消費者動向に関するデータは、マーケティングにおいて重要な情報です。特に、コロナ禍などユーザーニーズが大きく変化したタイミングでは、消費者動向を把握した上で施策を行う必要があります。

この記事では、消費者動向がマーケティングに役立つ理由や具体的なデータ、消費者動向の調査方法などについて解説します。ユーザーのニーズを把握し、自社の施策に活かしたいマーケティング担当者の方はぜひ参考にしてください。

目次

  1. 消費者動向がマーケティングに役立つ理由
  2. コロナ禍における、各業界の消費者動向
  3. 住宅、自動車などの大型消費動向
  4. コロナ禍で変わった消費者意識
  5. 消費者動向を調査する主な方法
  6. 消費者動向を活用する際の注意点
  7. 消費者動向を読み取りマーケティングに活かそう

消費者動向がマーケティングに役立つ理由

マーケティング施策で成果を出すためには、ユーザーのニーズを捉えた上で、自社の強みを適切にアピールすることが重要です。その際、消費者動向は次のような形で役立ちます。

ユーザーニーズの変化が把握できる

消費者動向を調べると、ユーザーニーズがどのように変化したか把握できます。社会情勢が大きく変化した時や、新たな技術が普及した時などは、ユーザーニーズの変化に注意が必要です。

また、目立ったイベントが起きていなくても、時間の流れとともにユーザーニーズは徐々に変化していきます。消費者にどのような商品やサービスが求められているか、最新の状況を把握できることが消費者動向を調べるメリットです。

注力すべき分野や施策がわかる

時代の変化にともなって、これまで主力としていたビジネス分野が衰退したり、新たな分野が出現したりする可能性があります。中長期的な流れを押さえて、注力すべき分野や施策を把握することが重要です。

消費者動向に関するデータは、重点的に取り組むべき分野を知るために役立ちます。

ブランディングの方向性が定まる

同じ商品やサービスを販売する場合であっても、ブランディングの方法は様々です。ターゲットとする世代の価値観や行動習慣などに応じて、適切なメッセージで自社の魅力を表現する必要があります。

消費者動向のデータからは、ブランディングに関するヒントを得ることも可能です。

コロナ禍における各業界の消費者動向

コロナ禍をきっかけに、消費者の関心事項や利用するサービスの傾向などが変化しました。ここでは、コロナ禍で生まれた新しい意識やネット・サービス業などの消費者動向の調査結果を紹介します。

コロナ禍で興味関心を持つようになったこと

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在宅ワークや自粛など人との接触を避ける生活の中で、興味関心をもったことは「健康、医療、病気」17.0%、「節約」15.6%、「無料動画配信サービス」15.5%という結果でした。

感染予防をきっかけに改めて健康に気を配る人が増えたほか、先行きの見えない経済状況から、節約への意識の高まりも見受けられます。また、自粛生活により動画配信サービスを利用し始めた人も増えたようです。

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さらに、コロナ禍における休日や余暇の過ごし方にも変化が見られます。コロナ拡大後に増えたことは、「家で行うことができる運動」「掃除」「料理・お菓子作り」など基本的に自宅でできること。

逆に減ったのが「外食」「商業施設での買い物」「映画館での映画鑑賞」などで、外出関連が上位を占めています。

下記PDF資料では「コロナ禍におけるTwitter・Instagramなど、SNSユーザーの変化」や「​​コロナ禍で変化した食生活と食に関する意識調査 」など、さらに詳しくまとめられていますので、コロナ禍で変化した消費者意識に興味のある方はダウンロードしてみてください。

▼コロナ禍における消費者意識データはこちら

~withコロナ編~コロナ禍における消費者のデジタル動向調査

~withコロナ編~コロナ禍における消費者のデジタル動向調査

ロナ禍の激変の中で、消費者行動はどう変化したのかを調査しました。

Webサービスやサブスクなどネット・サービス業の変化

コロナ禍において、自宅で買い物をする「巣ごもり消費」という言葉も生まれました。株式会社ヴァリューズの調査によると、国内ECサービス大手の「Amazon」と「楽天」は、GooglとYahoo!のどちらで検索されたかによって購入される商品の傾向が分かれるというデータが得られています。

Amazonの場合、Googleでは、パソコン・周辺機器家電&カメラなどのカテゴリがよく閲覧され、Yahoo!では、ドラッグストアという結果となっており、共通してよく閲覧されているカテゴリはホーム&キッチンでした。

楽天の場合、Googleではインテリア・寝具・収納スポーツ・アウトドア花・ガーデン・DIYとなっており、Yahoo!は日用品雑貨・文房具・手芸医薬品・コンタクト・介護となりました。

このように商品をECサイトで購入する場合、用途によって検索サイトを使い分ける傾向にあることが読み取れます。

PDF資料「〜ネット・サービス業界編〜デジタル・トレンド白書 2021」では、Webサービス・アプリやサブスクなど7つの業界の利用状況を調査しています。詳しいレポートを確認したい方はダウンロードしてみてください。

▼ネット・サービス業界の消費者動向はこちら

〜ネット・サービス業界編〜デジタル・トレンド白書 2021

〜ネット・サービス業界編〜デジタル・トレンド白書 2021

Webサービスや通信、サブスク事業や小売業界についてコロナ禍の激変の中で、消費者行動はどう変化したのかを調査しました。

自動車、化粧品、ヘルスケアなど消費財・耐久消費財での変化

コロナ禍でもニーズが伸びたのがカーシェア業界です。PDF資料「デジタル・トレンド白書 2021〜消費財・耐久消費財編〜」では、「タイムズカーシェア」「カレコ・カーシェアリングクラブ」「オリックスカーシェア」の3社を対象とし、カーシェア業界の変化を調査しています。そこでは新しいニーズが読み取れました。

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まずは、上記をご覧ください。3社とも一度は落ち込んだものの、2020年5〜7月にかけて、ユーザー数は上昇傾向にあります。カーシェアサービスは外出自粛や移動制限の中でも、公共交通機関を避ける移動手段として一定数のニーズがあったと言えるでしょう。

また、サービスごとに年代シェア率が異なるのも大きな特徴でした。

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「タイムズカーシェア」は、これまで20代ユーザーに支持されていましたが、コロナ禍でさらに若年層のユーザー数が増加しました。

「カレコ・カーシェアリングクラブ」は、コロナ禍以降50代、60代以上のユーザーが増加。「オリックスカーシェア」は20代が増加、50代、60代は減少傾向でした。

このように、「どの年齢層に向けたサービスか」を明確にすることで、同じサービスでも差別化できることがわかります。「カレコ・カーシェアリングクラブ」は、シニア層に向けたターゲティング戦略が、コロナ禍での好調な業績に繋がっている可能性が考えられます。

その他にもPDF資料「〜消費財・耐久消費財編〜デジタル・トレンド白書 2021」では、化粧品や食品など5分野に分けて詳しく調査結果を確認できます。気になる方はダウンロードしてみてください。

▼消費財・耐久消費財の消費者動向はこちら

〜消費財・耐久消費財編〜デジタル・トレンド白書 2021

〜消費財・耐久消費財編〜デジタル・トレンド白書 2021

化粧品、食品、自動車などの消費財・耐久財についてコロナ禍の激変の中で、消費者行動はどう変化したのかを調査しました。

住宅、自動車など大型消費動向

金額の大きな商品・サービスは、コロナ禍で大きな影響を受けた分野です。ここでは、大型消費に関するデータを紹介します。

コロナ禍の影響で購入を見送った高額商品

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感染症拡大防止の観点から自宅にこもる生活は、経済縮小へと繋がり、様々な業界へ波紋を起こしました。

株式会社ヴァリューズの調査によると、コロナ元年とも言われる2020年に購入を見送った高額商品は、「旅行が最も高く、「習い事」や「結婚式」などを延期する人も一定数いました。

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その影響もあり、2021年はリバウンド購入が見込まれると予測され、国内旅行スマホ・PC、家電などの需要が高まっていました。

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その後、デルタ株が世界中に広がり、日本も2021年だけで3回も緊急事態宣言を発令するなど、一時的に国内旅行消費は下がり、予想を反した結果に。しかし、6月ごろから一般者にもワクチン接種が始まったこともあり、国内旅行消費は徐々に回復傾向にあります。

参考旅行・観光消費動向調査 2021年7-9月期|観光庁

PDF資料「2021年 大型消費展望調査レポート」では、高額商品の年間検索動向やユーザーはどの媒体から情報収集しているかなどの調査結果が掲載されています。2022年を読み解くためには過去を知ることも重要です。興味のある方はぜひダウンロードしてみてください。

▼大型消費に関するデータはこちら

2021年大型消費展望調査レポート

2021年大型消費展望調査レポート

2021年の住宅・旅行・家電などの大型消費展望調査レポート(VALUES 自主調査)についてご説明します。

コロナ禍で変わった消費者意識

ここではコロナ前とコロナ後で変わった消費者意識の調査レポートをまとめて紹介します。

「旅行に関する意識調査」移動は自動車が増加、楽しみ方はのんびり

「旅行に関する意識調査」では、旅行にかけたい費用や移動手段、目的に関する調査を行っています。

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まず、旅行先については遠距離や中距離が減少し、近距離が増加しました。移動手段は交通機関の利用が減少し、自動車やレンタカーの利用が増えています。あまり混雑しない近場の観光地へ自動車で移動して「人混みを避ける」意識が高まったことがわかります。

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また、旅行に求めることとして、コロナ前の「わいわいしたい」「贅沢したい」は減少し、「のんびりしたい」「開放されたい」が増えています。近年のキャンプブームは、自宅での巣ごもり生活からの解放や密室を避けたいといった欲求が背景にあるのかもしれません。

下記のPDF資料「コロナ禍の旅行に関する意識変化を調査」では、旅行でお金をかけたいところの傾向や5つのセグメントに分けて消費者の旅行意識を調査、分析しています。興味ある方はダウンロードしてみてください。

▼旅行に関する消費者動向はこちら

コロナ禍の旅行に関する意識変化自主調査レポート

コロナ禍の旅行に関する意識変化自主調査レポート

東京都在住者のコロナ禍における旅行に関する意識変化自主調査についてのレポートです。

消費者動向を調査する主な方法

これまでに紹介したデータ以外にも、様々な情報を調査することが可能です。ここでは、消費者動向を知るための主な調査方法を紹介します。

リサーチ会社への依頼

リサーチを専門としている企業に依頼すると、自社の求めるデータが得られます。調査の目的やターゲットなどの情報を伝えれば、自社でリサーチを行う手間をかけずに消費者動向を調べられる点がリサーチ会社へ依頼するメリットです。

リサーチ会社によって、得意としている調査方法や分野が異なるため、事前に確認した上で依頼を検討しましょう。

ソーシャルアナリティクス

ソーシャルアナリティクスとは、SNSなどネット上に投稿されたユーザーからの意見をもとに、消費者動向を分析する手法です。自社や競合商品に関する評判や、ターゲット層のニーズなど、様々な情報が調べられます。

ただし、ソーシャルアナリティクスを行う場合は、ネット上からデータを収集・分析するためのツールが必要です。また、自社が求める情報を把握するためには、一定の分析スキルが求められます。

消費者動向を活用する際の注意点

マーケティング施策に消費者動向を活用する際は、次のようなポイントに注意が必要です。

情報が古くなっていないか確認する

公的機関や調査会社が提供する消費者動向を参考にする場合、いつ作成されたデータかを確認しましょう。情報が古くなっていると、ユーザーニーズや業界のトレンドを正しく把握できません。

知りたい内容についてまとめられた資料が見つからない場合、最新情報を自社でリサーチすることがおすすめです。

調査目的に応じてターゲットを決める

消費者動向をリサーチする場合、調査対象のターゲット選定が重要です。

例えば、既存の商品やサービスに関する調査では、自社や競合他社の顧客が対象となります。新商品開発のための調査では、年代や性別などの属性を絞り込むことがポイントです。調査目的に応じて、ターゲットを適切に決めましょう。

外注する場合はコストを確認する

リサーチ会社に調査を外注する場合、かかるコストを事前に確認しておくことが大切です。調査項目の数やターゲットとなるユーザー数が多いほど、コストも高くなる傾向があります。

必要以上に大規模な調査を依頼してしまうと、十分な費用対効果が得られないため注意が必要です。調査の目的コストをふまえてリサーチ会社の利用を検討しましょう。

消費者動向を読み取りマーケティングに活かそう

消費者動向の重要性や調査方法、具体的なデータなどを紹介しました。

コロナ禍の影響は、BtoCだけでなくBtoBでも同じような傾向が見られ、マーケティングでは「インターネット上でどのように顧客と接点を持てるか?」が、これまで以上に重要となります。

消費者動向からユーザーニーズの変化を読み取り、マーケティング施策に活かしてみてはいかがでしょうか。