デザインに関連した業務に携わっていると、「もっとカッコいいデザインにしたいのに」「どうしたらクライアントに満足してもらえるのか」と、あれこれ悩んでしまうことも多いのではないでしょうか。
ぜひ、そんな時にオススメしたいのが「世界的に著名な建築士たちの名言集」です。

一見、『建築士』と『デザイナー』は異なる仕事に見えますが、クリエイティブなスキルを用いて仕事を進めていくという点では共通しています。
歴史に名を残す著名な建築士たちの考え方に触れて、リフレッシュしてみてはいかがでしょうか。

デザイナーにオススメしたい”建築士の名言集”

1.フランク・ロイド・ライト(1867-1959)

「あなたが本当にそうだと信じることは、常に起こります。そして、信念がそれを起こさせるのです。」

フランク・ロイド・ライトは、アメリカのウィスコンシン州に生まれた近代建築を代表する建築家です。
帝国ホテルや自由学園など、ライトが日本に残した作品は、近代日本発展の舞台ともなりました。
そんなライトが残したのが、この言葉でした。
今でこそ巨匠として評価されるライトですが、その人生は数々のスキャンダルに見舞われた、波乱に満ちたものでした。それでもなお自身のスタイルを追求し続けた結果、ライトは落水荘やグッゲンハイム美術館などの歴史に残る建築を残すに至りました。仕事に行き詰まった時に、支えとしてほしい一言です。

2.ミース・ファン・デル・ローエ(1886-1969)

「より少ないことは、より豊かなこと」

ル・コルビュジエやフランク・ロイド・ライトとともに近代建築の三大巨匠と呼ばれるミース・ファン・デル・ローエは、ドイツ出身の20世紀モダニズムを代表する建築家です。
代表作には、1929年バルセロナ万国博覧会で建設されたバルセロナ・パヴィリオンや、1950年にアメリカ・イリノイ州に建てられたファンズワーズ邸があります。
「Less is more」すなわち「より少ないことは、より豊かなこと」という言葉は、余分なものを省くデザインの本質を表した言葉とも言えます。よりよいデザインにしようとあれこれと考えてしまうときには、ぜひこの言葉を思い出して原点に立ち返ってみましょう。

3.ル・コルビュジエ(1887-1965)

「住宅は住むための機械である」

ル・コルビュジエは、スイス出身の建築家で、"20世紀における住宅の最高建築物"の一つと称されるサヴォア邸や、カトリックドミニコ会の礼拝堂として建てられたロンシャンの礼拝堂が代表作として知られています。そのほか、近年は1959年3月に手がけた上野の国立西洋美術館が世界遺産に選択されたことでも有名になりました。
こちらの言葉は、ル・コルビュジエの信念を表している一言で、デザインワークに取り組む上でも大切な「誰のためのデザインなのか、どんな機能が必要になるのか」という基本に立ち返らせてくれる一言です。

4.ヴォルター・グロピウス(1885-1967)

「人の心とは傘のようなものだ。開いた時に最も機能する」

世界的に知られたドイツの教育機関であるバウハウスの創立者であり、1919年から1929年まで初代校長を務めたことでも知られるヴォルター・グロピウス。ナチスの迫害からドイツを離れる困難に見舞われるものの、イギリスに亡命。のちにアメリカに渡り、超高層ビルのパンナムビル(現メットライフビル)を手がけ、第二次世界大戦後のドイツにおいては集合住宅の仕事にも携わりました。
バウハウスにおいてグロピウスが教師と学生が心を開く学びの場を作り上げていったように、デザイナーもクライアントの信頼を得てその意向を聞き取ることが大切です。クライアントとのヒアリングの時に、ぜひ心に留めたい一言です。

5.ルイス・カーン(1901-1974)

「創造とは、逆境の中でこそ見出されるもの」

ルイス・カーンは、エストニア生まれで、アメリカ合衆国で活動したアメリカ人建築家です。
1906年にエストニアから家族でアメリカに移住し、1921年にペンシルベニア大学美術学部建築学科に入学。1924年に数々の優秀賞を獲得して大学を卒業しました。
世界大恐慌を乗り越え、遅咲きの建築家として知られる彼だからこその一言です。アクシデントを乗り越え、さらによい作品を追求するという、常に心に焼き付けていたいメッセージといえます。

6.ブルーノ・タウト(1880-1938)

「それは実に涙ぐましいまで美しい」

20世紀を代表するドイツの建築家、ブルーノ・タウト。代表作である、鉄のモニュメント、ガラスの家が評価され、世界的に注目を集めました。
今回ご紹介した言葉は、そのタウトが20世紀初頭に招待された「日本インターナショナル建築会」のため来日した際に訪れた桂離宮に対して残したもので、桂離宮を世界に広めるきっかけともなりました。
世界中の著名な建築家にも大きな影響を与えた日本の美。デザインワークに行き詰まった時、ふと日本の建築や伝統工芸に目を向けてみることで、新たなインスピレーションを与えてくれるかもしれません。

7.アントニオ・ガウディ(1852-1926)

「芸術におけるすべての回答は、偉大なる自然の中にすべて出ています。」

1852年に誕生したスペイン出身の建築家です。アントニオ・ガウディの原点は、動植物などからヒントを得ながら、自然のありとあらゆる形を研究し、模倣していくことだったといいます。そうした研究の要素がガウディの建築物には散りばめられており、世界遺産として有名なスペイン・バルセロナにある大聖堂サグラダ・ファミリアもその一つです。
クリエイティブな仕事をする際、自然観察の大切さについて教えてくれる一言といえます。

8.ルイス・サリヴァン(1856-1924)

「形態は機能に従う」

ルイス・サリヴァンは1856年に誕生したアメリカの建築家で、アメリカ建築の3大巨匠の一人で、鉄骨造りを用いた高層建築で有名なサリヴァンの代表作が、プルデンシャルビルです。
この言葉は、様々な高層ビルを手掛けたルイス・サリヴァンが残したもので、デザインの美しさよりも、どのように機能するのかを考えるのが大切である、というサリヴァンの信念が伝わってきます。
目に見えるデザインの美しさも重要ではあるものの、ユーザーが求めているであろう内面の使いやすさといった機能面等にも目を向ける必要性を改めて示してくれる言葉といえます。

9.ダニエル・バーナム(1846-1912)

「理想の低い小さな計画など、立ててはいけない。そんなものには、情熱を奮い立たせるようなものはなく、実現することもないだろうだから大きな計画を立てることだ。望みを高く持ち、高潔で論理的な図面は、一度記憶されれば、決して消えることはない。」

ダニエル・バーナムは、アメリカ出身の建築家で、ニューヨークのフラットアイアンビルやワシントンのユニオン駅など著名な作品を残しています。1893年に開催されたシカゴ万国博覧会の総指揮者も務めました。
また、アメリカ建築家協会の会長を二度も勤める経験もあり、シカゴを始めとした都市計画の仕事にも情熱を傾けました。アメリカ都市計画協会は、その功績を称えて、総合的都市計画に対して毎年贈られる賞に「ダニエル・バーナム賞」の名を冠しているほどです。
今回紹介した言葉は、まさにバーナムの熱き想いが詰まったもので、常に理想が高く、熱き想いをもって仕事に取り組むことの重要性を再認識させられるメッセージといえます。

10.バックミンスター・フラー(1895-1983)

「全体的に思考して、局所的に行動せよ。最小限を行使しつつ、最大限を達成せよ。」

"20世紀のレオナルドダビンチ"とも称されたバックミンスター・フラーは、1895年のアメリカ・マサチューセッツ州出身の建築家で、数学者や発明家としても知られています。
1953年に完成させた「ジオデジック・ドーム」は世界的に広く知られ、そのほかにも「ダイマクション・ハウス」「ダイマクション・カー」「オクテット・トラス」「テンセグリティー構造」等、革新的な発明でも有名です。
また、建築家としては「宇宙船地球号」といったエコロジーの考え方を広めたことでも知られ、ポリシーとしていた"物事を大きく捉えて自分の仕事に集中する"というフラーの想いが詰まったメッセージといえます。