ビジネスパーソンであれば、社会全体の情報を得るために経済新聞やニュースをチェックしおきたいところでしょう。
ですが、ニュースで取り上げられている「消費者物価指数」や「完全失業率」といった指標がわからないまま読み進めてしまっている方も多いのではないでしょうか。

今回は、統計データを見る上でおさえておきたい8つの指標を解説します。
経済のニュースをより深く理解するためには、取り上げられている指標のもととなる計算式や、指標がどういった意味を持っているのか把握しておく必要があります。
ぜひこの機会に指標に関する疑問を解消して、より大きな視点でビジネスニュースを読み解けるようになりましょう。

経済に関わるもの

1.GDP

*「GDP(Gross Domestic Product)」*は「国内総生産」と訳され、国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額を指します。

では、付加価値とはどのように算出するのでしょうか。

例えば、木材を林業者が切り出し、1本200円で木材メーカーに売ったあと、木材メーカーが加工を加えて1本500円でハウスメーカーに販売したとします。
この時、林業者は200円分の付加価値を生み出し、木材メーカーは300分の付加価値を生み出したことになるでしょう。

GDPは国連の定める国際基準(SNA)に従い算出されるため、各国の経済状況を比較する数値としても利用できます。

また、よく似た言葉として*「GNI(Gross National Product)」*という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。

GNIとは「国民総生産」を表し、同じく一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額を表します。ですが、GDPはあくまで国内にある企業を対象としているため、日本企業の海外拠点が生み出した付加価値は計算に加えません。
GNIは国民を対象としているので、日本企業の海外拠点も対象となります。

参考:
[GDPって何?…国内総生産の基礎知識|nikkei4946.com]
(https://www.nikkei4946.com/zenzukai/detail.aspx?zenzukai=85)
[GDPとGNI(GNP)の違いについて|内閣府]
(http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/otoiawase/faq/qa14.html)

2.消費者物価指数

消費者物価指数とは、基準となる年の物価を100として、その都度の物価を比較計算した数値です。
これにより全国の世帯が購入する各種商品・サービスの価格の平均的な変動がわかるので、どの程度インフレーションが進んでいるかを判断することができます。

基準となる年は5年に一度改定され、2017年現代の場合平成27年(2015年)の1年間が設定されています。

参考:
[消費者物価指数に関するQ&A(回答)|総務省統計局]
(http://www.stat.go.jp/data/cpi/4-1.htm)

3.東証株価指数(TOPIX)

東証株価指数とは、東証市場第一部に上場している日本の企業すべてを対象としている株価指数であり、昭和43年(1968年)1月4日の時価総額を100として算出されます。

スクリーンショット_2017-06-02_18.13.56.png引用:[東証指数算出要領(市場別指数編)]
(http://www.jpx.co.jp/markets/indices/topix/tvdivq00000030ne-att/cal_3_topix.pdf)

上記の計算式で東証市場が算出し、リアルタイムで全国の証券会社や報道機関に配信されています。東証株価指数は日本経済の指標として用いられているほか、一部の金融商品のベンチマークとして用いられています。

参考
[TOPIX(東証株価指数)|日本取引所グループ]
(http://www.jpx.co.jp/markets/indices/topix/)

4.鉱工業指数

鉱工業指数は国内の事業における生産・出荷・在庫に関連した活動及び製造業の生産能力を指数化したもので、基準年を100とした比率で算出されます。

日本国内の487品目を対象に調査されており、日本国内の生産動向を把握することで経済全体の予測に役立てられています。

生産指数:鉱工業生産活動の全体的な水準の推移を示す
出荷指数:生産活動によって産出された製品の出荷動向を総合的に表すことにより、鉱工業製品に対する需要動向を観察する
在庫指数:生産活動によって産出された製品が出荷されずに生産者の段階に残っている在庫の動きを示す
在庫率指数:在庫とその出荷の比率の推移をみることにより、生産活動により産出された製品の需給状況を示す
引用:鉱工業指数の概要

鉱工業指数は目的ごとに上記の4つの指数で構成されています。

5.第3次産業活動指数

第3次産業活動指数とは小売業や運搬業・情報通信業などの売上高や取扱量をもとに、基準年に対する第3次産業の生産活動を指数化したものです。

複数の産業分野を横断し統一した指数として設定することで、第3次産業全体で計測点ごとの変動が明確にわかるようになります。

参考:
[第3次産業(サービス産業)活動指数|経済産業省]
(http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/)
第3次産業活動指数|楽天証券

6.企業物価指数

企業物価指数は、企業間で取引される商品・サービスに関する物価の変動を示した数値です。
基本的な分類としては「国内企業物価指数」「輸出物価指数」「輸入物価指数」の3つの指数で構成されており、それぞれ下記の価格を基準に計算されています。

指数 対象
国内企業物価指数 ・国内で生産した国内需要家向けの商品(財)を対象とし、生産者段階における出荷時点の価格を調査。
輸出物価指数 ・輸出品を対象とし、通関段(原則としてFOB建て)における船積みの価格を調査する。
輸入物価指数 ・輸入品を対象とし、通関段(原則としてCIF建て)における荷降ろしの価格を調べる。

参考:
[企業物価指数(2010年基準)のFAQ|日本銀行]
(https://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/pi/cgpi_2010/faq.htm/)
[17A-Q01 企業物価指数|総務省統計局]
(http://www.stat.go.jp/library/faq/faq17/faq17a01.htm)