フィールドセールスの役割は、検討意向が高まってきた顧客を無事クロージングに導くことです。営業先へ頻繁に足を運ぶことが主流だった"ヒラメ筋時代"の「THE営業マン」には、押しの強さも大事でした。

しかし、現代のフィールドセールスの仕事では、自分たちの代わりに社内を説得してくれる導入担当者を最大限サポートすることが重要です。導入担当者がいったい何に困っているのかを知ると、フィールドセールスがやるべきことが見えてきます。

今回は、ferret Oneが導入担当者100人に調査したアンケートの結果を参考に、フィールドセールスがやるべきことについて解説します。

基礎からわかる BtoBマーケティング実践ガイド【2024年最新版】

基礎からわかる BtoBマーケティング実践ガイド【2024年最新版】

本書は、これから“BtoBマーケティング”を本格的に行いたいという方向けに、マーケティングの戦略設計や各種施策のノウハウを網羅した資料です。

①社内説明の「準備」を巻き取る

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「担当者が決裁を通す時に苦労していること」の回答結果は、1位が「導入価値の説明(55%)」でした。3位が「サービス内容の説明(35%)」、4位が「資料作成(24%)」という結果から、一言でまとめると「社内説得のロジックをまとめる」作業に苦労していることがわかります。

逆に言えば、社内説得のロジックをまとめる部分を強力にサポートすることが、受注に向けての一番の近道といえます。社内説明用のフォーマットを渡すだけでなく、企業に合わせた具体的なデータや事例などを揃え、「担当者がそのまま出せる」精度を目指してサポートしましょう。

具体的には、次のようなアプローチが考えられます。

サービスで解決できる課題を具体的に記載する

導入価値を説明するには、サービスの導入によってどのような課題を解決できるかを明確にすることが大切です。「業務効率化」や「売上アップ」などの抽象的な表現にとどまらず、数値や改善事例などの具体的な内容を社内説明用の資料に盛り込みましょう。

営業先の企業が抱えている課題をヒアリングした上で、サービスによって解決できる課題をピックアップすると、説得力が高まります。

導入時の懸念点をあらかじめ解消する

サービスの導入で得られるメリットだけでなく、懸念されるポイントについても資料内で触れておくことが重要です。説得時に想定される上司の反応を先読みして、懸念点を解決できる情報を記載しておきましょう。

例えば、「導入に手間がかかる」というリアクションが予想される場合、実際にかかる工数や導入担当者のキャパシティ、スケジュールなどを明確化しておく必要があります。

規模や業種が近い企業の導入事例を盛り込む

解決できる課題や懸念点の対策を盛り込んでも、上司からそれらの実現可能性に疑問を持たれるかもしれません。その場合、すでにサービスを導入し成果を上げている企業の事例が説得材料として活用できます。

自社と規模や業種が近い企業の事例があればイメージを持ちやすいので、営業先の企業と規模業種が近い企業の導入事例を選び、説得資料内に盛り込んでおきましょう。

②具体的な数字を提供する

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「決裁を通す上で決め手となる情報」のアンケートでは、「予算(64%)」という回答が圧倒的でした。また、「導入事例を見る時に最も重要視するポイント」では「成果の数字(64%)」という回答が1位です。

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これらの結果から、コスト得られる成果に関する具体的な数字を提供することが、フィールドセールスにおいて重要だとわかります。

リード獲得段階ではまずは問い合わせをとるために費用などの数字は出さない方が有効な場合もあります。ただし、クロージング段階では出せる数字は具体的に惜しみなく提供しましょう。数字を用いたアプローチの例は次の通りです。

費用対効果を数値化する

単に、サービス導入にかかる金額を具体的に記載するだけでは、サービス導入への動機づけになりません。コストの内訳などを明確化することは大前提として、その上で「かけたコストに対していくらのリターンが見込めるか」まで数値化しておくことがポイントです。

売上の増加や経費の削減など、得られるリターンがコストを上回っていることが明確になれば、サービス導入へのモチベーションが高められます。

複数のパターンをシミュレーションする

サービス導入による費用対効果は、あくまでも予測値です。そのため、導入によって期待以上の効果が得られた場合と、平均的なケース、最低限見込まれるラインという複数のパターンをシミュレーションしておく必要があります。

また、サービス内容が異なる複数のプランがある場合は、料金や見込まれる費用対効果を各プランについて明示しておきましょう。

③なぜ「競合ではなく、自社にする」のか?を説明しきる

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「決裁時に比較検討する社数」に関するアンケートでは、ほとんどの企業が2~3社を比較しているという結果が得られました。つまり、比較検討中の候補から自社を選んでもらうには、競合となる企業を特定、あるいは推定した上で「競合ではなく自社のサービスを導入すべき理由」を伝える必要があります。

比較検討しているサービスを聞き出し、比較表で「自社のサービスを導入すべき理由」を明示する資料づくりが必須です。次のようなポイントに注意して、自社サービスの優位性をアピールしましょう。

自社が有利になる切り口で整理する

サービスの比較表を作る時は、自社が有利になる切り口で整理することが大切です。機能性や導入までの期間、サポート体制、コストパフォーマンスなど自社サービスが競合より優れているポイントを見つけて訴求しましょう。

決裁権者が最重視している要素を聞き出す

自社サービスの優位性を効果的にアピールするには、決裁権者が最重視しているポイントを聞き出す必要があります。いかに自社サービスの優れている点を訴求しても、営業先の企業で重視されていない要素では説得力が高まりません。

ヒアリングの段階で、決裁権者が重視している要素を把握した上で、競合ではなく自社サービスを導入すべき理由を打ち出しましょう。

フィールドセールスの仕事は「顧客に武器を持たせる」こと。

フィールドセールスの仕事は担当者への売り込みではなく、社内決裁に向けて「必要十分な武器を持たせる」ことだといえます。そのためには、先方の決裁者の思考を読み取り、クロージングまでの道程を「逆算」して必要な資料を詰めていくことがポイントです。

担当者とのやり取りを通じて知見を積み上げれば、決裁者のニーズを見極める精度が高まります。フィールドセールスの成功には、この「見極め精度」が重要です。

今回紹介した内容を参考に、担当者の説得力を高めるアプローチに取り組みましょう。

▼アンケート結果の詳細はこちらの記事へ

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BtoBマーケティングの成功メソッドがわかるferret Oneブログ「One Tip」より