調査・分析の方法

いくつか調査の際に用いる手法をご紹介しましたが、ニューロマーケティングにおいては、専門的な技術や装置が必要になります。

そのため、自社のみでの調査・分析というよりは、外部機関へ委託することが前提となるでしょう。

例えば、マーケティング・リサーチ企業のマクロミルが、ニューロマーケティングのソリューションを提供しています。

従来のようなアンケートやインタビューといった主観的な指標に加えて、脳の活動などの生体的な指標、視線の動きなどの無意識的な行動の指標を組み合わせることによって、消費者に対するより深い洞察を得ることが出来るとしています。

参考:
ニューロリサーチ(ニューロマーケティング)|アンケート調査のマクロミル

ニューロマーケティングの抱える課題

先進的な試みという印象を受けるニューロマーケティングですが、脳科学を応用して行う特性上、課題も抱えています。

まず、人の脳の働きを調査し、研究するため、倫理、安全面に関して細心の注意を払うことが必要です。

そのため、研究の際は倫理的な基準を満たすことが難しく、企業にとってハードルが高くなる原因になっています。

また、脳科学の分野において専門的な知識を有している人材が不足しているという問題もあり、研究者同士が分野の垣根を越えて知識を共有し、人材を育てていく必要があります。

企業と研究者の協力も必要不可欠と言えるでしょう。

事例の紹介

最後に、実際にニューロマーケティングを取り入れている企業の事例をご紹介します。
自社で実施を検討する際の参考にしてみてください。

花王株式会社

花王株式会社は、製品の機能価値に加えて、五感を通じて判断する情緒的な価値に着目し、理化学研究所と提携して脳科学の研究を進めています。

モノの感触、形状、色、香りなどを通じて、消費者がどのように感じ、行動するのかを科学的に解明し、消費者の心に響く製品作りへと役立てるとしています。

参考:
理研BSI-花王連携センター | 理化学研究所

白鶴酒造株式会社

白鶴酒造株式会社もニューロマーケティングを実践している企業の1つです。

モノがあふれる現代において、消費者が求めるものが”所有”から”体験”へと移り変わっている状況を受けて、顧客の本質的な理解のためにニューロマーケティングを取り入れました。

CMを見た時の情動的な効果を数値化して客観的に理解し、そこから商品パッケージに関する考察や、ブランディングが妥当かどうかの検証を行っています。

参考:
白鶴酒造株式会社 | 事例 | シナジーマーケティング株式会社 SynergyMarketing

まとめ

今回は、感情などを定量的に分析する方法として、ニューロマーケティングという手法を紹介しました。

この方法を用いることで、今までは共通の理解を持つことが難しかった情動的な情報に関して、客観的な分析が出来るでしょう。

言葉だけでは引き出せない、無意識的な感情の変化にこそ、消費者のニーズのヒントが隠されています。この手法によって、思いがけない気づきを得ることが出来るかもしれません。

専門的な技術や機器が必要になりますが、ソリューションを提供している外部機関も存在していますので、活用を検討してみてはいかがでしょうか。