近年、様々な分野での活用が話題となるAI。商品の「顔」とも言えるパッケージのデザインでもAIの活用がはじまっています。AIを導入することでどのようなメリットがあるのか、コストをかけるだけの効果が見込めるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。

今回は、実際にパッケージデザインにAIを活用した事例をご紹介します。

業界で初めてAIを使用したデザインは「お~いお茶」

2023年、業界で初めて「商品デザイン用の画像生成AI」を使用した商品が発売されました。このAIを開発したのは、デザイン開発とマーケティング・リサーチを行う株式会社プラグ。伊藤園の「お~いお茶 カテキン緑茶」のリニューアルに際し、パッケージのデザインに同AIが使用されています。

実際のパッケージを見てみると、緑色をベースにした背景の上に、健康効果をうたう文言を青地で配置。「カテキン緑茶」という言葉も目立つように印字され、さわやかな印象を与えるパッケージに仕上がっています。

お~いお茶 カテキン緑茶のパッケージ
出典:『商品デザイン用画像生成AI』を活用したデザインで 伊藤園「お~いお茶 カテキン緑茶」新発売

AIを導入したことで、デザインの流れはどのように変わったのでしょうか。

まず、AIが短時間で大量のアイデアデザインを生成します。それを元に方向性についてディスカッションが行われ、人間のデザイナーがイラストやデザインを作成し直す、という流れで検討が進められました。デザインの初期から具体的なデザイン案を確認できるため、方向性の共有化が短時間で行えるのがポイント。意思決定が早くなることで、デザイン決定にかかる時間を大幅に削減できたといいます。

『商品デザイン用画像生成AI』を活用したデザイン
出典:『商品デザイン用画像生成AI』を活用したデザインで 伊藤園「お~いお茶 カテキン緑茶」新発売

特徴的なのが、デザイナーがデザインを作成した後に「パッケージデザインAI」でデザインを絞り込む工程がある点です。「パッケージデザインAI」とは、同じく株式会社プラグが提供しているAI。

単に「良いデザインかどうか」を判断するのではなく、消費者が商品デザインをどのように評価するかを予測するAIです。開発中のデザインをアップロードすると、「消費者がどのように評価するかをAIが10秒で予測します。基準値・過去プロジェクト・自由設定の3つの値を設定でき、デザインが基準を上回っているかを一目で判断することができます。

同サービスを活用することで、新商品やリニューアル商品の売上向上につながるほか、商品開発に関わる担当者やデザイナーの業務効率化といったメリットも期待できます。実際に「パッケージデザインAI」を活用した大手食品、菓子メーカーで、商品の売上が大きく伸びたという事例が報告されました。

同サービスはオタフクソースも利用しており、新商品「焼きそばソース大人の辛口」とリニューアル品「お好みソース大人の辛口」のデザイン開発時に導入されています。最終的に採用されたデザインは、既存商品の特徴が2.2倍分かりやすくなったとAIに評価されたものです。

デザイン評価AIはカルビーやネピアも利用

デザイン評価が実際にどのように運営されるのか、2020年に「パッケージデザインAI」を利用したカルビーの例を見てみましょう。同社では、5種類のデザイン案を

 カルビー『クランチポテト ソルト味/サワークリームオニオン味』

ネピア4ブランドのデザインリニューアル

MatrixFlow社、生成AIを活用した次世代商品パッケージデザイン生成サービスを提供開始

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