商品やサービス自体はとても優秀なはずなのに、「なぜか売れない…」と悩まれている方もいるのではないでしょうか。それは、PMFを達成できていないからかもしれません。

この記事では、いま注目されている「PMF」とは何かを詳しく解説しながら、PMFを達成した成功事例も紹介します。

目次

  1. PMFとは?
  2. PMFが重要な理由は?
  3. PMFはどうやって達成させるの?
  4. PMFは1回達成すれば終わりではない
  5. PMFはどうやって測るの?
  6. PMFの達成事例は?
  7. PMFとあわせて覚えておきたい指標
  8. PMFを達成して、SaaSビジネスを成長させよう!

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SaaSビジネスの重要指標とよくある疑問

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単なる用語集ではなく、よくある疑問への答えや、各指標を改善するためのポイントを、図解を交えてゼロからわかりやすく解説しています。

PMFとは?

PMFとは、「Product Market Fit」を略した言葉で、「プロダクト(商品やサービス)がマーケット(市場)においてフィット(適合)している状態」を指します。つまり、サービスがマーケットに受け入れられ利用され続けている状態を意味します。

アメリカのソフトウェア開発者で投資家の「Marc Andreessen(マーク・アンドリーセン)」氏によって、PMFの考え方が広められました。

PMFの考え方では、スタートアップを成功させるためには「顧客の課題を満足させるサービス」、「最適な市場を選択し受け入れられること」の双方が揃っていることが重要とされています。したがって、どちらかが欠けてしまうとスタートアップは失敗すると言われています。

PMFが重要な理由は?

昨今、多くのスタートアップが「PMF」の重要性に注目しています。

狙うべきマーケットを間違えると、真の事業成長を見込めません。サービスや商品が売れず、コストを使い果たして人員も疲弊してしまい、失敗するケースが往々にしてあるからです。

そのため、プロモーション活動を行う前提条件として、PMFを達成させることが欠かせません。立ち上げの成功率を高めるためには、良いサービスや商品を開発することに時間や労力をかけるより、適切なマーケットを見つけることが重要なのです。

PMFはどうやって達成させるの?

PMFを達成させるためには、以下にあげる4つのフェーズをクリアする必要があります。

PSF(Problem Solution Fit)→ PMF(Product Market Fit)→ GTM(Go To Market)→ Growthという事業成長のフェーズを辿っていきます。
それぞれ解説します。

図_PMF_4つのステップ.png

まずはPSFを目指す

PSFとは、「Problem Solution Fit」の頭文字をとった用語で、「顧客が抱えている課題や問題点を解決する商品・サービスを提供している状態」を指します。

PSFに到達するためには顧客の課題に対する解決策を特定し、課題解決が可能なMVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)を制作します。その後、顧客にMVPを使用・体験してもらい、本当に課題が解決できるかどうかを判断します。

その後、顧客のフィードバックをもとにMVPの評価を計測し改良を重ねることで、PSFの状態へ近づけていきます。

PMFの状態を確認する

PSFの達成後、PMFの状態を確認します。

どのような状態が「最適なPMF」であるかの基準については、明確には定義されていません。PMFの提唱者である「Marc Andreessen(マーク・アンドリーセン)」氏によると、

Product/market fit means being in a good market with a product that can satisfy that market.

引用元:Pmarchive · The only thing that matters

PMFとは、そのマーケットを満足させられる製品で、適切なマーケットに存在することを意味します。

したがってこのフェーズでは、PSFを達成した製品がマーケットにマッチしているかどうかを確認します。

GTMを策定する

GTMとは、「Go To Market」を略したマーケティング用語で、どのように顧客へアプローチして営業活動を行い、どのような流れでサービスや商品を顧客へ届けるかをまとめた戦略を意味します。

新しいサービスや商品を販売する際にGTMを策定し、それにしたがって営業活動を実施していきます。

また、次にあげるマーケティングにおけるあらゆる活動内容の詳細を整理してロードマップを描き、顧客の満足度を一つひとつクリアしていきます。

● 商品・サービスの選択
● マーケットの選択
● 競合他社の把握
● 顧客ニーズの把握
● ターゲットの選択
● 価格の設定
● 商品・サービスのポジショニング
● 流通経路の選択
● マーケティング戦略と戦術
● KPIの設計

Growthさせる

「Growth」とは、直訳すると「成長」を意味します。マーケティング用語としての意味は、市場の変化に合わせて改善していくことを指します。

PMFを達成した後、Growthフェーズでは発見したマーケットで、マーケットに合わせて製品を改善し、成長させていくことが目的です。

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PMFは1回達成すれば終わりではない

ここまで、PMFを達成させるための4つのフェーズを解説してきました。

しかし、PMFは1度達成すれば終わりというわけではありません。なぜなら、時代の変化とともにマーケットも変動し、顧客の課題や問題点、ニーズが変化していくからです。

定期的に4つのフェーズを繰り返し実施することで、より時代に合ったマーケットを模索し、顧客の課題を特定し続けなければなりません。

PMFはどうやって測るの?

PMFを計測する際に用いられる主な手法は、以下のとおりです。

NPS(ネットプロモータースコア)
● Sean Ellis Test(ユーザー調査)
● エンゲージメントリテンション

それぞれ、解説していきます。

NPS(ネットプロモータースコア)

NPSとは、「Net Promoter Score」を略した用語で、顧客のロイヤリティを図る指標です。

顧客が、企業に対してどれくらいの信頼や愛着があるかについて数値化することによって、顧客体験の評価・改善に生かすことが可能となります。

また、NPSは事業の成長率と大きく関連があることから、欧米企業では3分の1以上が採用しているとも言われ、日本でも新たな指標として注目する企業が増えています。

NPSは顧客に対して「企業および製品を友人や同僚にすすめる可能性はどの程度あるか?」というアンケート調査をし、0~10の11段階で回答を求めます。回答結果の0~6点は「批判者」、7~8点は「中立者」、9~10は「推奨者」と選別します。推奨者の割合から批判者の割合を差し引いた数値がNPSのスコアとなります。

このNPSのスコアが高ければ高いほど、PMFのスコアとしても高得点であることになります。

Sean Ellis Test(ユーザー調査)

Sean Ellis Testとは、グロースハッカーという言葉を作ったSean Ellisが開発したテストで、回答結果によって現状のPMFに得点をつけることが可能です。別名「PMFスコア」とも呼ばれます。

Sean Ellis Testでは、以下のような質問をします。

「もしこの製品が使えなくなったら、あなたはどう感じますか?」

1. とても残念だ
2. まあまあ残念だ
3. 残念ではない
4. もうこの製品を使っていない

全体の回答の内、40%の人が「1. とても残念である」と答えた場合、PMFが合格水準であると評価できます。

エンゲージメント

PMFにおけるエンゲージメントとは、顧客がその商品やサービスを実際にどれくらい利用しているかを調査したデータを指します。

エンゲージメント調査は、提供している製品によって指標が変わってきます。例えば、コンサルティングサービスであれば「契約数」が指標となり、アパレルなどの小売であれば「購入したユーザー数」となります。

また、調査のポイントとしては、

● 指標は製品の中心となる体験であること
● 客観的に調査を行うこと

以上の2点となります。

リテンション

リテンションとは、維持や保持を意味します。マーケティングの世界では、提供している製品がどの程度顧客に使用され続けているかの指標となります。

リテンション率を縦軸にして、製品のリリースからの期間を横軸にしたグラフからなる「リテンションカーブ」から、サービスや商品がどのくらい顧客から使用され続けているかを計測します。

リテンションカーブがある時期から横軸と平行になると、それはそのマーケットでPMFの状態になっていることになります。

PMFを測る際の課題

PMFを測る際の課題は時間がかかることです。BtoCの小売に関してはすぐに結果が出るため、この課題には当てはまりません。しかし、顧客の検討期間が長いBtoBの製品の場合、すぐに結果が出ないため、データを元にした製品の改善に時間がかかってしまいます。

また、BtoCにおいても季節に左右されるホテルのサービスなどは、半年や1年スパンでのデータ取得が必須となるため、判断に時間がかかります。

PMFの達成事例は?

ここでは、PMFの達成事例について見ていきましょう。

SmartHR

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労務管理のクラウドソフトを提供するSmartHRでは、PMFを達成することでさまざまな業種の企業に対して欠かせないビジネスへと成長しました。

開発当初、顧客のターゲットは社員数が最大で数百名を想定していました。営業を開始したころ、ITリテラシーの高い従業員が多い企業ではすぐにPMFを達成しました。しかし、2,000名ほどの全国に店舗のある飲食チェーンでは、アルバイトやパートが従業員の大半を占め、ITリテラシーも高くなかったため一気にPMFが遠ざかりました。

しかし同社は開発を繰り返すことで、現在は4年連続シェアNo.1のクラウド人事労務ソフトを達成するまでに成長しました。

参考:SmartHRの156億円調達。ユニコーン誕生のその裏側SmartHR(スマートHR)

タイミー

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「今日のバイトがすぐ見つかる、スキマバイトサービス」でおなじみの「タイミー」も、PMFを達成することで成長した企業のひとつです。この企業のPMF達成までの特徴は、PMFを達成しているかどうかは、グラデーションがかかっているため「PMFが達成しているかも?」という期間が長く、やがて「達成した」といえる時期が来るという考え方でした。

また、そこからさらに次の目標ができると、同じく次のPMFの達成が必要になる、という無限ループをくりかえしました。

例えば、飲食系の顧客にPMFを達成したのと、物流系起業にPMFしたのとは全く違うことと捉え、PMFのバージョン1を達成したのちは、次のマーケットへ向かうという考え方で成長しました。

参考:タイミースタートアップはPMFの無限ループ、「TORYUMON ONLINE」で先輩起業家が語ったPMFの本質|TORYUMON Journal|note

PMFを達成して、SaaSビジネスを成長させよう!

PMFを目指すことはスタートアップ・SaaS企業にとって一番最初の関門です。そのためには本記事で解説したステップのように、まずはPSFの状態に到達していることが重要です。その上でMVBの構築や評価の改善を繰り返しながらPMFを目指していきます。

また、PMFは1回で終わりではなく、変化する時代のニーズに合わせて何度も繰り返すもので、終わりはありません。「顧客の課題を解決するプロダクト」「市場に受け入れられている状態」この両輪がまわっている状態を常に目指し、成長へとつなげていきましょう。

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