「優れたデザインを生み出すこと」
「クリエイティブな制作物を作り出すこと」

一見、これらは*『デザイナーやクリエイターに限ったこと』*のように思えるかもしれないですが、決してそうではありません。これはあらゆる業務で、あらゆる人に該当する話です。

ただ、デザイナーやクリエイターが優れたデザインや制作物を生み出し"続けている"のには、その根底にデザイナーがデザイナーたらしめる考え方があるからです。

今回は『ノンデザイナーこそ参考にしたい』、デザイナーが常に持っている9つの考え方をご紹介します。

ノンデザイナー必見!優れた制作物を生み出し"続けている"コツ

1. デザインは魔法じゃない

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"発想"や"思考"は文字どおり「魔法のような」無限の可能性を秘めていますが、決して「魔法」ではありません。デザイナーの頭の中では、様々な発想やアイデアが混沌の中で渦巻いており、その中には現実では実現不可能なことすら思いついてしまうことがあります。

しかし、それを作品として表現したところで、全員を魅了する魔法など存在しないことをデザイナーは理解しています。
いかなる方でも創造力を持って生まれてきます。ただ、それは超能力ではありません。

だからこそ、どのようにすれば多くの人に感動を与えられるのか、デザイナーは常に考えているのです。

2. 馬鹿になることも必要

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デザイナーになりたての頃は、多くの方が業務に取り掛かる際、「誰にも認められないのではないか」という恐怖を抱くことがあるはずです。
これは、世に送り出した作品が皆に認められたいという感情ゆえに、完璧を求める気持ちがそうさせていると考えられます。

でも実際、デザイナーも自分たちがやっていることや作っているものが完璧で素晴らしいなんて思っていないのが実情です。
自分たちがやっていることのほとんどは、新しいプロジェクトに取り組んだり、新しいモノの見方に出会った時に、仕事をしながら学んできたことがベースになっています。
だから、誰もがスタート地点だということや、誰もが今も学び続けているということをデザイナーは知っています。

完璧を目指して、「優秀な」デザインを生み出そうとする必要は全くありません。
デザインの前では、誰もが思いもよらなかった発想をすることも大切です。誰かに馬鹿にされようが、関係ありません。

3. デザインするのに許可はいらない

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インターネットの誕生によって素晴らしいソフトウェアで作品を制作することが可能になり、世界中のあらゆる素晴らしい作品をいつでも閲覧できるようになりました。
あとは「やってみる、作ってみる」ことが大切です。

素晴らしい作品から学びを得ることは大切ですが、どれだけ学べば十分といえるのかという基準はありません。
そして、デザイナーとして十分な実力が身に付いたので、ようやくデザインをしてもいいと許可を出す人もいません。

デザインとは、自分が創造したものを世に生み出し世界中にばらまくことです。
青信号になるのを待つのではなく、インスピレーションを得たその瞬間に、早速手を動かしてみましょう。

4. 「失敗」は存在しない

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「失敗ではない。上手くいかない1万とおりの方法を発見したのだ」

発明王として有名なトーマス・エジソンは、こんな言葉を残しています。
失敗というのは、ある出来事の側面を一面的にとらえた見方に過ぎません。失敗は2つの選択肢の1つにしか過ぎないのです。

自分の可能性に対して嘘をついたり過小評価する代わりに、実際に生み出した成果物をほめたたえ、経験から学ぶ準備をしましょう。

クリエイティブな人生というのは旅に似ています。上手くいかないこともありますが、それは通過点でしかありません。
どのステップも必要なことですし、そのステップがあるから前に進めるということをデザイナーは知っています。

5. 決め付けたら終わり

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世の中にはたくさんのステレオタイプや決め付けが存在します。そして、もっとタチが悪いのが「常識」です。
多数派の意見を絶対的な尺度として、あたかもそれが正解であるという考え方を、デザイナーは常に乗り越えようと挑戦しています。

"あいつはこういうやつだ"というレッテルを貼られたり、作ったものによって印象が決まってしまうのではないかという恐怖を感じるかもしれません。しかし、実際にあるのは多様性や独自性だけです。デザイナーは自身の創作物をとおして自分の考え方を表現しますが、それはあくまでも世界中のあらゆる表現の中の一つであることをわかっています。

自分をブランディングする前に、自分の思考をあらゆる形で表現したほうがいいと考えるデザイナーもいます。ブランディングとは自分はこういう人間で、こんな風にものごとを考えるということを自分自身で決め付けてしまうことにつながるので、成長するにつれて出会うチャンスに蓋をすることになってしまいます。

6. 全てにハナマルをもらわなくてもいい

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完璧を目指したり、全てにハナマルをもらう必要はありません。これは弱さや妥協とは全く異なります。自己認識の問題です。

自分の強みは何かを分析し、どんな人と協力して作品が作れるか、自分にはない秀でた才能を持った人とどんなことができるかを考えることが重要です。
自分らしさを引き出し、自分の弱点だと認識していた部分が強みに変わります。

他人の目は気にしなくてもいいのです。地球上の全員に認められる必要もありません。そういうことを気にしているうちは、自分らしい作品を作り出すことはできません。本当に自分らしい、素晴らしい作品は、本当に没頭して熱中できることをやっている間にしか生まれないことをデザイナーは体感しています。

7. 自分の作ってきた作品が嫌いになる

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デザイナーは「今」を生きています。
もちろん、デザイナーでも過去に自分が生み出した作品を振り返ることはあります。ただ、その際の目的は自分の成長の過程を見つめ直したり、自分が学んできたことを認識したり……と、かつて自分が未熟だったことを実感したりすることになります。

過去の作品を見つめると、そこから過去の問題点と新しい糸口が見え、今何をするかが明確になります。そのため、『嫌いになる』というのは言い過ぎかもしれませんが、自分の作品を極端に愛することはしません。なぜなら、それは過去の自分が考えてきた思考の軌跡であって、今は全く別のことを考えているはずだからです。

8. 賢くなろうとしない

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自分が困惑していたり、対処が難しいと感じている問題は、自分以外の人だって難しいと感じているはずです。だから、デザインによって誰かを打ち負かしたり、あるいは勝とうなどとは思わずに、競争のフィールドからは撤退してしまいましょう。

デザインコンペやグランプリは、その作品が最も「優秀」であるということをたたえるのではなく、その作品が最もその「趣旨」とマッチングしていただけです。
それぞれの作品がそれぞれにユニークであるし、比べる必要はありません。

デザイナーは他のデザイナーの作品や作風を「参考」にしても、『ここが彼より秀でている』といった比較論はしません。自分が何か知識を持っているからすごいということでもありません。あるのはそれぞれの独自性です。

9. 「自分だったら」「今だったら」を作る

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デザインというものは面白いもので、「過去の自分ならこう作るだろうけれど、今の自分ならこうする」と感じることは日常茶飯事です。
未来の自分は、今とは全く違く作品を作るかもしれません。1分後、1ヵ月後、1年後の考え方は今とは180度違うものになっているかもしれません。

そして、他人や他者の作品からインスパイアされても、結局のところは自分というフィルターをとおして作品が作られます。似た人生を歩んできても全く別のことを経験しているので、作品に込める想いも全く違ったものになるでしょう。

「いいな」と思った作品に出会った時に、多くのデザイナーは「自分だったら、今、どう作るか」をいつも考えているのです。