テレビや配信番組内で商品を宣伝する方法といえば、真っ先に思いつくのがコマーシャルの利用。しかし実は「プロダクトプレイスメント」という手法も、定番の広告として利用されています。

さらに近年ではAIを利用した「バーチャルプロダクトプレイスメント」も浸透しつつあるよう。どのような方法なのか、詳しく見てみましょう。

画期的な動画広告・バーチャルプロダクトプレイスメントとは

そもそも「プロダクトプレイスメント」とは、ドラマなどのコンテンツ内にさり気なく商品を登場させ、視聴者に訴求する方法のこと。登場人物が口にする飲み物や乗る車など、ストーリー内に自然と出てくるグッズに実在の宣伝したい商品を使うことで宣伝効果を狙います。

該当する商品は撮影時に使用するので、当然ながら後から変更することはできません。しかし、最近登場した「バーチャルプロダクトプレイスメント」では、収録済みの映像内に後から商品を配置することができます。

見逃し配信やアーカイブ視聴など、リアルタイム以外の視聴方法も当たり前に浸透してきた中で、同技術はまさに時代にぴったりの広告手段と言えるでしょう。

バーチャルプロダクトプレイスメントとは

出典:「ABEMA」、AI・デジタル技術を活用した新広告手法「バーチャルプロダクトプレイスメント」の実証実験を実施

この「バーチャルプロダクトプレイスメント」では、シーンごとにAIが動画内の情報を検出。背景や出演者、演者の行動などから「料理番組、室内、キッチン、男女、料理中」といったようにシチュエーションを分析します。

さらに、分析されたデータから「背景の棚が空いている」など広告を配置できそうな箇所を自動で検出。挿入する箇所と商品の適合度を解析して、広告素材をデジタル合成するという技術です。

ABEMAによるバーチャルプロダクトプレイスメントの実証実験

バーチャルプロダクトプレイスメントを導入する企業の実例として、ABEMAが挙げられます。ネット配信番組を多数抱えるABEMAでは、2023年12月4日から2024年1月5日にかけてバーチャルプロダクトプレイスメントを取り入れた番組を放送。実証実験を行いました。

具体的には、見逃し配信された『恋する 週末ホームステイ 2020冬 Tokyo』『GIRL or LADY~私が最強~』の2作品を対象に実験を実施。この実験には、コーセーとポッカサッポロフード&ビバレッジの2社が参加し、各社の製品やポスターなどが番組内に配置されました。

実際にバーチャルプロダクトプレイスメント前後の画像を見比べると、撮影時には何もなかった机の上に化粧品が登場。ガラス状のデスクに映る影まで完璧に再現されています。

バーチャルプロダクトプレイスメント前

バーチャルプロダクトプレイスメント前

バーチャルプロダクトプレイスメント後

バーチャルプロダクトプレイスメント後

出典:「ABEMA」、AI・デジタル技術を活用した新広告手法「バーチャルプロダクトプレイスメント」の実証実験を実施

ABEMAでは、将来的には視聴者の属性や視聴環境に応じてコンテンツ内に配置するブランド商品を出し分けるなど、よりマッチ度の高い取り組みを視野に検証を続けていくそう。多くのチャンネル・番組を抱える同社の今後の動きにも注目です。