顧客に寄り添い、業務上で抱える悩みや課題を聞いて共に解決していくカスタマーサクセスは、日々のやり取りの中で顧客と1対1のインタビューを繰り返しているともいえます。カスタマーサクセスは、新たな顧客インサイトの発見に一番近い仕事といっても過言ではありません。

顧客の声をフィードバックする仕組みを作れば、プロダクト改善最適な売り先を探るためのヒントを得ることが可能です。今回は、カスタマーサクセスが拾った顧客の声をビジネス改善につなげる取り組みのコツについて解説します。

基礎からわかる BtoBマーケティング実践ガイド【2022年最新版】

基礎からわかる BtoBマーケティング実践ガイド【2022年最新版】

本書は、これから“BtoBマーケティング”を本格的に行いたいという方向けに、マーケティングの戦略設計や各種施策のノウハウを網羅した資料です。

プロダクト改善へのヒントを得る

カスタマーサクセスと顧客のやり取りからは、プロダクト改善に関する様々なヒントが得られます。すでにあるUIや機能の改善点だけでなく、新たに追加するべき機能も見つけることが可能です。

①UI改善のヒント

カスタマーサクセスがオンボーディングを行う段階で、顧客が見落としがちなボタンなどが見つかれば、UIの改善点として捉えられます。

サービス提供側は毎日のようにプロダクトの画面に向き合い慣れているため、UIの改善点になかなか気づくことができません。一方、まだ操作に慣れていない顧客の反応からは、使いにくい点の発見が可能です。

・やり方について顧客から繰り返し質問される操作
・見つかるまでに時間がかかるメニュー
・誤って押してしまうボタン

上記のようなポイントが見つかったら、カスタマーサクセスから情報をフィードバックし、UIの改善に役立てましょう。

②機能改善のヒント

多くのプロダクトでは、複数の機能が備わっていることが一般的です。ただし、全ての機能が顧客に活用されているとは限りません。実装されているにもかかわらず、なかなか使われていない機能が見つかった場合、改善の余地があります。

そもそも不要な機能なのか、顧客にとって有用なのに利便性が伝わっていないのかを、カスタマーサクセスの業務を通じてヒアリングすることが重要です。

機能が求められていない場合、バージョンアップ時に削除することも含めて検討しましょう。利便性が伝わっていない場合、より使いやすく改善する、機能のアナウンス方法を見直すなどの対策が考えられます。

③機能拡張へのヒント

顧客が抱える実務上の課題を深く理解すると、現在のプロダクトに足りていない機能を見つけることが可能です。例えば、「プロダクトを使った業務に時間がかかる」といった課題がある場合、テンプレート機能を追加することで解決できるかもしれません。

顧客からカスタマーサクセスに寄せられる相談や質問をもとに機能拡張を行うと、クロスセルアップセルにもつながります。

最適な売り先を探るヒントを得る

カスタマーサクセスが実務を通じて拾った顧客の声は、最適な売り先を探る時にも役立ちます。顧客の声をフィードバックし、ターゲットの最適化や新たな売り先の発掘に取り組みましょう。

④ターゲット最適化のヒント

プロダクト開発当初に設定するターゲットは、あくまでも仮説です。そのため、ターゲットを最適化するには、実際にプロダクトを導入した顧客の利用実態を把握する必要があります。

カスタマーサクセスが顧客とやり取りする中で、当初に設定したターゲットとずれが見られた場合は、マーケティング部門などへのフィードバックが大切です。利用実態に合わせてターゲットを最適化すると、より効率的に顧客を獲得できるようになります。

⑤LTV視点でターゲット優先度を調整

どのようなターゲットを優先するかは、新規顧客を獲得するために重要なポイントです。カスタマーサクセスが既存顧客とのやり取りで得た情報は、ターゲットの優先度を調整する際にも役立ちます。

売上数字を追う営業チームは、一般的に成約率が高いターゲットに対して営業リソースを多く割きがちです。しかし、成約したものの解約率が高ければ、効率的に成果を出すことができません。

そこで、LTVの観点からターゲットの優先度を調整すると、継続的な成果が生まれ全体最適につながります。LTVが高い顧客に関する情報をカスタマーサクセスが収集し、共通点を探ってみましょう。

⑥新たな売り先発掘へのヒント

最初にプロダクトを導入した部署だけでなく、他の部署からも喜んで利用されるというケースが見つかれば、新たな売り先発掘へのヒントを得ることが可能です。

カスタマーサクセスの業務の中で、想定していなかった部署でも利用されていることが判明した場合は、その理由をヒアリングしてみましょう。そのニーズに対してマーケティングを行うことで、新たな売り先が発掘できます。

顧客の声(VoC)をフィードバックする取り組み事例

BtoBマーケティングツール「ferret One」のCS部では、顧客の声を収集し、タイムリーにフィードバックするプロジェクト「Uber Voice(ウーバーボイス)」に取り組んでいます。「顧客の声を社内に届ける」という取り組みを、デリバリーサービスで有名な「Uber」に例えたことがプロジェクト名の由来です。

このプロジェクトでは、CS部のメンバーが顧客と関わる中で得られた声をスプレッドシートに記載して収集しています。そして、週1回CSメンバーが声をまとめ隔週他部署に共有月1回プロダクトの改善を提案するという流れが「Uber Voice」の取り組みです。

「Uber Voice」は2019年7月から始まり、現在は顧客の声が日常的に集まるようになりました。また、プロダクトの機能改善や、部署横断でのナレッジ共有などの成果も得られています。

カスタマーサクセスは、LTV時代の主人公である。

業務をプロセスごとに細分化する営業モデル「The Model」の4番目に位置づけられるCS(カスタマーサクセス)は、いわばクロージング後の営業です。旧来の売り切り型の営業モデルにおいては、クロージングまでの段階で完結していました。

しかし、今後主流となるLTV(顧客生涯価値)の時代においては、クロージングから顧客との本当の関係性が始まるといえます。そして、カスタマーサクセスはそのフェーズの主人公です。

今回紹介したポイントや取り組み事例を参考に、カスタマーサクセスが集めた顧客の声をビジネス改善に役立てましょう。