BtoBビジネスは、スペックや価格など客観的な評価基準が重視されますが、判断基準はそれだけではありません。事例やノウハウ、コンテンツなどの情報よりも、人との接触が最終的な意思決定を左右するケースも多くあります。

例えば、ホットリードを集めるためには展示会での接触が効率的です。また、検討度を高めるためにはセミナーやウェビナーが適しています。最終的な購買決定前には、セールス担当者の人間性も重要な要素の一つです。

なぜ、人同士のやり取りは意思決定において大きな影響力を持つのでしょうか。今回は、「人」から影響を受けるメカニズムについて、BtoBビジネスのヒントとなる情報を紹介します。

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「人」が人を動かすメカニズム

人の言葉や表情、振る舞いなどが人に与える影響は様々です。文字や画像を通しての理解が本当に正しいのかどうか判断するためにも、人が発信する言語・非言語的な情報が活用されています。

心理学などの分野では、人が意思決定をする際に働くメカニズムについて数多くの研究が行われてきました。以下では、これまでに発見された「人」の影響に関する法則や研究をいくつかピックアップし、BtoBビジネスに応用できるポイントについて解説します。

①メラビアンの法則

メラビアンの法則とは、人がコミュニケーションを取る際に、視覚や聴覚からの情報が言語自体の持つ意味よりも優先されるという法則です。この法則は、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンの著書『Silent Messages』の中で提唱されました。

アルバート・メラビアンはまず、次のような実験を行っています。

・「Maybe(おそらく)」という単語を様々な口調で録音し、被験者が受けた印象を確認する

実験の結果は、強い口調の音声を聞いた被験者が、穏やかな口調の音声を聞いた被験者よりもより強い説得力を感じたというものでした。メラビアンはこの結果から、「Maybe(おそらく)」という言語自体が持っている情報よりも、聴覚からの情報がより強い影響を与えているという仮説を立てます。

さらに、次のような実験も実施しました。

・「好意」、「中立」、「嫌悪」の印象を持つ言葉を各3つずつ用意し、様々な口調で録音する
・「好意」、「中立」、「嫌悪」を表す表情の顔写真を用意する
・録音した言葉と顔写真を様々な組み合わせで提示し、被験者が受けた印象を確認する

この実験により、人の印象は55%が視覚情報38%が視覚情報7%が言語自体の持つ意味から影響を受けているというデータが得られています。

つまり、人が情報を伝える際には、身振り手振りや表情などの視覚情報、話し方や声のトーンなどの聴覚情報が重要です。

言語以外の情報が強い影響力を与えていた実例として、株式会社ベーシックのウェビナーに対する参加者のコメントを紹介します。

250回以上開催されているBtoBセミナーで講師として登壇しているベーシックの河村は、「セミナーの資料はいつも通り、登壇者のテンションはいつも以上にあげる」ということをウェビナーのポイントとして挙げています。

実際に、明るく声を張るという聴覚情報が参加者にインパクトを与えていることから、非言語情報の重要性が感じられるのではないでしょうか。

BtoBビジネスでオンライン/オフラインの接触を担当する方は、視覚情報や聴覚情報で工夫できるポイントがないか見直してみましょう。

②返報性の原理

返報性の原理とは、他者から何らかのアクションを受けた時に、同様の行為を返したくなる心理を表す用語です。例えば、親切にしてもらった相手にはこちらからも親切な対応をしたくなる、といった心理に返報性の原理が見られます。

返報性の原理は、1960年に社会心理学者のグールドナーが提唱し、その後も関連する様々な実験が行われてきました。中でも、デニス・リーガンが1971年に行った『Effects of a Favor and Liking on Compliance(物質と返報性研究)』の実験が有名です。

デニス・リーガンは、スタンフォード大学の学生を対象に、次のような実験を行いました。

・2人1組になり、どちらかが仕掛け人、もう片方が被験者となる
・仕掛け人は実験中にジュースを買いに行く
・ある組では仕掛け人の分だけ、ある組では2人分のジュースを買う
・帰ってきた仕掛け人は、被験者に対して福引チケットの購入を依頼する

実験の結果、仕掛け人が2人分のジュースを買ってきた組では、仕掛け人の分しか買ってこなかった組よりも多くの福引チケットを購入してもらえました。この結果から、ジュースを買ってもらった被験者の心理に返報性の原理が働き、お返しとしてより多くの福引チケットを購入したと考えられます。

BtoBビジネスでは、返報性の原理を展示会やセミナー、ウェビナーなどで活かすことが可能です。例えば、参加者にとって有益な情報を提供することで、資料請求率や商品・サービスの購入率の向上が期待できるでしょう。

また、返報性の原理には「好意の返報性」や「自己開示の返報性」など、いくつかのバリエーションがあります。物品や情報だけでなく、人に接する態度についても返報性の原理が有効です。

BtoBビジネスの接触機会において、好意的でオープンな態度で接し、相手からも同様の態度を引き出すような工夫をしてみましょう。

③バンドワゴン効果(社会的証明)

バンドワゴン効果とは、多数の人がとった行動が、ある人の行動選択に影響を与えるという効果です。アメリカの経済学者であるハーヴェイ・ライペンシュタインによって提唱されました。バンドワゴン効果は社会的証明と呼ばれることもあります。

バンドワゴン効果に関する実験として、心理学者のスタンレー・ミニグラムが行った以下の実験が有名です。

・仕掛け人1人が雑踏の中で立ち止まり、60秒間空を見上げる
・仕掛け人を4人に増やして、同じように空を見上げる

この実験では、仕掛け人の動きにつられて空を見上げた通行人の数がカウントされています。

結果として、仕掛け人が1人だった時と比べて、仕掛け人が4人に増えた時にはつられた通行人の割合が有意に増加していました。この結果から、ある行為を行う人数が増えると、周囲の人が受ける影響が強まると考えられます。

また、社会心理学者ソロモン・アッシュが行った別の実験も、バンドワゴン効果を実証した実験の一つです。

・7人のグループを作り、1人の被験者を除き残りの6人を仕掛け人に設定する(被験者には、自分以外が仕掛け人であることを教えない)
・線の長さを比較するというごく簡単なクイズを出題する
・6人の仕掛け人は、わざと間違った回答を口にする

この実験の結果、被験者になった人の約76%が、仕掛け人につられて間違った回答をしてしまいました。この実験でも、多くの人の行動選択が影響を及ぼすというバンドワゴン効果が見られます。

BtoBビジネスにおいても、この心理的なメカニズムを活用することが可能です。例えば、「多くの人が導入している」といった情報を伝えることで、自社の商品・サービスの成約率アップが期待できます。

また、展示会やセミナーウェビナーなどで「自分の他にも多くの参加者が集まっている」という事実自体も、バンドワゴン効果をもたらします。

イベント集客などを企画する時は、多くの人が自社に興味を持っている状態を意識的に作り出すように工夫してみましょう。

「人」は最強のメディアである。

人は文字情報だけでなく、話し方や表情、振る舞いなどからも大きな影響を受けています。そのため、人は圧倒的な熱量を持ち、同時にオンライン/オフラインを問わず圧倒的な熱伝導率も併せ持つ最強のメディアと言えるでしょう。

営業やセールスの場面では、言うまでもなく人の力が重要です。さらに、それ以前のリードジェネレーションナーチャリングの段階においても、人による心理効果の積極的な活用を検討してみてはいかがでしょうか。

最後に、この記事で紹介した河村が登壇しているウェビナーをご案内します。

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