総務省は、平成30年(2018年)の「通信利用動向調査」の結果を公表しました。この調査では、通信サービスの利用状況、情報通信関連機器の保有状況などが調査され、世帯(全体・構成員)と企業の通信事情がわかります。

今回の調査ではAI・IoT等によるデジタルデータの収集・利活用が少しづつ進んでいることがわかりました。そのほかにもクラウドサービスの利用や、副業が解禁されていく中で活用が期待されるテレワークの利用を企業が推進していることが判明しました。

参考:
平成30年通信利用動向調査の結果 | 総務省

AI・IoT等のシステム・サービスの導入状況

AIやIoT等のシステムやサービスの導入についての調査では、デジタルデータの収集・解析等のため、AI・IoT等のシステム・サービスを「導入している」又は「導入予定」の企業をが2割を越えています。

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画像引用:http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/190531_1.pdf

導入しているシステムやサービスを構成する機器をみると、「監視カメラ」が41.1%と最も高く、次いで、「センサー(温度センサー、圧力センサーなど)」(28.6%)となっています。

デジタルデータの収集・解析の目的としては、効率化・業務改善が73.8%、顧客サービスの向上が43.2%、事業の全体最適化が23.9%となっています。これらのAI・IoT等のシステム・サービスの導入効果としては73.3%が「非常に効果があった 又はある程度効果があった」としており、導入した企業からAI・IoT等の恩恵を受けていることがわかります。

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画像引用:http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/190531_1.pdf

クラウドサービスの利用状況

企業のクラウドサービスの利用割合は上昇傾向が続き、今回の調査対象の約6割がクラウドサービスを利用しています。利用目的をみると、「営業支援」や「生産管理」などの高度な利用は低水準にとどまっています。

しかし、「データバックアップ」以外の利用目的の割合が1年前と比べてどれも増加しており、今後の成長もすることが考えられます。

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画像引用:http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/190531_1.pdf

利用目的の多くはファイル保管・データ共有(53.1%)、電子メール(52.2%)、サーバ利用(51.0%)などであり、基本的な業務に携わる箇所でクラウドが活用されています。クラウドサービスを導入した効果については、「非常に効果があった」又は「ある程度効果があった」と回答した企業が利用企業の8割を超えています。

テレワークの導入状況

企業において、テレワークを導入している又は具体的な導入予定があるのは、26.3%と全体のおよそ1/4ほどにとどまっています。その多くがモバイルワークを主眼としたもので、次いで在宅勤務、サテライトオフィス勤務となっています。

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画像引用:http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/190531_1.pdf

産業別にみると「情報通信業」「金融・保険業」での伸び率が高く、導入率は約4割となっています。このテレワークの導入目的は、「定型的業務の効率性(生産
性)の向上」「勤務者の移動時間の短縮」の割合が高く、労働者に配慮した理由が多くなっています。

では、個人ではどうなのでしょうか。企業等に勤める15歳以上の個人のうち、過去1年間にテレワークの実施経験がある人及び実施してみたいと考えている人は、24.5%と全体のおよそ1/4ほど。テレワーク実施意向のある個人で、テレワークを実施できてない理由は、「制度がないため」が56.0%と過半数を占めています。

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画像引用:http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/190531_1.pdf

環境が整えばテレワークでの仕事を行う機会も多くなっていくことでしょう。

通信環境が働き方を変える

企業だけではなく個人でもブロードバンドを利用する率が高くなり、情報のやり取りが大容量で可能になってきました。通信環境が整備されるに加え、クラウドサービスの利用やテレワークの導入により今後の働き方は変化をしていくことが予見されます。

調査概要

【調査対象】世帯:20歳以上(2018年4月1日現在)の世帯主がいる世帯およびその6歳以上の構成員。 企業:公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業。
【調査期間】2018年10月~12月
【調査方法】郵送により調査票を配布し、郵送またはオンライン(メール)により調査票を回収。
【有効送付数】40,592世帯、5,877企業
【有効回収数】16,255世帯(42,744人)、2,119企業の1,236サンプル(未成年者:618サンプル、保護者:618サンプル)

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