2023年10月に「ステマ規制」が施行され、アフィリエイト広告の記事やインフルエンサーによる投稿などに、広告であることの表示が義務付けられました。
ステマ規制により、アフィリエイト広告の成果や運用にはどのような変化があったのでしょうか。

大手ASP(アフィリエイトサービスプロバイダ)の「A8.net」を運営する株式会社ファンコミュニケーションズ加藤真悟氏に、ステマ規制後の変化と今後のアフィリエイト広告運用のポイントについて伺いました。

プロフィール

加藤 真悟 氏
株式会社ファンコミュニケーションズ A8事業部プロダクトマネジメント部長 兼 事業支援部長
大学卒業後に料理人として働いた後、食関連のインフルエンサープロモーションの企画営業に従事しながら料理研究家として企業向けレシピの開発や書籍の出版を行う。2012年4月にファンコミュニケーションズに入社後はスマートフォン向けアドネットワーク「nend」の営業責任者として事業の成長を牽引。デザイナー組織のコミュニケーションデザイン部長、A8.netのカスタマーサクセス部長を経て、現在はA8.netのプロダクトマネジメントと全社的なミドルオフィス組織開発に携わる。

目次

  1. ステマ規制後にアフィリエイト広告運用で起きた変化
  2. 広告主としてアフィリエイト広告を安全に運用するポイント
  3. 「A8.net」のステマ規制に関する取り組み

ステマ規制後にアフィリエイト広告運用で起きた変化

ferret:
ステマ規制の前後で、アフィリエイト広告運用にはどのような変化があったのでしょうか。

CV率や売上には大きな変化はなかった

加藤:
ステマ規制が始まる前は、アフィリエイト広告のパフォーマンスが下がるのではないかと懸念していました。

しかし、ステマ規制後の運用状況についてメディア側から話を聞くと大きな影響はなく、CV率や売上などの数字も低下していないとのことです。
つまり、広告主側の成果にも大きな影響はなかったと言えるでしょう。

2022年インターネット広告に関するユーザー意識調査の図

出典:2022年インターネット広告に関するユーザー意識調査

アフィリエイト広告のパフォーマンスに大きな変化が無かった理由として、広告に対する消費者の意識がここ数年で変わっていることが考えられます。

インターネット広告に対する否定的なイメージについての調査では、広告の表示のされ方や内容に関する回答が多く、広告であること自体への否定的な意見は見られません

そのため、ステマ規制で広告やPRであることが明記されるようになっても、消費者に与える印象には悪影響がなかったと考えられます。

消費者が意思決定するための情報が充実したのはポジティブ

加藤:
広告やPRの表示が義務付けられたことで、消費者が購買の選択と判断をするための情報が増えました。
メディアやインフルエンサーによって発信される情報が「広告」であることを消費者が認識し、納得した上で購買できるようになったという点は、ステマ規制によるポジティブな変化です。

一方で、広告主と広告掲載メディアの工数は増加

加藤:
一方で、ステマ規制により広告主側では広告やPRであることが明記されているかをチェックする手間が増えました。メディアの記事内容を広告主が把握・管理する必要があるためです。

メディア側では、新規に作成するコンテンツに限らず、既存コンテンツについてもPR表記をする必要があります。PR表記を追記する対応でほとんどはカバーできるとはいえ、広告主側・メディア側ともに工数が増えた点がステマ規制による影響です。

ステマ規制への対応方法の案内の図

出典:PR等の表記と広告掲載URLのご提出について

広告主としてアフィリエイト広告を安全に運用するポイント

ferret:
アフィリエイト広告広告主として運用する際、どのような点に気を付ければよいでしょう。

加藤:
広告掲載メディアの記事を確認し、広告・PR表示が無ければメディアに対して記載を依頼するなどの対処を行うことが重要です。

仮に広告掲載メディア側に違反があり、消費者庁からの指導や、措置命令前の消費者庁からの通達があった場合に、

適正な管理を行っているにも関わらずやむを得ない状況である

と判断していただけるよう、広告主にはできる限りの対応を事前に行っていただく必要があります。

A8.netでは、広告主と提携を行ったメディアがPR表記を適切に行わず、複数回にわたって連絡を取っても対応してくれないといった場合には、広告主側から提携を解除するといった事象もあるようです。

「A8.net」のステマ規制に関する取り組み

ferret:
ステマ規制に対応するために「A8.netが行っている取り組みにはどのようなものがあるでしょうか。

加藤:
広告主やメディアが法令を遵守しやすいように、PR表記を促す情報発信確認の工数を削減するための機能追加などを行っています。それぞれ、ご説明します。

ステマ規制への対応方法について情報発信

加藤:
「A8.net」のサイト上では、PR表示や広告表示をどのように行えばよいかなどの最新情報を案内しています。

▼ステマ規制対応に関する最新情報の案内

2023年10月施行の景品表示法の指定告示(通称ステマ規制)に関するお知らせの図

出典:2023年10月施行の景品表示法の指定告示(通称ステマ規制)に関するお知らせ

▼ステマ規制への対応方法の案内(PR等の表示例)

ステマ規制への対応方法の案内の図

出典:PR等の表記と広告掲載URLのご提出について

また、消費者庁や業界団体との定期的なコミュニケーション機会を設け、最新情報の把握やガイドラインの策定などの啓蒙活動も行っています。

ステマ規制への対応を効率化する機能の開発

加藤:
ステマ規制への対応に問題がないかをチェックしやすいようにするため、「広告掲載URLの提出機能」を提供しました。この機能を通じてメディアが広告掲載URLを提出することで、広告主は広告・PR表記をこれまでより簡易的にチェックできます。

PR等の表記と広告掲載URLのご提出についての図

出典:PR等の表記と広告掲載URLのご提出について

今後は、メディアごとのPR表記の対応状況を確認できるようにするなど、さらなる機能提供をしていく予定です。

ステマ規制を遵守してアフィリエイト広告を活用しよう

ferret:
最後に、アフィリエイト広告はどのような企業におすすめでしょうか。

加藤:
アフィリエイトはどんな商材でも有効ですが、検討期間が長くなる商材については、アフィリエイト広告がおすすめです。ステマ規制を遵守してアフィリエイト広告を活用することは十分に可能なため、安心して利用してほしいと思います。

▼累計25,000社以上が導入!A8.netの導入事例をご紹介いたします

アフィリエイト広告導入事例集 注目企業が成長したヒミツ

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A8.netでは、ステマ規制に関する表記だけでなく、「どのような表現なら優良誤認などのルール違反がないか」といったステマ規制以外の景品表示法薬機法に関する内容についてもフォローを行っています。

具体的な内容については、サービス利用前の段階でも回答できるため、アフィリエイト広告の利用を検討している方はぜひ気軽にお問い合わせいただきたいです。