メディアなどを運営している会社や社内のイベントが多い会社では、社員がカメラを手に取り写真撮影をすることも多いはずです。実際に上記のような場面で撮影したことがある人はわかると思いますが、自分で撮った写真がコンテンツで使われていたりすると嬉しいものですよね。

でもF値やシャッタースピードは適性なはずなのに、プロが取っている写真と比べると……「何かが違う」!そう感じることはないでしょうか。
※F値やシャッタースピードに関してわからない方はこちら

参考:
今日からアナタも社内カメラマン!写真撮影を内製化する3つのポイント|ferret

もしかしたら、その”ちょっとした違和感”を生んでいる1つの要因は、写真の「色味」かも知れません。今回はそんな方々を対象に、編集ツールなどを使わずに簡単に写真の色味、ひいては印象を変えることのできる「ホワイトバランス」をご紹介します。
  

ホワイトバランスとは

カメラでもスマートフォンでも同様ですが、何の設定もせずに撮影した画像というのは「”撮影した環境”でカメラが”正しい”と思った色」であることが多いということを皆さんはご存知でしたでしょうか。

よくある「目で見ていた景色と写真の印象が異なる現象」というのは、これによって生じます。これは人間の色を認識する能力と、カメラが色を認識する作業が異なるために起きる現象です。

例えば、晴れの日だろうと曇りだろうと、または室内だろうと室外だろうと、人間は光を無色透明に感じるため「白」を「白」だと認識できます。しかし、カメラは違います。「白」に当たった光の色の種類を認識できるため、感じ取った光の種類で写真全体の色味が変わってしまうのです。

この光の種類に応じて変わる色味(カメラの人間の認知する色に補正する機能)のことを「ホワイトバランス」と言い、カメラでは「WB」と略されて表記されています。このホワイトバランスは、多くのカメラのメニュー項目で調整できるのでぜひ確認して試してみましょう。

ホワイトバランスでは上記の光の色を”色温度”と呼び、調整することが可能です。ちなみに、単位はケルビン(K)と表記されます。

この色温度のイメージを持つ際に、わかりやすいのが炎の例です。炎は普段は赤く見えますが、一定以上まで温度が高くなると青く見えます。これと同じで色温度も高ければ高いほど青く、低ければ低いほど赤くなります。

ここで注意が必要なのは上記で説明したとおり、ホワイトバランスは色味を”補正する”機能であって、カメラ上で設定する時は低くするほど青く、高くするほど赤く”補正”されるということです。

実際の色温度のイメージ

それでは、実際の写真を比較してみましょう。

下記3つの画像が実際の色温度のイメージとなります。

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まず、ホワイトバランスをオート(Auto White BalanceでAWBと表記されていることもあります)にするとこのように映ります。

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続いて、色温度を下げた際の写真がこちらです。一目で青く補正されているのがわかりますね。

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また、次は色温度を上げた時の写真です。赤みがかって補正されています。

3つのイメージともに、だいぶ色味が異なるものになります。同じ環境で撮影したとしても設定1つで大きく画像に変化が生じてしまいます。きちんと、カメラ操作、テクニックというのを理解することが改めて重要なんだとわかる事象と言えます。
  

撮影シーン別のコツ

上記で説明したホワイトバランスですが、カメラにあらかじめシーン別のプリセットが用意されています。

慣れないうちはプリセットを利用し、慣れてきたら徐々に自分で微調整する、というように段階を踏んで覚えても良いかもしれません。

今回はビジネスシーンにも使える形で、よくあるプリセット5つを紹介します。
  

1. 白熱電球

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白熱電球は中のフィラメントの素材である「タングステン」という名称で呼ばれることがありますので覚えておきましょう。

このプリセットは、これから紹介するなかでも1番青みがかって見え、企業の撮影シーンだと特にカフェなどのオレンジがかった間接照明を補正する際によく使います。
  

2. 白色蛍光灯

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白色蛍光灯も白熱電球同様、赤いものを青く補正する際につかうプリセットです。

白い光を少し青みがかったように補正できるため、夜景などで利用する人が多い印象です。個人的にはイベントの登壇者をスマートに見せたい時や、被写体の肌を白っぽく見せたい時などによく使います。
  

3. 晴天

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「晴れ」や「太陽光」などと言われることもあるこのプリセットは、人の目で認識できる色温度(5000~5500K)に近く設定ができます。癖がなく基本となるプリセットですので、晴天の日中に外で撮影するシーンなどにあっています。
  

4. 曇天

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曇天は曇り空などの際に赤く補正するプリセットです。

曇りの日に屋外で緑などの寒色系の色をとるときに使うことが多い印象です。個人的には青みがかった会議室などでのインタビュー撮影の際に無機質になりすぎないようにしたり、やわらかい雰囲気の人を補正する際などにも使ったりします。
  

5. 日陰

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紹介した5つの中で1番赤く補正するのがこのプリセットです。

日陰の青さを補正する用途で設定されていますが、あまりにも赤く補正されるので、個人的にはあえて赤くしたい夕焼けや紅葉などを撮影する際に使っています。
  

まとめ

色味は写真の印象を決めるとても重要な要素です。実はホワイトバランスは色味を考える上での第1歩で、さらに「WB補正」といった調整や「RAWで撮影してツールで後に編集する」といったことをして色味を追求している人もいます。

ただ、そのレベルまで達している人は基礎となるホワイトバランスをちゃんと理解し、撮影時に完成イメージを持てるくらいまで練習を積んできた人たちです。

撮影の目的や被写体の印象などを考えながら調整し、より良い写真を撮っていきましょう!