初心者からプロまで。作業効率アップのために見直したいIllustratorの環境設定
プロがイラスト制作、広告デザインに利用することでお馴染みのAdobe Illustratorは、最もポピュラーなドローイングソフトです。DTPだけでなく、Webデザインでの活用も一般的。デザイナーの方でなくとも、ぜひ使いこなしてみたいソフトの一つではないでしょうか。
そんな魅力的なIllustratorですが、そのまま使い始めるよりも予備知識を蓄え、基本の環境設定をおこなうことでスムーズに作業することができます。今回は、はじめてIllustratorを操作する方向けの環境設定の基礎をご紹介します。
これから使い始めるにあたって知っておくと作業が効率的になりますので、ぜひ目を通してみてください。
なお、Illustratorには複数のバージョンが存在します。バージョンによっては画面などに違いがある場合がございますのでご了承ください。
はじめてのIllustratorでおこなっておくべき環境設定まとめ
1.単位
Illustratorではいくつかの単位が設定可能ですが、Webデザインで使用する基準の単位は「pixel(ピクセル)」です。「pixel(px)」は、画素とも呼ばれていて、デジタル画像を構成する最小の要素のことを指します。
そのため、基本単位の「pixel」に合わせることが非常に重要です。Illustratorのデフォルト状態では、単位が「mm(ミリメートル)」となっているので、忘れずに変更しておきます。
上部メニューバーから「Illustrator」→「環境設定」→「単位」を選択します。
「環境設定」の設定画面が出てきたら「単位」を選択します。
すべての単位を「pixel」に変更し、最後に「OK」を選択します。
これで、単位を「pixel」に変更することができました。
なお、上記の変更方法が一般的ではありますが、ショートカットすることでより手軽に変更することが可能です。定規の上で右クリックすれば単位選択の設定画面を表示することができます。
単位を変えることがよくある方であればこちらの設定方法も覚えておくと便利です。
2.グリッド線
Illustratorのグリッドとは、印刷では表示されないマス目のガイドをいいます。当然ではありますが、基準のマス目が適切でなければデザイン作業がスムーズに進みません。バランスを見たり、レイアウト調整しやすくするためにも、ガイド・グリッドを適切に設定しておきます。
いくつかの項目が自由に変更できるようになっていますので、好みや作るコンテンツ、環境に応じて自身が使いやすいと思うものを設定してみてください。
画面上部メニューバーの「Illustrator」→「環境設定」→「ガイド・グリッド」を選択します。
設定画面が出てきます。グリッドの数値やガイドの色を好みに応じて設定します。
ここではグリッドを100、分割数10に変更しました。設定後の状態は画像のとおりです。
なお「Ctrl+¥」でグリッドの表示・非表示の切り替えが可能です。(Macの場合には「Command+¥」です。)
3.ワークスペース
ワークスペースは作業のジャンルに応じて変更することができます。適切なものに変更することで、それぞれの作業内容に応じた使いやすい環境が整います。ここでは、Webデザインをおこなう場合に使用する「Web」に設定します。
上部メニューバーから「ウィンドウ」→「ワークスペース」→「Web」を選択します。
4.キー入力を固定
キー入力の数値が中途半端だと作業しづらくなりますので、初めのうちに分かりやすく1pxに設定しておきます。
上部メニューバー「Illustrator」→「環境設定」→「一般」を選択します。
「キー入力」の項目を1pxに設定します。
これで1pxに固定することができました。
5.カラーモード
IllustratorのカラーモードにはRGB(光の三原色)、CMYK(色料の三原色)の2つがあります。RGBはテレビ、パソコンで用いる「加法混色」、CMYKは印刷物で用いる「減法混色」という表現方法です。
これらの違いを理解しないままデータを作ると、印刷したりWeb上にアップした際、予定していた色と違う色で出力される場合があります。それぞれ用途が異なりますので、作成するコンテンツに沿って適切なカラーモードを選択する必要があります。
ここでは、Webデザインを想定し「RGB」に設定します。
まずはデータ作成時にカラーモードを設定する手順です。
上部メニューバー「ファイル」→「新規」を選択します。
「新規ドキュメント」設定画面が立ち上がったら、下部にある「詳細」を表示し、カラーモードを「RGB」にします。
続いて、作成途中でカラーモードを変更する手順です。
上部メニューバー「ファイル」→「ドキュメントのカラーモード」→「RGB」を選択します。
6.アンチエイリアス
Illustratorで作成した線がボケてしまう現象のことを「アンチエイリアス」といい、線の太さが奇数になった場合に発生します。予め設定しておくことで、アンチエイリアスを防ぐことが可能です。
上部メニューバー「効果」→「ラスタライズ」を選択します。
「アンチエイリアス」をなしに設定する。
これでアンチエイリアスを防ぐことができます。
7.明るさ、画面色
画面の明るさによっては、アートボード外に配置したオブジェクトが見づらいなど使い勝手に問題を感じる場合があります。明るく、あるいは暗くしたい場合にはユーザーインターフェイスの明るさを設定します。
上部メニューバー「Illustrator」→「環境設定」→「ユーザーインターフェイス」を選択します。
設定画面の矢印を動かし、好みの明るさに調節します。
8.画面表示
Illustratorの様々なツールは「ツールパネル」内に収まっており、パネル内から使うものを選択します。個人差はありますが、ツールパネルは1列表示より2列表示のほうがアイコンが探しやすくなります。
ツールの配置を早く覚えるためにも、表示は2列がオススメです。
このような1列表示だと、アイコンが縦に沢山並んでしまい数えにくくなります。
ツールパネル右上にある小さな矢印をクリックすることで、表示を切り替えることが可能です。
まとめ
以上、はじめてのIllustratorでおこなっておくべき環境設定の基礎をご紹介しました。
Illustratorは非常に優れたソフトではありますが、その高機能さゆえに常にデフォルト状態では使い勝手が悪いものもあります。自分にとって使いやすいソフトにするためにも、表示方法を工夫するなど試してみる必要があります。
今回紹介したものは基本となりますので、まだ未設定という方は環境設定をおこなってみてください。中でもグリッド線の設定をはじめとしたものは使用頻度が高い機能ですので、知っておくと便利です。
また、Illustratorをすでに使いこなしている方ほど、あまり環境設定を見直す機会がないのではないでしょうか。何となく使いながら覚えていったという方は、特に環境設定を見落としている可能性があります。
場合によっては、今よりも作業効率が良くなる可能性がありますので参考にしてみましょう。
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