昨今新型コロナウイルスの影響でウェビナーを始める企業が増えている中、どのように行えば成果が出るのか悩んでいるマーケティング担当者も増えているのではないでしょうか。そんな悩みを解消するべく、この連載では年間200回ものウェビナーに登壇する株式会社コクリポの上野氏がウェビナーのコツを語ります。

ウェビナーでは、ほとんどの参加者の方が「ながら見」している

以下コクリポ様のブログより一部修正の上、転載しております。

こんにちは。コクリポの上野です。昨今非常に多くの企業がウェビナー開催に初挑戦し、同時に非常に多くのウェビナープレゼンターが生まれています。

ウェビナーはつまらない?面白い?それは登壇者のスキル次第です〜その1〜①.jpg

ウェビナーを始めた多くの会社、プレゼンターの皆さま、*ウェビナーはうまくいきましたか?参加者の方々の、あなたの話への理解度はどうでしたでしょうか?リアルな会場で人を集めて行うセミナーと比べて、仕事などでの成果につながりましたか?*なかなかうまくいかなかった、という方も多いのではないでしょうか?

今回の記事ではその要因と対策をプレゼンターの視点で考えてみたいと思います。

皆さんは、ウェビナーに参加者として参加する機会と、プレゼンターや司会者などで登壇する機会、どちらが多いですか?当然ですが、参加者側の立場でウェビナーというものに触れる機会のほうが多いですよね?

私は年間で200回ほどのウェビナーにプレゼンターとして登壇するので登壇者側の立場のほうが圧倒的に多いのですが、そういう人はまずめったにいないと思います。一般的にはウェビナーというと「視聴するもの」「観るもの」なわけです。

皆さんが参加者としてウェビナーに参加するときをちょっと思い返してみていただけますか?

例えばPCで何かのウェビナーに入場します。登壇者が登場して資料を使って話をはじめます。20分くらい資料を説明しています。

「そのときあなたは、何をしていますか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうでしょう?

ウェビナーが行われているアプリやブラウザのタブを、じっと見て聞いていましたか?他のブラウザやタブで、メールやSlackやチャットワークで誰かとやり取りしていませんでしたか?もしくは、同僚の方と雑談していませんでしたか?または、リモートワーク中にご自宅でウェビナーに参加していて、テレビを見ながらウェビナーを聞いていませんでしたか?

ご安心ください。それが普通なのです。ご自分が気になるポイント、聞きたい話になったな、と思った時にはじめて集中してウェビナー画面を見つめるんですよね。それ以外の時間は流して聞いてます。

リアルな会場でのセミナーの場合、主催者側のスタッフの方はもちろん、他の参加者の方も目もありますし、堂々と内職しながらセミナーを受けるのってちょっと難しいですよね?でも*ウェビナーではほとんどの参加者の方が「ながら見」*しているんですね。

ウェビナーとリアルな会場でのセミナーの一番の違いはココにあります。

ウェビナーはつまらない?面白い?それは登壇者のスキル次第です〜その1〜②.jpg

登壇者側はウェビナーに参加いただいている方は基本、

  • ちゃんと見てない
  • ちゃんと聞いてない

ということを頭に入れて、プレゼンテーションする必要があるのです。

一人の人に話しかけるように話す

ウェビナーの登壇者、プレゼンターはほとんどの場合、リアルなセミナーや説明会で登壇していた方がそのままその役割を担われていることかと思います。

  • 大きなリアル会場で数千人の聴衆を前にプレゼンしたことがある
  • 50人規模の説明会で毎週話をしている

こういったリアルなセミナー・説明会での実績や経験が豊富な方でも、*なぜかウェビナーだと「伝わらない」「共感を得られない」「そもそも聞いてもらえない」*とお感じの方が多いのです。

非常に簡単で単純な心の持ちようとテクニックだけで、もともとトークがうまい方であればあっという間に解決できる問題でもあるのです。

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その解決方法は、*「今の自分の話を熱心に聞いてくれている一人の人に話しかけるように話す」*ということです。

リアルな会場に人が集まって聞いてくれる普通のセミナーに比べて、ウェビナーだと会場に集ってくれている皆さんの顔も様子も見えません。WebカメラやPC内蔵のカメラに向かって、見えない群衆に向かって一人で話し続ける行為がウェビナーのプレゼンなのです。

これは慣れないと話ししづらいものなのですが、逆に考えると大勢の方の目線を意識せずに話すことができるので、緊張しやすい人にとっては逆に良い環境でもあります。

そして、例えば1時間のウェビナーを話すとして、全員が始めから終わりまで60分間見て聞いてくれているわけがありません。参加者は自分の聞きたいパートだけつまみ食い的に聞きにきています。

以下のような構成のウェビナーがあったとします。

  1. 皆さまのお困りごとについて
  2. それを解決する事例について
  3. その事例で使われている自社サービスの特徴について
  4. 自社サービスの価格について

1.と2. だけ聞きにきてる人、2. だけ聞きにきてる人、2. と4. だけ聞きにきてる人など、自分の興味のないパートのときはメールやSlackをしてたりTVを見てたりしてます。

なので、例え100人が入ってるウェビナーだろうと今の自分の話を聞いてくれてるのはそのうちの30人程度だろうと考え、その中で最も熱心に聞いてくれている人を一人イメージし、その人に1対1で話しかけるつもりで話すのです。

こうすることで、大勢に向けて演説をしているような肩の力が入ったプレゼンではなく、聞かれた質問に答えているような自然な話し方ができます。これが実はウェビナーでは大事で、大きな会場であればポジティブに作用する熱意あるプレゼンも、ウェビナーだと暑苦しくてうるさく聞こえてしまうのです。

PC画面から1時間以上、政治家の街頭演説のようなテンションの高いプレゼンが聞こえてくることを想像してみてください。
・・・・・・・・・・・・疲れちゃって見ていられませんよね?

ウェビナーでは、テンションが高すぎず低すぎず、ちょうど自分の話に興味津々の人からされた質問に喜んで答えるときのような自然なテンションがちょうどいいのです。

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「間」を意識的に使う

そしてもうひとつ、テクニックについて。これは話し始めると色々あるのですが、簡単にできるものをひとつだけ。

「間」を意識してしゃべる、というテクニックです。しかも1秒とかではなく、3秒程度や場合によっては*5秒以上の「間」*を意識的に使うというテクニックです。

これはプロの話し手であるアナウンサーの方や芸人の方であれば当たり前に見につけている基本中の基本のテクニックなのですが、我々素人にはこれがなかなか使いこなすのが難しいものです。なにせ、ただでさえ焦ってしゃべりのスピードが速くなってしまうウェビナーのプレゼンで、5秒も黙るのは非常に勇気がいります。

でも、リアル会場でのセミナーではなく、多くの方がちゃんと見ていないウェビナーだからこそ、この5秒の「間」が生きてきます。メールやSlackで仕事をしながら、ウェビナーが自分の興味のあるパートにさしかかるのを待ってる参加者さんは基本、耳でウェビナーを聞いています。

ずっと登壇者がしゃべっている状態から、突然5秒も「沈黙」状態になると、「ん?」と気になってウェビナー画面を見に来てくれる方が増えるのです。仕事や読書をしながらTVのバラエティー番組を「ながら見」していて、賑やかな番組が突然シーンと静まったら、「ん?」と気になって画面に目をやってしまうことってありませんか?あの心理をウェビナーでも利用するために、長めの「間」を意識的に使うのです。

ということで、ウェビナー登壇時の心の持ちようと簡単なテクニックについてお話ししましたが、そうはいってもなかなかすぐにできることでもないと思います。特に5秒の「間」なんて、秒数を数えてみると分かりますが、こんなに長い沈黙をどうプレゼン中に入れればいいんだよ、と思いますよね?

そういった実際のウェビナーでのテクニックの使い方などについては、当社が定期的に開催しているウェビナーでお話しておりますので、より実戦的な内容をお聞きになりたい方はぜひご参加ください!

以上がコクリポ上野氏の「ウェビナープレゼンターの心得」でした。今回はオンラインで行うウェビナーだからこその課題とその解決方法を教えてもらいました。コクリポではブログ以外にも上野氏の登壇するウェビナーでさまざまなテクニックを配信しています。

毎月10回以上開催されるウェビナーからぜひご自身にあったものに参加してみてください。