以前の記事 でもご紹介した通り、マーケターがマクロなPR目線を持つことは大事です。反対に、広報担当者にもマーケ目線を持つことが求められます。

広報担当者の役割は、単にメディアリレーションを構築して情報を流すことだけではありません。メディアごとの編集の好みやクセに合わせて手際よく情報を「編集」して渡すことも、広報担当者に求められるスキルの一つです。広報の専門性とは、この各メディアのインサイト把握にあります。

広報担当者に求められる編集力の重要性については、PR業界の第一人者・本田哲也氏のインタビュー記事も併せてご一読ください。

この記事では、広報・PR担当者が知っておくべきメディアインサイトの見つけ方について解説します。

基礎からわかる BtoBマーケティング実践ガイド【2024年最新版】

基礎からわかる BtoBマーケティング実践ガイド【2024年最新版】

本書は、これから“BtoBマーケティング”を本格的に行いたいという方向けに、マーケティングの戦略設計や各種施策のノウハウを網羅した資料です。

①媒体資料を確認する

各メディアが広告主向けに発行している媒体資料からは、次のような情報を読み取ることが可能です。

・メディアの理念
コンテンツの特徴
・メディアがターゲットとしている読者層
・購読者数
・月間PVなど

メディアが用意している媒体資料を一読すれば、そのメディアが目指している方向性編集方針などが分かります。

媒体資料は、各メディアのサイト上にある広告主向けのページからダウンロードできる場合と、問い合わせが必要な場合があります。メディアのインサイトを把握したい時は、媒体資料が用意されているか確認してみましょう。

ただし、広告主向けの媒体資料に書かれている内容は、メディアが「広告を受注する」ための営業資料としての側面が強いという点には注意が必要です。

例えば、広告主にとっての媒体のメリットが強調された資料では、広告掲載によって得られる成果や成功事例などの情報がメインで、媒体の読者層に関する情報が少ない場合もあります。このようなケースでは、資料内で紹介されている成功事例から、メディアがターゲットとしている読者像を解釈するといった作業が必要です。

媒体資料を確認する以外に、メディアの営業担当者に話を聞くという方法もあります。ただし、営業部編集部では部署が離れていてカルチャーも異なっていることが一般的です。編集部の考え方を正しく把握するには有効ではない可能性があるため、その点に注意して情報収集に取り組みましょう。

②過去の特集テーマを参照する

ライフスタイル誌やビジネス誌などの紙媒体をターゲットとする場合、過去の特集テーマについて調べると、メディアインサイトの把握が可能です。

紙媒体で特集されるテーマは、季節ごと毎年決まっている傾向があります。例えば、ビジネスパーソン向けの雑誌の場合、年明けの最初に出る号では新年の目標設定やスキルアップなどがよく扱われるテーマです。

そのため、過去の特集テーマを参照すると、PRを仕掛けたいタイミングで編集部がどのような情報を収集しているのかがおおよそ把握できます。

バックナンバーからメディアインサイトを把握するコツは、1年前だけでなく、2年前に扱われていたテーマも確認することです。1年前と2年前の同時期に取り上げられていたキーワードの共通点や差異に着目すると、編集部の考え方の「流れ」が推察できます。流れが見えてくると、今年はどんな情報をサーチしていそうか見当をつけて、的確にアプローチすることが可能です。

過去の特集テーマを調べる際は、媒体社の公式サイトが参考になります。媒体社によっては、過去に発刊された雑誌の見出し一覧特集内容を確認できる場合があります。また、バックナンバーの購入や、急ぎの場合は対象の雑誌を収集している図書館で閲覧するという方法も選択肢の一つです。

③直近の記事傾向を見る

BtoBマーケで主に取り扱うビジネス系のメディアは概ねWebメディアのため、紙媒体のような季節ごとの定番テーマが見つからないことも多いでしょう。そこで、メディアの傾向を把握する最も確実な方法は、直近にアップされている実際の記事をチェックすることです。

まずは媒体資料で大枠の方向性を掴んだ上で、実際にアップされている記事を目視で確認すると、直近のトレンドを把握できます。

さらに、ビジネス系Webメディアの記事からメディアインサイトを把握したい場合、以下のポイントを注視しましょう。

TOPページのコンテンツ構成

メディアのTOPページにどのようなコンテンツが掲載されているかを見ると、媒体の編集部が重視しているテーマやトピックを把握できます。

TOPページには、最近書かれた記事の新着順リスト以外に、媒体として「今」見せたいコンテンツの露出枠があることも一般的です。特集ページへのリンクバナーやスライダー画像に掲載されている内容をチェックし、どのようなコンテンツを推しているかを把握しましょう。

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ferretのトップページの場合、最上部のカルーセル部分にピックアップ記事が表示されており、その時々のイチオシ記事や新連載、また新しいサービス紹介などの情報が表示されています。

新規コンテンツ

新規に投稿されているコンテンツの中に、最近始まった連載記事があれば、それは今後媒体が注力していきたいテーマである可能性が高いです。

連載記事がどのような読者をターゲットとしているか、今後どのような記事がアップされそうかなどをチェックしてみましょう。連載記事をまとめた一覧ページや、第1回目として投稿されている記事の冒頭部分などを見ると、連載が開始された背景や企画の意図が読み取れる場合があります。

タグ

記事に含まれるテーマを表す「タグ」からも、メディアの方向性を読み取ることが可能です。媒体が注力したいテーマはタグ化されていることも多いため、どのようなタグが設けられているかをチェックしましょう。

メディアによっては、該当のタグが含まれる記事の件数タグごとに確認できる場合があります。特に記事数が多いタグや、まだ数は少ないものの最近の記事によく含まれているタグは、媒体が重視しているキーワードと考えられます。

メディア編集者が探している情報に合わせたメッセージを。

社外広報の仕事はプレスリリースを打つことではなく、狙った露出を獲得することです。メディアへの個別のアプローチを成功させるコツとして、自社の情報を「編集者が探している情報」に合わせて出すことが挙げられます。

基本的に、メディア編集部は年中忙しいため、メディアの編集テーマと関係ないように"見える"情報を提供してもスルーされてしまいます。媒体資料に書かれている情報や過去の特集テーマ、直近の記事傾向などを参考にメディアインサイトを把握した上で、最適なアプローチを行いましょう。

基礎からわかる BtoBマーケティング実践ガイド【2024年最新版】

基礎からわかる BtoBマーケティング実践ガイド【2024年最新版】

本書は、これから“BtoBマーケティング”を本格的に行いたいという方向けに、マーケティングの戦略設計や各種施策のノウハウを網羅した資料です。