BtoBマーケティング施策の成功事例はよく目にするものの、いざ自社で同じように実行してもうまくいかないことは多いのではないでしょうか。それは、間違った思い込みが原因かもしれません。自社に本当に必要な戦略とはなにか

マーケティングDX支援を行う株式会社WACUL・代表の垣内 勇威氏に、2022年11月に出版された書籍『BtoBマーケティングの定石』の内容を交えながら、そのヒントを伺います。

プロフィール

垣内 勇威 氏
東京大学卒。株式会社ビービットから、2013年に株式会社WACUL入社。改善施策の提案から施策効果の検証までデジタルマーケティングPDCAをサポートする自動分析・改善提案ツール「AIアナリスト」を立ち上げ。2019年に産学連携型の研究所「WACUL Technology & Marketing Lab.」を創設し、所長に就任。現在、 研究所所長および代表取締役として、事業のコアであるナレッジ創出を牽引。新規事業や新機能の企画・開発および大企業とのPoCなど長期目線での事業推進の責任者を務める。2022年5月、代表取締役に就任。

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「BtoB事例だからあてはまるはず」という思い込み

ferret :
世に出ているBtoBマーケティングの成功事例を真似したものの、成功しないケースはよくあると思います。何が原因なのでしょうか?

垣内 :
BtoB」という分類が大雑把すぎるため、誤解や思い込みを招いている側面があります。

世の中に出ているBtoBの成功事例の多くは、コンテンツマーケティングに注力して情報発信しているBtoBSaaSベンダーや、新興企業の取り組みです。そうした会社のマーケティング施策が、すべてのBtoB企業に当てはまるかというと、決してそうではないでしょう。

当然、そうした事例を「BtoB(法人向けビジネス)だから当てはまるはず」とそのまま真似しても、成果には結びつきにくいものです。まずは「自社に適した戦略は何か」を考える必要があります。

ferret :
何を基準に、自社に適した戦略・施策を見つけていけばいいのでしょうか?

垣内 :
書籍『BtoBマーケティングの定石』でも解説している通り、次の3点で分類すると整理しやすいです。

1.ターゲット企業の数
2.新規顧客を狙うのか、既存顧客を狙うのか
3.顧客の知識が豊富かどうか

1.ターゲット企業の数

まずは、ターゲットとなる企業の数によって戦略は分かれます。ターゲットとなる企業の数も人の数も少ない場合は、個別にアプローチしていく戦略になり、デジタルマーケティングの用途は限定的です。

ある程度の母数がある場合は、次の2軸で分類します。

2.新規顧客を狙うのか、既存顧客を狙うのか

対象となる顧客の数が多い場合、新規の問い合わせを獲得するのか、既存のリストに対してコミュニケーションを取るのかで、やるべきことは異なります。いずれは両方やる必要がありますが、現時点で優先度が高いのはどちらなのかによって戦略を選びます。

3.顧客の知識が豊富かどうか

自社が提供する商材について、ターゲット顧客が知識が豊富なのか、あるいは、あまり知識を持たずに選ばれるのか、という軸で分類します。知識の量によって顧客の購買行動は違ってくるため、情報発信の方針が変わってくるからです。

戦略の選び方

出典:垣内 勇威 著(2022)「BtoBマーケティングの定石 なぜ営業とマーケは衝突するのか?」(日本実業出版社)

垣内 :
大きくはこの3つの軸を元に、自社がどこにいるのかを分類していくと、整理しやすいのではないでしょうか。

ついつい、うまくいった施策を真似したくなると思いますが、施策だけ真似しても自社にフィッ