実在の人物を若返らせたり年を取らせたりすることは、これまでも映像コンテンツの企画として度々行われてきました。もちろん特殊メイクで実現していたのですが、近年ではAIを使った「年齢変更」技術が飛躍的に進化したことで、広告業界に変革をもたらしています。この記事では、若返りや加齢などの年齢を変化させるAI技術の事例について紹介します。

目次

  1. 年齢変更AI技術で“過去の自分”と対話するシーンを映像化
  2. 特殊メイクに頼らないAI技術で撮影時間を短縮
  3. 実在しない“AIタレント”を加齢させる技術

年齢変更AI技術で“過去の自分”と対話するシーンを映像化

花王株式会社のトータルメンズケアブランドである「サクセス」は、2023年9月にAI技術を使ったブランドムービーを公式YouTubeチャンネルで公開しました。

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出典:AI技術により20代に若返った“AI原田泰造”が登場!原田泰造さんと中村蒼さんが出演する花王サクセス 新ブランドムービー 9月15日より公開

お笑い芸人・原田泰造と俳優・中村蒼を起用した動画は、2人が露天風呂で“いい年のとり方”について語り合うシーンから始まります。

年齢変更AI技術が使われたのは、サウナで“現在の原田”と“20代後半の原田”が対面して語り合うシーン。AIに20代の原田が出演した番組やドラマの動画など、30,000点以上の膨大な素材をディープラーニングさせ、“AI原田泰造”を制作しました。そのデータをもとに表情や肌の質感などを算出し、VFX技術と組み合わせて映像化することで若い頃の原田を完全再現させています。

これまで年齢変更のために用いられてきた技術は特殊メイクでしたが、“若返り”させるメイクは加齢させるよりも難しいと言われています。しかしAI技術の向上によって、“過去の自分”と語り合うシーンを違和感や不自然さもなく映像化。原田は動画の内容に対して、「過去があるから今がある。前を向く力にサクセス。ピッタリだと思います」と語っています。「サクセス」のブランドスローガンである、「前を向くチカラに」ともマッチした内容で、広告制作の可能性を広げたといえる事例でしょう。

特殊メイクに頼らないAI技術で撮影時間を短縮

SMBC日興証券株式会社では、花王と同様にAI技術を使って “年齢の異なる同一人物”を登場させたブランドムービーを制作。2023年4月に「イチロー未来会議」と銘打って、過去・現在・未来の3人のイチロ

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