プロジェクトマネジメントを行ううえで、意識するべき一つにリスクマネジメント(リスク管理)があります。
規模に関係なく、プロジェクトの準備段階でも進行中でもトラブルはつきものです。
今回は、トラブルが起きても被害を最小限に防ぐためのリスクマネジメント方法について解説します。

リスクマネジメントとは

リスクマネジメントとは、「営業活動に伴うさまざまな危険を最小の費用で食い止める経営管理活動」もしくはを指します。
リスクマネジメントという概念自体は以前から認知されていましたが、2006年の会社法施行により「株式会社」においては「損失の危険の管理に関する体制」作りが義務つけられたことなどを受け、ここ数年でリスクマネジメントに本格的に取り組む企業が増えています。

「リスク」は、経済学上では「ある事象の変動に関する不確実性」と定義されており、何かしらを行ったことで発生するものです。(ですので、単純な「危険」とは厳密には意味は異なります。)

基本的な流れ

リスクマネジメントは、基本的には以下のような流れで行われます。

リスク識別(特定)

起こりえるリスクを洗い出し、それぞれのリスクがどのような要因によって引き起こされるのかを定義づけします。

リスク評価(分析)

識別したリスクを、

・インパクト(影響度)
・発生頻度

の二軸で分類し、各リスクのレベルを設定します。

リスク対応

レベル別に整理したリスクごとに、具体的な対応策を設定します。
リスク対応は、更に4つのタイプに分類できます。

リスクの低減

あらゆる対策を講じることで、実際に発生する可能性を減少させる対応を指します。

リスクの保有

リスク評価をした結果、特に対策を取るほどのものでもない、あるいは対策にかかるコストに対しての効果が少ないと判断され、リスク自体を受容することを「リスクの保有」と呼びます。

リスクの回避

インパクトが非常に大きく、要因を除去するか、手法そのものを全く別のものに切り替えることでリスクを発生させなくすることを「リスクの回避」と呼びます。

リスクの移転

リスクが発生した際に、リスクそのものを自社以外のところに移すことを「リスク移転」と呼びます。
例えば保険等もリスク移転の1種です。

リスクを洗い出し、選別し、対策を考えるというシンプルな構成ではありますが、リスクを体系立てて把握しておくことで後々の損害を大幅に抑えることができます。

何を「問題」とするのかが重要

リスクマネジメントにおいて重要なのは、何を「リスク」と定義するかというところです。
何を「リスク」と捉えるかは、そのプロジェクトが何を目的としているのか、何が最優先事項なのか、管理する対象は何なのかによって変化します。

まとめ

リスクマネジメントにおいて最も重要で最も難しいのはリスク定義の部分です。
何をリスクと感じるかは、同じ組織に所属していても個々人によって捉え方が違うということは十分起こりえます。
プロジェクトの目的が明確になっていなければ、リスク識別もあやふやになり、リスクマネジメントができないどころかプロジェクトそのものもうまくいかない可能性が高いでしょう。

リスクマネジメントは、そのようにプロジェクトの目的が明確かどうか、プロジェクトメンバーの意識が共有できているかどうかを測る目安にもなります。