が可能

SNS広告リスティング広告では、適切なターゲットに訴求するためにも、キーワードの選定が大変重要です。広告運用自動化ツールはキーワード選定の最適化を自動で行うため、より精度の高いキーワードで広告を出稿しやすいのがメリットです。

また広告運用自動化ツールは、予算の調整など煩雑なコストの見直しを行うような場面でも力を発揮します。広告の絞り込みなど、コストパフォーマンスを最大限に高めるための改善案も提示されます。

広告運用自動化ツールが運用改善を提案.png
画像出典:Shirofune

広告運用自動化ツールの選定ポイント

広告運用自動化ツールには多くの種類があるため、ツールを選ぶ際はポイントに沿って判断することが大切です。

導入目的と効率化したい業務を明確にする

ツールを選ぶ場合に重要なのは、ツールを使用し「何を改善したいか」あるいは「何を強化したいか」を明確にすることです。導入目的が明確であれば、おのずと選定ポイントも見えてきます。

広告運用自動化ツールは、運用や制作進行、効果測定といった業務で効率化を実現できます。自社におけるWeb広告業務全体の流れや業務内容をチェックし、効率化したい部分を押さえておきましょう。

運用したい媒体に対応しているか

Web広告の媒体には、主にGoogle広告やYahoo!広告、Facebook広告などがあります。

ただし、すべての媒体をカバーしている広告運用自動化ツールは少なく、特定の媒体に特化しているツールが多いです。

ツールを選ぶ際は、自社が広告運用している媒体をサポートしているか、興味のある広告媒体が含まれているかを確認しておきましょう。

コスト以上の成果が得られそうか

広告運用自動化ツールは有料ツールのため、導入にはさまざまなコストがかかります。ツールのコストを上回る実績を積まないと、導入は失敗と判断される上に、自社への負担が大きくなります。

このような結果にならないためにも、導入検討をしているツールのイニシャルコストと、導入後のランニングコストの見通しを立て、コスト以上の成果が得られそうかを事前に確認しましょう。

操作性とサポート体制を確認する

機能性が高いツールは効率化が進められる可能性が高く魅力的ですが、操作や設定が難しく使いこなせない場合も多いため注意が必要です。

もし自社に広告運用に精通した人材が揃っていない場合は、初心者でも分かりやすく、日常的に使いこなせるツールを導入することをおすすめします。

また、分からないことがあった際にすぐに質問できるように、サポート体制の有無も確認しておきましょう。

おすすめの広告運用自動化ツール8選

ここでは、おすすめの広告運用自動化ツール8つの特徴をまとめました。

Shirofune(シロフネ)

Shirofune.png

出典:Shirofune

● 広告効果の提案自動化、広告運用作業の9割以上削減が可能

広告効果向上のための提案自動化や広告運用に関する業務のほとんどを効率化できる優れたツールです。

キャンペーン広告媒体の管理機能が搭載されており、複数の広告媒体のまとめ管理や、入札の最適化、予算調整、レポート作成など多くの機能を一元的に利用できます。

多機能にもかかわらず直感的に操作できることから、広告業務未経験者でもすぐに広告運用を始められるツールとして人気があります。

  • 主要機能:レポート自動作成・キーワード提案・一元管理 ・予算管理 など
  • 対応媒体:Google、Yahoo!、Facebook、Twitter、LINE
  • 無料トライアル:あり(2ヶ月)

ROBOMA AI(ロボマ エーアイ)

ROBOMA AI.png

出典:ROBOMA AI

● Facebook・Instagramに特化したSNS広告運用ツール

Facebook・InstagramのSNS広告運用に特化した、広告の予算配分を自動で最適化できるツールです。

実績に応じた予算の自動配分のほか、効果の高い時間帯に予算をアップしたり、効果が悪化したクリエイティブを停止したりと、細かな調整が行えます。

さらに、自動キーワード追加機能、類似したフォロワーを持つアカウントの追加機能など、SNSアカウントの運用も実施可能です。

  • 主要機能:自動予算配分・自動キーワード追加・自動広告ON/OFF など
  • 対応媒体:Facebook、Instagram
  • 無料トライアル:あり(2週間)

Perpetua(パーペチュア)

Perpetua.png

出典:Perpetua

● AI技術を用いたAmazon広告運用専用の効率化

AIによる最適化で、Amazon広告運用の自動化・効率化が可能です。Amazon広告をインハウスで運用したい場合に特におすすめのツールといえます。

初心者にもやさしい操作性と、月額利用料のみの低コストで利用できるため、導入しやすいのも特徴です。

さらに視覚的で分かりやすいレポート機能も搭戴し、Amazon DSPにも対応しています。インハウスでの継続的な改善ができるため、Amazon広告の運用ノウハウを社内に蓄積することも可能です。

  • 主要機能:自動広告作成、自動入札・改善提案
  • 対応媒体:Amazon
  • 無料トライアル:なし

AdSIST(アドシスト)

AdSIST.png

出典:AdSIST

● 主要広告媒体やECカートにも対応。ネットショップ集客に特化

ネットショップの集客を自動化したい場合におすすめのツールです。難しい設定もなく、最低限の操作で集客を開始できるため、初心者でも導入しやすく、ショップ運営に集中しながら効率的に集客が可能です。

Google広告やYahoo!広告など主要広告媒体はもちろん、BASEやCOLOR MEなどの主要ECシステムにも対応しています。

  • 主要機能:広告連携・自動集客
  • 対応媒体:Google、Yahoo!、Facebook、Instagram、LINE
  • 無料トライアル:あり(デモ画面)

AD EBiS(アドエビス)

AD EBiS.png

出典:AD EBiS

● 広告効果測定に特化、高精度なデータの計測や分析が可能

広告媒体からの表示回数やコスト取得、計測データを基にした広告配信まで行える、優れたツールです。

コスト最適化のための豊富な分析機能と広告データの自動取得で、広告施策の状況を迅速に把握できます。

広告キャンペーンの接触履歴といった計測データと、MA / CRM / SFA顧客・購買情報の紐づけも可能です。Web広告の成果を最大化するための、施策の改善と実行をすばやく行いたい場合におすすめです。

  • 主要機能:広告連携・自動データ取得・計測 など
  • 対応媒体:Google、Yahoo!、Facebook、LINE など
  • 無料トライアル:なし(フリープランあり)

ATOM(アトム)

ATOM.png

出典:ATOM

● 157種のテンプレートでレポート作成の工数を大幅削減

レポート作成の自動化を始め、数値管理、進捗管理を管理画面で行えるツールです。取得したデータはエクセルなどさまざまな出力形式で利用できるほか、分析ツールと連携して活用することもできます。

レポートは157種類のテンプレートが用意されている上にカスタマイズも簡単に行えるので、独自の資料作りにも有効です。

  • 主要機能:レポート自動作成・キーワード提案・一元管理 ・予算管理 など
  • 対応媒体:Google、Yahoo!、Facebook、Twitter、LINE など
  • 無料トライアル:あり

Lisket(リスケット)

Lisket.png

出典:Lisket

● 予算管理とレポート作成の自動化に特化

Web広告運用に欠かせない、広告予算管理とレポート作成機能に絞ったツールです。シンプルで使いやすい上に、1広告アカウントあたり200円と安価なのが特徴です。

多様なレポートを自動で作成し、予算管理では複数の広告媒体の予算消化状況を1画面で管理することが可能です。

また、キーワード候補提案ツールで、リスティング広告の出稿キーワードの検討も楽に行えます。

  • 主要機能:レポート自動作成・予算管理
  • 対応媒体:Google、Yahoo!、Facebook、Twitter、Instagram、YouTube、SmartNews、LINE、TikTok
  • 無料トライアル:あり(2週間)

glu(グルー)

glu.png

出典:glu

● 外部ツールとの連携でレポート作成作業が自由自在に

レポート作成業務に特化したツールで、自由自在にデータを扱える柔軟性が特徴です。主要な広告媒体や外部ツールデータの取り込みや加工ができるので、レポート業務だけにとどまらず、マーケティングデータのベースとしても活用できます。

さらに取り込んだデータは、サービス別、業種別、メディア別など、自由にセグメント可能なことから、煩雑なレポート作成がスムーズに行えるでしょう。

  • 主要機能:データ自動収集・集約・出力 など
  • 対応媒体:Google、Yahoo!、Facebook、Twitter、Instagram、LINE など
  • 無料トライアル:なし

広告運用自動化ツールを導入する際の注意点

広告運用自動化ツールを導入する際は、以下の点に注意しましょう。

初期段階では費用や手間が発生する

広告運用自動化ツールは、広告費や広告アカウント数に応じたプランが設けられていることが多く、その数により費用が高くなることに留意しましょう。

初期費用や月額料金はプランの内容やオプションの有無によって変わるため、各社非公開のケースが多くなっています。

また、導入の際には商談からシステム立ち上げまで、ある程度の期間や準備が必要となる場合があります。いつから導入するのか、どのくらいの準備期間が必要で初期投資の費用はいくら必要かなど、しっかり検討してから進めましょう。

定期的なメンテナンスが必要

ツールの運用が安定してくると、自動運用に任せてしまい綿密な検討を怠りがちになる場合があります。確かにツールの提案や自動化は便利ですが、マーケットのトレンドは常に変化するものです。

施策や戦略の見直しは必要になるので、ツール設定のメンテナンスは定期的に行いましょう。メンテナンスを実施しないでいると、トレンドからズレた運用を続けることになり、思ったような成果に結び付かない場合もあります。

導入前にGoogle広告の自動化機能を試すのもおすすめ

広告運用自動化ツールの運用でどれくらいコストがかかるのか見通せない場合や、いきなり導入するのに躊躇する場合は、無料で利用できるGoogle広告の自動機能を試してみるのがおすすめです。

Google広告を運用して課題が発生した場合に、課題を解消できる機能を持った広告運用自動化ツールの導入を検討してみましょう。

Google広告についての詳しい説明は以下の記事をご覧ください。
はじめてのGoogle広告。初心者が最低限押さえるべきポイントを解説

自社に合ったツールを選び、広告運用の効率化を図ろう

広告運用自動化ツールは、煩雑な広告業務を自動化し、効率化を目指すシステムです。特にWeb広告運用にはなくてはならないレポート作成、リスティング広告の自動化のほか、広告媒体に特化しているなど、ツールによって搭戴する機能は異なります。

費用対効果や導入する目的を明確にし、どういう機能が必要なのかを見定めてツールを選ぶのが重要です。自社に適したツールを選定し、業務の効率化と広告の成果を実現しましょう。