近年、大手コンサルティング会社による広告会社の買収が盛んに行われています。
IBMは2016年にアメリカのResource/Ammirati、ドイツのAperto、ecx.ioの3社を、デロイトも2016年フルサービスエージェンシーのHeatを買収しており、広告会社の機能を積極的に取り込んでいます。(※1)

一方で、広告代理店もコンサルティング機能を強化しています。
国内最大手の広告代理店である電通は、2006年に電通コンサルティングを設立しています。
2010年には本社内に電通マネジメント・インスティテュートを設立したり、一橋大学大学院国際企業戦略研究科と提携したりするなど、経営関連知識を身につけるための環境を整えつつあります。(※2)

コンサルティング企業と広告代理店が融合し始めているのは、デジタルメディアの台頭によって広告媒体が多様化し、あらゆる施策をワンストップで提供できることに価値が見出されつつあるという背景があります。

その流れの中、戦略策定と実行の両方を自ら実施したいと事業会社に転職するという兆しが見受けられます。
株式会社リクルートキャリアで「リクナビ」の事業戦略を担当されている太田 良佑氏もそのうちの一人です。

今回、太田氏に広告代理店からなぜ事業会社へと転職したのか、リクルートキャリアに何を求めて入社されたのかを伺いました。

リクルートキャリア太田 良佑氏プロフィール

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2012年に広告代理店に入社し、マスやデジタルの広告をはじめとしたマーケティング活動の投資効果(ROI)の分析に従事。多種多様なクライアントの業務を行いつつ、ソリューション開発にも取り組む。2015年リクルートキャリア入社。

新卒で入社した大手広告代理店からリクルートキャリアに転職したきっかけ

入社前の経歴を教えてください。

太田氏:
2012年に広告代理店に入社して、データ分析の部署に配属されました。そこではマーケティングROI分析を担当していて、広告の投資効果を計測し、クライアントの次年度の予算配分の提案を行っていました。

マーケティングROIを分析する上で、重要としていた部分はどういうところでしょう?

太田氏:
机上の空論にならないよう、データだけを見るのではなく、現場の肌感覚を大事にしていました。営業やメディアプランナー含め、いろんな方にヒアリングしながら分析を進めるようにしていました。

転職しようと思われたきっかけは?

太田氏:
業務にはやりがいを感じていたし、結果も出せていました。業務をある程度こなせるようになってきた段階で、何となくモヤモヤとした感情が湧くようになりました。
モヤモヤの根本を探った結果、裁量権をもって事業を進めていきたいという考えが強くなっているからだという答えが出ました。
広告代理店という立場では主体的に事業を進めることは難しいと感じ、転職を考えるようになりました。

リクルートを選ばれたきっかけはなんだったんでしょう?

太田氏:
転職先の企業を模索する中で、新卒時代にリクルートキャリアが選択肢にあったことを思い出しました。
任される仕事の幅が大きいイメージがあるし、事業領域にも興味があったので、今の自分にすごく合っているなと感じ応募しました。

学生時代、リクルートキャリアを目指そうと思ったきっかけは?

太田氏:
もともと、展開している事業に興味があったのと、リクルートキャリアに入社した学生時代の先輩達の話を聞いたのが大きいです。実際に事業を立ち上げて推進していく話を聞いて、一人一人の裁量が大きいと感じました。

自分で考えた戦略の結果を明確に感じることができることが喜びに

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現在の仕事内容を教えてください。

太田氏:
リクナビの戦略担当として、事業拡大の戦略と実行を任されており、他社との提携や新卒向けリクナビのマネタイズ戦略などを担っています。
ステークホルダーが様々存在し、配慮するべき部分も多々ありますが、自分が考えた戦略の効果を明確に実感できるのは大きな魅力です。
代理店時代ではなかなか味わえない感覚です。

入社前と入社後のギャップはあるでしょうか?

太田氏:
個人の意志を尊重したうえで、強い意志があれば周りがサポートして推進していけるっていうのは入社前の印象から今も変わらないです。
あと、こんなに大きい会社なのに役員と接する機会が多く、距離が近いという部分は良い意味でびっくりしました。

リクルートキャリアに入社して感じたことは?

太田氏:
予想以上に一人一人の裁量権が広く、かつ社会への影響度が大きい仕事ができているなと感じています。
カスタマーにとっては人生の転換期にあたる部分ですし、自分たちが考えた戦略によって、マーケットに大きな影響を与えるというのはすごく実感しています。
だからこそ、しっかり責任を持って望まないといけないなと感じております。

今の仕事をやるうえでのモチベーションは

太田氏:
先程もお話したように、世の中への影響度が大きい仕事に携われている、という点が大きいです。
あとはカスタマーやクライアントの満足の声を聞けた時は嬉しいですし、今後も期待に応え続けないといけないと感じます。

まとめ

事業会社で主体的に事業を進めることでスキルの幅が広がり、自身の戦略の結果の手応えを直に感じることができることに大きなやりがいを感じると語った太田氏。
広告代理店時代に身に着けた事業戦略策定のスキルを活用し、リクナビ事業の成長に貢献されているようです。

戦略設計のみで終わる仕事から、戦略から実行までを全て行う仕事に移行する流れは今後も加速していくでしょう。

参考記事
※1
相次ぐコンサルティング会社による広告会社買収、米国の動向まとめ | AdverTimes(アドタイ)

※2
「IBMvs電通」経営コンサルと広告代理店がなぜ同じ分野で争っているのか |ZUU_ONLINE