「テレビ離れ」が叫ばれる昨今ですが、データで見るとどうなのでしょうか。
今回は「テレビ離れ」が本当に進んでいるのかについて、いくつか調査を元に解説します。

「メディア定点調査 2016」| 博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所の調査データ

あらゆるジャンルのメディアを複合的に調査する「メディア定点調査」は博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所により毎年行われています。
今回は2016年1月28日~2月12日の期間に15~69歳の男女2,543人を対象に行われました。

テレビ接触時間は昨年と比較して微増

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テレビの接触時間は1日のメディア接触時間393,8分のうち153分を占めます。これは2015年の152.9分をわずかに上回ります。

ただ、携帯電話・スマートフォンの接触時間が2015年の80.3分から2016年の90.7分へと大きく増加しています。

メディア総接触時間におけるシェアは減少

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すべてのメディアの中でテレビが占める割合は、2015年の39.9%から38.9%と1%減少しました。
携帯電話・スマートフォンが20.9%から23.0%に増加したことと対照的です。

20代以下の接触時間はテレビより携帯・スマホが上回る

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メディア接触時間を世代別に見ると、20代以下はテレビより「携帯電話・スマートフォン」の接触時間の方が高くなっています。
女性の20代以下ではテレビが145分ほどであるのに対して、携帯・スマホが約200分と1時間近くの開きがあります。

※図は全てメディア定点調査 2016」| 博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所より引用

日本人とテレビ・2015 | NHK放送文化研究所

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参考
日本人とテレビ・2015

「日本人とテレビ」調査はNHK放送文化研究所が5年ごとに行っている調査です。
今回は、2015年2月27日~3月8日の期間に、全国の16歳以上の男女3,600人(うち有効回答2442人)に対して行われました。

長時間の視聴が減少し、短時間の視聴が増加

1985年以来続いていたテレビ視聴の長時間化(4時間以上)の傾向があったものの、2015年は短時間(30分〜2時間)の視聴が増加しました。

4時間以上視聴する人が2010年の40%から、2015年には37%と減少し、2時間以下(全く見ない人も含む)の人が39%から44%と増加するという結果になっています。

世代間の視聴時間の差が大きい

70歳以上は60%以上の人が「長時間」視聴するのに対して、40代以下は過半数が「短時間」視聴するという結果になっています。

若い世代のインターネット志向が顕著に

「テレビよりインターネットの動画のほうが面白いと思う」人の割合が全体では27%であるのに対して、20代以下では50%以上と若い世代のインターネット志向が明らかになっています。

2015年国民生活時間調査報告書 | NHK放送文化研究所

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参考:
2015年国民生活時間調査報告書 | NHK放送文化研究所

こちらもNHK放送文化研究所によるもので、2015年10月13日~26日の間で10歳以上の国民12,600人(うち有効回答数7,882人)を対象に調査が実施されました。

この調査における「テレビの行為者」とは、1日の中で15分以上テレビを見る人のことを表します。

テレビ行為者率がここ5年で大きく減少

1995年の国民全体のテレビ行為者率が92%で、2000年には91%、2005年には90%と微減していたものの、2015年で85%まで減少しました。
2010年と比べると、平日の行為者率は男50代以下と女30・40代で減少しています。

若い世代の「テレビ離れ」が影響した結果であることがわかります。

平日に1日15分以上テレビを見る人の割合が男性20代が最小で62%

平日に1日15分以上テレビを見る人の割合が70歳以上は男女ともに96%であるのに対して、20代男性が62%、20代女性が75%とともに世代間で最低の割合です。

平日のテレビ視聴時間は年齢が高くなるほど長時間に

平日のテレビ視聴時間が男女ともに、年齢層が上がるほど長時間になる傾向があることがわかります。

男女ともに70歳以上では平日・休日限らず5時間を超えています。一方で、平日の男性40・50代と女性20・30代は2時間台、男女10代と男性20・30代は1時間台と短くなっています。

まとめ

各調査機関のデータを統合すると「若年層のテレビ離れ」を裏付ける結果となりました。
高齢者の視聴時間は安定していますが、若年層は年々スマホ利用時間が増えています。

それでもテレビの影響力はまだまだ無視できません。
電通が毎年発表している「日本の広告費2016」によると、主要媒体(マスコミ四媒体・インターネット・交通広告など)中でテレビに割かれる広告予算の割合が最も高くなっています。

参考
電通報 - 「2015年 日本の広告費」解説―インターネット広告費がリードし4年連続でプラス成長を達成

増加率ではインターネット広告費が群を抜いていますが、テレビ広告費にはまだ追いついていません。

従来のプロモーションといえばマスコミ四媒体に出稿するのが最も効果的というのが一般的でした。
しかし、インターネットが登場しユーザーが分散した現在は、より戦略的になる必要があります。

どこかの媒体に偏るのではなく、各媒体の特色やメリットを把握したうえで自社に最適なプロモーションを考えてみましょう。