「イテレーション」という言葉は、もともとウォーターフォール型の開発設計に対して、アジャイル開発における、短い間隔で反復しながら行われる開発のサイクルを指します(イテレーションとは反復のこと)。
Plan-Do-Seeのサイクルを回していくことで、リスクや問題点を短いスパンで発見し、改善しながら開発を進めることができるのです。

こうした手法をデザインに応用したのが「デザインイテレーション」です。
ユーザーリサーチ、設計、プロトタイピングのテストなどを効率よく回していくことで、より素早くデザインが完成します。

非常に短い間隔でサイクルを回していく「デザインイテレーション」とはどのようなものなのでしょうか。
今回は、効率的にデザインしたいなら押さえておきたい「デザインイテレーション」の基本をご紹介します。

デザインイテレーションとは?

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▲ Wikimedia Commonsの資料をもとに筆者が作成

「デザインイテレーション」は、}要件定義から設計、ユーザーテスト、評価を非常に短いスパンで回していくデザイン手法*を指します。
「ラピッドプロトタイピング」や「スパイラルプロトタイピング」とも呼ばれています。

もともとは開発の現場で行われていたアジャイルの手法をデザインの現場でも取り入れることで、可能な限り素早く、使い勝手のよいデザインをマーケットにリリースできるようにするために取り入れられています。

ところが、注目したいのは、デザインイテレーションはデザインに関するあらゆるフェーズで取り入れられており、プロダクトがリリースした後でも改善点を発見できるということです。

デザインイテレーションを通してプロダクトのライフサイクルが早まるので、結果的にコストがかかってしまうと考えるひともいるようです。
しかし、プロトタイピングを行うには最低限紙とペンさえあればよく、ソフトウェア設計に比べて要件定義も複雑ではないので、結果的にソフトウェアにおけるアジャイル開発よりは比較的安く済みます。

場合によっては、複数人でホワイトボードの周りに集まり、その場で要件定義から始まる一連のプロセスをまとめてやってしまうこともあります。

デザインイテレーションを取り入れるメリット

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それでは、コスト面以外で、デザインイテレーションのアプローチを採用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、4つのメリットに関して触れていきます。

1. ユーザーニーズを即座に拾うことができる

デザインイテレーションでは、ユーザーテストも含めた一連のプロセスを非常に短期間で回していくため、ユーザーからのフィードバックがたくさん蓄積されることになります。
イテレーション中に得られたユーザーのフィードバックは即座にデザインに反映することができるため、素早くプロダクトを完成させることができます。

2. フィードバックの質が高まる

たくさんのイテレーションプロセスを回していくと、以前に出たフィードバックを解消したのちに新しいフィードバックを得るようになるので、フィードバック一件の質がだんだんと高まっていきます。

つまり、イテレーションを行えば行うほど質の高いフィードバックになるため、デザインプロセスもますます洗練され、高速で回すことができるようになります。

3. プロジェクトチーム内の誤解を早急に解消できる

チームの中でデザインに関する誤解が生まれたとしても、このイテレーションループを回す中でそうした誤解は解消されます。
また、チームで顔をつけあわせて話し合う場面も増えるため、コミュニケーションをとりながら同じベクトルでデザインプロセスを進めることができます。

4. 要件定義を長い文書にする時間をデザインに充てることができる

この点がデザインイテレーションの要諦といっても過言ではありませんが、ウォーターフォール型のように、要件定義したものを長い文書にする必要はなく、その時間をワイヤーフレームを作ったり機能的なデザインを作ったりする時間に充てることができます。

ソフトウェア設計では規模が大きくなればなるほど複雑になり、その分プログラミングに多大な時間を要することになりますが、デザインイテレーションを回していけば、こうした時間を短縮することができます。

1度ではプロトタイプは完成しない

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結局のところ、いくらプロトタイピングに時間をかけたとしても、当初想定していたデザインをレビューした時にユーザーのニーズと異なっていた場合には、もう一度プロトタイプを改良する必要が出てきます。

また、目に見えるビジュアルデザインだけではなく、昨今ではUXデザインの重要性も声高に叫ばれています。
そうした場合には、プロダクトを実際にユーザーに触ってもらうユーザーテストの工程が必要不可欠です。
UXの効果測定も含めたプロセスによって、単なる見た目だけでは分からない問題点も浮き彫りにすることができるのです。

まとめ

デザインイテレーションが現場で導入されたのは10年も前のことです。
しかし、現在でもデザインイテレーションを取り入れている現場があるというのは、それだけこのプロセス自体に意味があることだからでしょう。

イテレーションは数回だけでなく、何十回、何百回と回すことでその威力を最大限に高めることができます。
早速、自社でチームを組んで、プロダクトのイテレーションプロセスを組み立ててみてはいかがでしょうか。